官邸激震スクープ! 防衛省内部にスパイがいる!――相次ぐ情報漏洩に不可解な事故死、内部撹乱工作を疑う防衛省幹部の告白

20160509 01
“もぐら”――。諜報という特殊な世界では、ある国の情報機関の職員として働きながら、他国の為にスパイ活動をする二重スパイのことをそう呼ぶ。地中の彼方此方にトンネルを掘って生息するあのモグラ同様、組織内に潜入して目に見えぬ情報のトンネルを巡らし、そこで縦横無尽に活動することから生した隠語である。潜入される側としては、その穴がために組織が瓦解してしまう危険があるだけに、全く以て厄介な存在だが、対応策が取り難い。これまでの調査では、どのような経緯で、またどんな動機を持ってそうなったのかという入口の部分さえ千差万別。人によって様々だ。イデオロギー上の動機からなった者もいれば、金銭に釣られてなった者、或いは情に絆された者もいる。ただ、何れにも共通している二重生活故のストレス辺りに着目すれば、何か見えてくるかもしれない。ストレスが高じてアルコール依存症になったり、派手な生活で家庭を壊してしまったりする者が往々にして見受けられるのである。何故今、私がこんな話をするのか。実は、それには相応の理由がある。が、それについて語る前に一、二、説明しておきたい。先ずは防衛省という組織について。この組織は一般には軍事組織と見られ、兎角、装備や実動部隊員、及びその統率に目が向けられがちだが、実は情報部門こそが重要であり、その要員も少なくない。他国の軍事情報は素より、政治動向や外交方針がある程度の精度を持って掴めていなければ、実動部隊を無闇に動かしても意味が無いからだ。で、斯く言う筆者は、この軍事・情報の複合組織の中で、主に情報畑を歩んできた者である。所謂“制服組”であるか、或いは“背広組”であるかは敢えて明らかにしない。若し明らかにすれば、今後の取材活動に支障が出る恐れがあるからだ。

扨て、話を戻そう。“もぐら”について言及した理由だが、きっかけは凡そ1ヵ月ほど前、国内最大の防課組織、即ちスパイによる諜報活動を予防する上での主要機関である警視庁公安部の人間に、「防衛省内に“もぐら”がいるのではないか」と指摘されたからだ。その頃、私自身も情報組織としての防衛省の惨憺たる有様を憂えていた。この3年間だけに限っても、大きな不祥事が何件も続発していた。が、しかし、外部の警視庁が捜査を行ったもの以外、何れの事件も尻切れトンボ。事件の捜査も検証も内部では碌に行わぬまま、当事者の処分――しかも軽微なものが科されたに過ぎなかった。犯罪を放置しているとしか言えない状況で、組織内の綱紀はボロボロ。無責任体質が蔓延していた。家庭崩壊等、私生活の乱れを指摘される幹部も続出しているのだ。丁度そんな折に、公安部の人間がこんな発言をしたのである。「貴省には“もぐら”がいて、こういった風潮が続くよう画策しているのではないか。内部撹乱工作の匂いがする」。筆者はぎくりとした。敢えて考えないようにしてきた点を、彼はズバリ突いたからだ。しかも、面には出さずに冷静さを保った筆者に、こう追い打ちをかけた。「イギリス秘密情報部(M16)の“もぐら”事件を想起してしまう」。M16とは、Military Intelligence部門のセクション6の略称だ。つまり、軍情報局第6課といったところで、日本に置き換えれば、まさに筆者が関わってきたような部門に相当する。正鵠を射た発言を前に、筆者は若かりし日、この世界に入って間もない頃、各種資料を基に教え聞かされた記憶をいつしか辿っていた。M16に暗躍したソビエト連邦のスパイ網――。“ケンブリッジファイヴ”と称された通り、5人の“もぐら”が組織内に入り込み、組織をズタズタにし、イギリスはおろか、同盟国のアメリカまで翻弄した一大事件である。その中心人物であったキム・フィルビーは、第2次世界大戦中の1940年に入局後、CIAの前身である『アメリカ戦略情報局(OSS)』と連携しつつ、対ソ諜報の責任者を務めたばかりか、M16の長官候補に推されるほどの評価を受けていたが、後に疑惑が発覚した。1955年、『アメリカ連邦捜査局(FBI)』長官のジョン・エドガー・フーヴァーはスパイと断定。イギリスがフィルビーを逮捕していないことに業を煮やし、“もぐら”であることをマスコミにリークしたのである。だが、事勿れ主義を貫くイギリスのハロルド・マクミラン外務大臣は、碌に調査もせずにあっさりとこれを否定し、退けてしまった。フィルビーはその8年後、1963年にソ連に亡命。これにより、スパイであったことを自ら立証したという何とも後味の悪い事件となった。公安部の彼は、こうした諸事情を承知で、この事例を筆者の目の前に提示したのである。筆者は遂に認めざるを得なかった。「今の防衛省は、確かに不自然な状況にある。尋常ではない」と。筆者は、気になる不祥事・事件について、新聞等の公開情報を始め各種資料を取り寄せ、個々、精査し始めた。以下は、その結果である。

