【異論のススメ】(21) エリート・漱石の苦悩…西洋的理論がもたらす分断

この12月9日は、夏目漱石の100回目の命日である。小説も悪くないが、私は随想や小品が特に好きだ。『硝子戸の中』や『思い出す事など』の晩年の随想の味わい等、こちらが年を経るにつれて、しみじみとした感慨を与えてくれる。尤も、漱石は49歳で死去しているから、晩年といっても決して年を取っていたという訳ではない。その漱石が、明治の末に行ったある講演の中で、次のようなことを述べている。「ドイツにオイケンという学者がいて、こういうことを言っている。『近頃、人々は一方で自由や開放を望み、他方では秩序や組織を要求している。しかし、この矛盾するものを両方とも実現することは無理で、どちらかに片付けなければならない』と。これは、一見したところ尤もらしく聞こえるが、実は、こんなことは、この世界を傍観している学者の形式論に過ぎない。実際には、我々は日常生活の中で、この背馳する2つのことを両方行っているではないか」。学者というものは、普通の人より頭もよく、しっかりとものを考えているのだから、「間違う筈はない」と思いがちだが、学者の態度は、対象から身を引き離して、それを観察し、形式論を立てるに過ぎない。しかし、日常の世界の中で活動しているものにとっては、こんな傍観者的な観察はあまり意味は無い。「矛盾に満ちたこの世界を、自分のこととして体験する他ない」というのである。尤もだと思う。だから、漱石は東京帝国大学の学者の地位を捨てて、日常の“普通の人”の心理や人間関係の、それこそ矛盾に満ちた微細を描く小説家に転身したのであった。オイケンを取り上げながら、漱石は、学者の形式主義が、不完全な人間である“普通の人”――つまり、市井の庶民の心理や経験から乖離していくことに不満を漏らしていた。今日的に言えば、人間や社会を対象とした実証的科学が、その対象とする人間や社会の実際とはかけ離れていってしまう。それにも関わらず、社会を指導し、動かすものは、この学者の形式論なのである。各種の専門的な知識人が、傍観者的に、理想的な社会を描き、そちらへ社会を引っ張っていこうとしても、“普通の人”は動かないという訳である。つまり、エリート層と庶民の間に大きな懸隔が出来てしまう。

ここにもう1つ、大事な問題が絡んでくる。それは、「日本の指導的な学者や知識人等のエリート層は、多くの場合、西洋の学問を身に着けた人たちだ」という点である。西洋の近代科学の方法は、正しく対象から距離を取り、それを観察して、論理的で形式的な帰結を得ようとする。そして、その多くは、西洋社会を対象として得られた“理論”である。それを日本社会に適用すればどうなるか。学者やエリート知識人たちの“理論”は、全く庶民の現実からはかけ離れてしまうだろう。それにも関わらず、この方向で社会が動くなら、“理論”とは違う“現実”を生きている“普通の人々”は、益々神経をすり減らしていくだろう。ところが、漱石の生きた明治の時代は、「エリート層による欧化政策こそが進歩だ」と見做され、近代化とされた。当時、一級の英文学者でありながら、イギリス留学で散々な目にあった漱石は、エリート知識人たちが拠り所にする西洋の思考方法は、とてもではないが、そのまま日本に当てはまるものではないことを十二分にわかっていた。とはいえ、漱石もまた1人の知識人である。そこに彼の苦悩があった。こうしたことは、グローバル化や国際化が叫ばれる今日の我々にも無縁ではないと思う。大学で教えていたころ、私は1~2回生向けの少人数講義で屡々、『現代日本の開化』や『私の個人主義』といった漱石のよく知られた文明批評を取り上げたが、大半の学生は、ここでの漱石の問題に共感を示していた。それは、今日の“我々”の問題でもあるという訳だ。

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【私のルールブック】(78) 悩みや迷いが他人に透けて見える人ほど、応援したくなる

どこの世界でもそうだが、良い人もいれば悪い人もいて、面白い人もいればつまらない人もいて、ちゃんとしている人もいれば礼儀の1つも知らない輩がいたりするもの。それは芸能界も然りである。先日、彦摩呂さんのご自宅でロケをさせて頂いた。言わずと知れた「宝石箱や~!」のおじさんである。といっても、私と1つしか違わないのだが…。で、彦摩呂さんは汗をかきながらも、いつものように軽妙なトークで場を盛り上げて下さり、ロケも恙無く終了したところ、「しーちゃん、アレ取り寄せといたから、アレ持ってって」と言うのだ。「“アレ”と言われても何のことやら…」と戸惑っていると、以前、一緒にお仕事させて頂いた際、彦摩呂さんが「死ぬ前にこれだけは食べたい!」というテーマで紹介して下さった卵かけご飯があり、どうやら、その卵を態々取り寄せて下さっていたらしいのだ。

参りますよね。正直、私は忘れていましたから。それをちゃ~んと覚えていて、「今度、共演した時にプレゼントしてあげよう」と考えていて下さった。その記憶力と実行力は見習わなければいけません。彦摩呂さん、ありがとう。でも、それ以上体重は増やさないでね。記憶力と実行力と言えば、三田寛子ちゃんも流石の方でございます。旦那様の件で色々あったようですが、妻としての対応振りは称賛に値し、流石のマスコミの皆さんも「これ以上は…」と、早々に沈静化に持ち込みました。やはり、人間力ってマイナスな時にこそ試され、真価が問われるといいますかね。調子がいい時は、何を言おうがやろうが上手く転がって行くものですから。でも、寛子ちゃんの場合は、ちゃんとした努力の裏打ちがあってのものだと思うのです。だって、気遣いが半端ないんですから。例えば、旦那さんの件で私が生放送で何かを発言したとします。放送を終えて楽屋に戻ると、既に寛子ちゃんからのお礼メールが届いているのです。勿論、“早ければいい”というものではございません。ですが、それだけ四方八方にアンテナが立っているからこそできることですよね。アンテナすら設置していない若造とは訳が違うんです。

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【日日是薩婆訶】(14) 雑用というものはなく何の道でもそういうものでは…

愈々、8月22日から庫裡の改修工事が始まった。しかし、お盆明けから間もないその時、庫裡の内容物は未だ相当残っていた。書籍の移動や箪笥運び等は友人や業者に手伝ってもらい、半年も前から進めてきたのに、である。大工さんたちにも手伝ってもらい、残っている物の汚れを拭き取り、或いは運び、或いは処分した。中には、100年以上前から保管されていた文書等もあり、物によっては宝物庫へと運んだ。段々空になっていく建物は、急速に廃墟の雰囲気を帯びてくる。これは不思議だが、建物自体が見捨てられることを感じたように、何となく荒んでくるのである。人であれば“グレる”感じに近い。物が粗方搬出されると、誰もが畳の上を土足で歩くようになる。恐らく、そのことも“荒み”“グレる”ことに関係しているのだろう。しかし、今回の工事は、200年以上前の通し柱や梁を再び使う予定だ。古い板戸等も保管し、再生させるつもりだから、何れ建物もわかってくれると思うのだが、今は兎に角、破壊に似たトレンドが現場を支配し、“荒み”ゆく寂しさを禁じ得ないのである。そんな中、今回は4人の大工さんの内、一番新入りの菊地匠平君のことを紹介してみよう。昨年4月に入社した彼は現在、『㈱加藤工匠』勤務約1年半。高校を出て『東北職業能力開発大学校』に4年間通い、間もなく、この2つ目の現場で24歳になる。去年、初めて本堂の現場に来た時、彼は最初に古い押し入れの解体を命じられた。命じたのは、現場棟梁の高橋洋二さんである。解体した木っ端や埃が外部に漏れないよう、その作業はブルーシートの中で行われた。外に漏れないのはいいが、内側は大変な状態で、その中で匠平君は埃塗れ・汗塗れで作業していた。そんな時、私は初めて匠平くんに挨拶したのである。確か、「いやいや、これは大変だね。宜しく」等と軽い言葉をかけたような気がする。その時、彼はあまりに酷い状況だったせいか、私を睨んだまま返事をしなかった。無言のその目は、「大変ですよ、ほんとに」とでも言いた気だった。「ああ、これは続くだろうか…」。私は正直なところ、そんな不安を感じたものだった。

宮大工さんの世界は、色んな面で禅の道場に似ている。新入りは全ての先輩に気を遣わなくてはならないし、作業の下準備から片付けまで全て率先し、しかも最後までしなくてはならない。10時と15時にきっちりお茶を飲むのも僧堂と一緒だが、無論、その準備は新入りの仕事である。仕事が終わり、宿舎に帰っても、多分、食事の準備から片付けまで、多くの負担が匠平君にかかってくる。明朝の食事の準備までしてから、漸く最後に寝るのだろう。風呂はいつ入るのか知らないが、先輩である高橋さん・奥山さん・伊藤さんの後であることは間違いない。新たな後輩ができるまでこれは続くから、今の若者に限らず、新入りの時代は昔から相当厳しい試練だった筈である。道場でもそうだが、逃げる人は先ず間違いなく1ヵ月以内に逃げる。世間からすれば、あまりに不平等に思え、その扱いに耐えられなくなるのである。ブルーシートの中で私を睨んだ匠平君に、果たしてこの職場が続くのかどうか、私は陰ながら心配だった。他にもう1人、匠平君の直ぐ前に入門(入社)した若者は、間もなく辞めたらしい。しかし匠平君は、その後も時々、高橋さんと一緒に現れ、父の葬儀の為の仮設焼香台等を造ってくれた時も一緒だった。「おお、未だいる…。未だ残って頑張っているんだ」。顔を見る度にそう思い、嬉しかったのだが、今回改めて庫裡の工事に参加した匠平君に接し、心強く感じたのである。兎に角、彼の動きには迷いが無くなった。今回の現場では、ブルーシートの中の作業以上に大変なことも多い。いらなくなった木造部分の解体、畳運びやゴミの分別、或いは壊した壁、使っていた便器の搬出等、高橋棟梁・奥山さん・伊藤さんに言われた全ての作業に、彼は迷いなく取り組んでいる。“迷いなく”というのは“好き嫌いや分別を働かせず”ということで、これは禅の修行にもそのまま通じる。「こんな楽しいことはない」と言いつつ畳を運ぶ高橋棟梁だから、自ずとそんな気分も学ぶのだろう。昔はよく、「尺八の師匠に入門するのに庭掃除を半年もした」とか、「書生に入った筈なのに子守りばかりさせられた」といった話を聞いたものだ。今ならブラック企業と呼ばれるかもしれないが、何の道でもそういうものではないだろうか。雑用というものはなく、全てが自分の仕事に後に役立っていく。そう思えなければ、大きな仕事はできないのではないか。

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【タブー全開!政界斬鉄剣】(60) アメリカ軍への“思いやり予算”はコストパフォーマンス最高だ!

池田「今週は、ドナルド・トランプ新大統領の誕生と、日米同盟の今後について話しましょう。テレビのニュースを見ていても、これからどうなっていくのか、今一つわからないのではないでしょうか?」

――確かにそうかも…。
池田「外務省がアメリカの現状を何一つ理解できていないのだから、当然のことです。彼らは『トランプ氏が共和党の指名候補になることさえない』と断言していたし、大統領候補に選ばれた後も未だヒラリー・クリントン氏の勝利を妄信していた。日本政府の見解は外務省に100%依存しているし、テレビで解説をする人たちもまた、外務省で出世コースから落ち零れたOBなのですから」

――どこにも正解が無い訳か。
池田「外務省の出世コースは北米局、つまりアメリカ担当です。彼らは『アメリカを熟知している』と本気で信じています。だから、平気で間違った分析に基づいた助言を首相や外務大臣にしてしまう。外務省の存在そのものが、日本外交が昔から失敗を続ける諸悪の根源なのです」

――無謀な対米戦争に突入したり、近隣諸国に敵ばかりの現況もまた、外務省のせいか…。
池田「その通り。明治維新以降、外務省の情報や分析を基に行った外交が、日本国民に利益や幸福を齎した例など、唯の一度もありません。それは、歴史を振り返れば誰の目にも明らかなことです」

――アメリカは今後どうなる?
池田「アメリカが世界一の超大国になれた理由は1つ。戦争に勝ち続けたからです。第1次世界大戦と第2次世界大戦では、アメリカが中心となって勝利した。それが原因で、世界が羨むような圧倒的な豊かさが生まれたのです。逆に、戦争に負ければ没落してしまう。ジョン・F・ケネディ大統領時代に本格介入したベトナム戦争に敗北すると、アメリカ国内は麻薬漬けのヒッピーたちで溢れ返り、治安が極度に悪化した。その後、ロナルド・レーガン大統領時代には、旧ソビエト連邦等との東西冷戦に完全勝利し、再び経済も治安も劇的に好転する。続く湾岸戦争でも勝利し、アメリカは全盛期を迎えたのです」

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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(88) カリフォルニア解禁で大麻産業に“グリーンラッシュ”がやって来る?

“トランプショック”が大き過ぎてあまり目立ちませんでしたが、先日のアメリカ大統領選と同時に、9つの州で大麻合法化の是非を問う住民投票が行われました。その結果、新たにカリフォルニア、ネバダ、マサチューセッツの3州で大麻の嗜好品使用、フロリダ等4州で医療用使用が解禁されることになりました。これで、全州の過半数を超える28州とワシントンD.C.が医療用を、8州が嗜好用を認めたことになります。今も連邦法では大麻使用は禁止されていますが、“各州の意思”が強く尊重されるアメリカ特有の事情もあり、大麻解禁の流れは止まりそうにありません。“モラルマジョリティー”やキリスト教右派が力を持っていた嘗てのアメリカ社会では、大麻は当然のように忌避されていました。しかし近年、特に2000年代以降は、まさに現実的な問題として議論の俎上に上っています。

実際の意識調査の結果を見ても、高齢層を中心に今も大麻を潔癖に嫌う人がいる一方で、「大麻程度のドラッグは許容すべきだ。経験によって学べる適度な用量・用法を守れば問題ない」と考える人も多く、全米の過半数の人々が嗜好用大麻を容認しています。これは、アメリカの大麻解禁派の巧みなロビー活動の賜物でもありますが、医療用にせよ嗜好用にせよ、先行解禁した州で税収アップや、警察・刑務所の負担軽減といった便益が実証されたことも追い風となっているでしよう。そんな中で今回、カリフォルニア州が嗜好用大麻の解禁を決めたことは大きな意味を持ちます。全米最大の経済規模を誇る同州の昨年の州内総生産は、フランス、イタリア、カナダ等のGDPを超え、国家と並べてランク付けしても世界第6位。議員数も圧倒的に多く、波及力の大きさは、これまでの“解禁州”とは比べものになりません。また、今回の一連の住民投票で、アメリカ西海岸に“マリファナベルト”が出来上がったことにも注目です。西海岸では大麻関連のスタートアップが熱を帯びており、今後はゴールドラッシュならぬ“グリーンラッシュ”が起こると予想されていますが、ビジネス上の最大のネックは、大麻の使用が連邦法で禁じられていること。その為、貸し渋りをする銀行もあるようで、(来春から嗜好用大麻が解禁される)カナダに拠点を移すスタートアップもあるといいます。

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【私のルールブック】(77) ワンちゃんが教えてくれること

私は今現在、9匹のワンちゃんたちと暮らしている。頭数が多過ぎるので、詳細な紹介は割愛させて頂くが、私の日常は、仕事を除けばワンちゃんのお世話で埋められているのである。「それだけ忙しくて、よくお世話ができますね。大変でしょ?」と屡々訊かれるが、確かに大変という言葉では片付けられないぐらい毎日大騒動なのだが、それ以上の充足感を得られるからこそ成立しているのだと思う。充足感の中には、ワンちゃんからの教えも含まれている。一緒に暮らしているとね、色々勉強になるんですよ。例えば、長男の佐藤さんなんですが、私の前では本当に良い子なんです。弟たちにも優しい。ですが、私がトイレに姿を消した途端、「ウギャギャキャギャ~」との叫び声が! 慌ててリビングに戻ると、佐藤さんは涼しい顔。しかし、下の弟たちがビビっている。要するに、私の見えないところで佐藤さんは猛烈に兄貴面を見せつけて、弟たちを抑え込んでいたのです。

一方、次男の高橋くんは根っからの優しいお兄ちゃん。ただ、かなりのビビリ症でして、お粗相をしてしまった時は私が「誰ですか?」と犯人捜しをするのですが、高橋くんが犯人の場合はわかり易いと言いますか、粗相をした上にビビリションもしているので、一発で判明するのです。そんな高橋くんを見る度、一応怒りはするのですが、「見習うべき部分は多いな」と。だって、隠蔽したくなるものじゃないですか。バレたら怒られちゃうんだから。でも高橋くんは、隠そうとする気持ちよりも「やっちまった!」が勝ってしまう。よって、速攻でバレる。でも、考えてみて下さい。人間だって同じ、誰だって間違いはあるんですから正直が一番。やっちまった→すぐにバレた→とっとと怒られた。そしたら、後は同じ過ちを繰り返さないように努めればいいんです。最も効率的だと思いませんか? そう考えると、モロ隠蔽体質の佐藤さんは、反面教師としては好素材ということになります。“教えを授かる”という意味では、極めつきは四男のパグゾウでしょうか。兎に角、余計なことは考えない。頭の中はご飯と寝ることのみと言い切ってもいい。

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【タブー全開!政界斬鉄剣】(59) 南スーダンの駆けつけ警護はもっと注目するべき大問題だ!

池田「新しいアメリカの大統領がドナルド・トランプさんに決まりましたね。日本人にとって影響が大きいこのテーマは、次号以降でじっくり斬りたいと思います」

――今週のテーマは何?
池田「アメリカ大統領選や韓国の不祥事、東京都政やTPPという話題に隠れている重要なテーマです。それは、南スーダンに派遣されている自衛隊の“駆けつけ警護”についてです。身近に感じない話でしょうが、是非知っておいてほしい、我々の生命と財産に重大な影響を与える問題だからです」

――駆けつけ警護って?
池田「PKO(国連平和維持活動)の一環で、自衛隊は内戦状態の南スーダンに派遣されている。駆けつけ警護とは、国連や各国部隊等から要請があった場合に救援することです。先月末に切れた派遣期限を延長した安倍政権は、駆けつけ警護の任務を新たに加えようと企んでいるのです」

――延長しちゃ駄目なの?
池田「自衛隊に認められている駆けつけ警護は、行動を縛る条件が世界の常識からかけ離れているのです。『安全保障関連法によって、自衛隊は現地の国連職員等を警護する目的なら武器の使用が可能になった』と言われていますが、“安全を確保して対応できる”という条件付きです。南スーダンは、とてもじゃないけど安全の確保など不可能な内戦地域。そんな非現実的な条件下で、自衛隊員に駆けつけ警護という過酷な任務を課すこと自体が大問題なのです」

――南スーダンの治安状態ってそんなに悪いの?
池田「南スーダンは、今から5年前にスーダンから独立して以降、国とも呼べないほど不安定な状態が続いています。だから、南スーダン政府は国連に平和維持活動を要請した。現地には多くの国連職員と、彼らを警護する為の各国の軍隊が派遣されている。そんな中、今年7月に国連職員が何者かから襲撃を受け、70名以上が死傷する事件が発生しました。しかも、あろうことか、その襲撃者が、国連にPKOを要請した側である南スーダン政府軍だったことが、先月末になって判明したのです」

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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(87) アメリカを覆う“アンチエスタブリッシュメント”がドナルド・トランプを勝たせた

最後の最後まで「どちらに転ぶかわからない」と報じられたアメリカ大統領選。“不人気対決”等と揶揄されましたが、政治家としての経験も実力もドナルド・トランプとは比べものにならない百戦錬磨のヒラリー・クリントンは何故、まさかの敗戦を喫するに至ったのでしょうか? 勿論、原因は1つではありません。「単純に彼女の物言いや振る舞いが好きじゃない」という人もいたでしょうし、国務長官時代のメール問題に対する不信感もあったでしょう。一部に根強く残る女性蔑視もあるでしょう。ただ、最も強く影響を及ぼしたことは何かと言えば、僕は“アンチエスタブリッシュメント”の一言に尽きると思います。今回の選挙戦報道では、この言葉が実によく使われました。といっても、ベトナム反戦運動のような先進的な“反体制”ではなく、兎に角、既存の権威・既存の秩序の側にいる人間や組織を単純に敵対視するというのが、現代におけるアンチエスタブリッシュメントです。

政治のプロであればあるほど、何を言っても忌み嫌われてしまう…。元ファーストレディーで、オバマ政権時代には国務長官も務めたヒラリーは、初の女性大統領候補であっても“エスタブリッシュメントのど真ん中”と見られてしまったのです。日本にいるとあまり実感できませんが、アメリカ社会における格差問題は深刻です。多くの人が未来への希望も持てずに取り残され、「もう少し再分配をきちんとしてくれ」という建設的な議論を飛び越えて、「今の社会構造は自分を排除していて、一部の人間がその分を横取りしている」という強烈な被害者意識を持っている。最早、失うものが無い(と感じている)人々が、“破壊的な変化”を求めて、アンチエスタブリッシュメント化しているという構図です。ドラスティックな変化を求める人たちは、右側ではトランプを、左側では民主党予備選でヒラリーに敗れたバーニー・サンダースを強く支持しました。トランプは兎に角、“既存の秩序”を壊すことを約束し続けた。サンダースも、敗色濃厚になった予備選の後半に国際金融や『ウォール街』を批判するあまり、陰謀論めいた主張をかなり強硬にブチかました。事実に基づかない話であっても、多くの人々はそこに望みを託したのです。

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【私のルールブック】(76) “遊び方”を知らなかった後輩の末路

数日前のことである。朝、目が覚めると、携帯電話にメールが1件残されていた。「俺、離婚したくないっす」と…。どうやら、私の後輩が離婚の危機にあるらしい。7~8行足らずの文面だったが、ほぼ泣き言で占められており、状況が掴めない。「浮気がバレたか? それ以外か?」と返信してみたものの、待てど暮らせど返事は来ない。仕方がないので、奥さんにメールをしてみました。「旦那から夜中にメールがあったけど、なにかあったのかな?」と…。すると、流石奥さんでございます。10分も経たないうちに返信があり、2~3回のメールのやり取りで、私も詳細に状況を把握することができました。要約すると、浮気+お金+育児放棄…つまり、全部でした。

はぁ~あ、何をやっているんですかね。実は、旦那も奥さんも役者でして、そういった意味で、双方とも私の後輩的存在なのです。披露宴にも出席させて頂きました。結婚を機に、奥さんは役者を辞めました。めでたく子供も授かりました。「さぁ、これから死ぬ気で働いて、奥さんも子供も幸せにしてみせる!」って、それこそ男を上げなきゃならない時なのに…。とはいえ、役者といってもまだまだ駆け出しの身分でして、アルバイトをしながら芝居を続けている状態。奥さんも大変な子育ての隙間を縫って、内職程度の仕事ですが支えていたようで…。なのに、舞台の仕事が決まると、「芝居に専念したい」とか抜かしてアルバイトを辞めてしまうようで、当然、生活は困窮。子育ても手伝わないばかりか、稽古終わりで飲みに行く始末。1つ言っておきますけど、売れない役者の飲みの席での演劇論なんて糞にも劣りますから、稽古終わりで徹夜でアルバイトして、殆ど寝ずに次の日の稽古に参加する子なんて、腐るほどいますから。で、止めは風俗らしいです。お金も無いのに借金してまで風俗にハマっていたらしく、風俗嬢の方と個人的なメールのやり取りもしていたとか。はい、有罪確定! コイツは駄目だわ。遊びが下手過ぎる。救いが1つも無い。

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【震災5年・復興】(10) “職住分離”未来に繋ぐ

20161115 01
宮城県東松島市の漁師・大友康広さん(33)は、東日本大震災の津波で漁港近くの自宅を失った。港も損壊した。約300m内陸に自宅を再建したその年の暮れから、隣の漁港まで約20分のマイカー通動が始まった。「自宅から海が見えない。漁の合間に、『ちょっと網の修理でも』ということもできない」。不便で、ぎこちない感じがした。あの日から5年、加工業者が被災したことで激減した売り上げは、震災前の7割まで回復した。2014年夏から食材宅配の情報誌と手を組み、魚の販売を始めた。獲れた魚をスマートフォンで撮影し、自身の『フェイスブック』で発信する。全国の顧客と繋がっている。自宅周辺では住宅建設が増えた。いつの間にか“通勤漁師”にも慣れた。「生活スタイルも仕事の方法も変わったが、少しずつやっていける自信がついてきた」と大友さんは言う。岩手県宮古市で唯1人の櫂職人である三浦勝広さん(74)も2年近く、高台の自宅から車で港まで通い続ける。自宅兼作業場を失い、娘たちは安全な家を望んだ。後継者はいない。“廃業”の2文字が頭を過ったが、漁協から入った櫂30本の注文で思い留まった。ウニ漁等の微妙な操船に櫂を使う漁師が未だいる。「俺の仕事は復興の役に立つ」。自宅跡地にプレハブ小屋を設け、仕事を再開させた。念願の新しい作業場が今年、完成した。仕事始めは明日を予定している。

宅地と商業地等を内陸と沿岸に分ける“職住分離”の空間は、1000年に1度とも言われる津波も想定した、謂わば未来を考えた街だ。そこには願いがある。岩手県大船渡市三陸町では昨夏、仮設商店街の9店が沿岸部で再スタートを切った。理容師の葛西祥也さん(43)もその1人。2012年11月に再建した高台の自宅から店に通う。沿岸部にあった嘗ての自宅兼店舗と違い、移動の手間、2軒分の光熱費もかかる。それでも自宅再建後、7回の津波注意報が出る度に“逃げなくていい暮らし”を噛み締めた。津波で自宅にいた父を失った。多くの遺族が、新しい街に託した願いを忘れていない。「二度と家族や家を失いたくない。この暮らし方を後世に繋いでいく」。被災者たちは、深く傷付いた故郷の土地を思い続けながら、暮らし方・繋がり方を変えていく。2万人余の町民が45都道府県・530市区町村に散らばる福島県浪江町。避難町民で作る『まちづくりNPO新町なみえ』運営のフェイスブックには、各地の町民から連日、近況や集会等の情報が寄せられる。同県郡山市に避難する理事長の神長倉豊隆さん(65)は言う。「其々が避難先で頑張っているとわかるから、自分も頑張れる」。岩手県陸前高田市の畳職人・菊池純一さん(58)は、流された自宅の跡地周辺を撮影し続ける。津波で亡くなった長男の勇輝さん(当時25)ら家族7人が暮らした大切な場所だ。写真は1000枚超。大量の土砂が運び込まれ、嵩上げが進んでいく様子も記録した。昨春、その大切な土地にとうとう土砂が盛られた。「自分の歩みが消されてしまうような思いがした」。完成すれば、圧縮された厚み十数mの盛り土の下に埋もれる。その上に、誰かの住宅か商店が建てられる。それでも菊池さんは、住民たちと街作りの勉強会を開く。内陸部の土地にプレハブの畳店を再開した。自宅は跡地から1km離れた高台に再建する。願いがあるのだ。「勇輝たちに見せたい。震災前より良くなった街を」――。

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