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【18歳・240万人の新有権者】(下) 政治的中立、悩む教師

20160506 27
「『今の政党についてどう思うか?』等と生徒から問われた時、どう対応すればいいのか」――。3月下旬、東京都内の高校で行われた模擬投票の様子を視察した政府の教育再生実行会議のメンバーに対し、校長が問いかけた。同行した文部科学省幹部のアドバイスは、「『私はこう思う』とは言わないように」というものだった。18歳選挙権の実施を控え、現場の教師は悩んでいる。教育基本法は、「(学校は)特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と規定している。“政治的中立性”と呼ばれ、「多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に、一党一派に偏した政治的主義・主張が持ち込まれてはならないこと」(2011年12月16日・政府答弁書)を指す。関東の高校で教える社会科教師の1人は、「学校で政治を教えることはずっとタブー視されてきた」と語る。18歳の多くは高校3年生であることから、高校での“主権者教育”が俄かに脚光を浴びている。突き詰めれば、「選挙で政党・候補者をどう選ぶべきか?」を教えることだ。教育現場は、必然的に政治的中立性とのジレンマを抱える。沖縄県選挙管理委員会が昨年末、主権者教育に関して希望する研修を尋ねたところ、回答した教員84人のうち73人が「政治的中立性の確保」(複数回答)を選んだ。

政治的中立性が重視視された背景には、戦後、旧社会党支持等イデオロギー色を鮮明にした『日本教職員組合(日教組)』の活動等があったとされる。「教員の大部分を包容する日教組の行動があまりに政治的であり、あまりに一方に偏向している」(1954年の中央教育審議会答申)と指摘されるほどだった。学園紛争が高校にも飛び火した1969年、当時の文部省が高校生の政治活動を事実上禁じる一方、教員にも高校における政治的中立を求める通知を出した。通知は昨年10月に撤回され、校外での高校生の政治活動は原則解禁されたが、“政治はタブー”が教育現場に浸透した。公益財団法人『明るい選挙推進協会』による15~24歳の男女3000人を対象とした「(学校で政治や選挙の)どのようなことを学んだか」に関する調査(昨年6月)。回答のうち、「民主主義の基本」「選挙の仕組み」は全体の平均で7割近くに上ったが、「(具体的な政治課題に関する)ディベートや話し合い」(12.7%)や「模擬投票」(7.3%)等、実践的な教育の例は限定的だった。千葉大学教育学部の藤川大祐教授は、18歳選挙権について「高校等で、政治的な意思決定のトレーニングとして、政治課題について意見をぶつけ合う等の機会が必要だ」と指摘する。漸く世界の潮流に追いつき、18歳選挙権を実現させた日本。だが、若者の“1票の行使”には欠かせない教育の充実には、未だ時間がかかりそうだ。

               ◇

薩川碧・福田麻衣・平田舞が担当しました。


≡読売新聞 2016年5月1日付掲載≡




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【18歳・240万人の新有権者】(中) 若者の心「つかめない」

20160506 25
各党は、今夏の参院選から18歳選挙権が適用されることを前提に、あの手この手で若者の心を捉えようと試みている。だが、目立つのは「若者の考えが掴み切れない」という困惑の声だ。「18歳選挙権の導入は、日本の政治を変えるひとつのチャンスでもある。若者の声を丹念に拾ってほしい」――。安倍首相(自民党絲裁)は、18歳選挙権を担当する自民党青年局にそう指示している。党で力を入れるのが、意見交換会等での若者との直接対話だ。今月13日、自民党本部。同局の牧原秀樹局長が東京都内の私立中高生約10人と、安全保障・消費税等幅広い分野の課題について語り合った。生徒から「どうやって政治への関心を高めるのか?」と問われた牧原氏は、「一番の悩みだ。ホームページを作ったり、“カフェスタ”というインターネットの動画放送をやったり、手段を尽くしている」と語った。公明党が重視するのは“政策”だ。参院選の重点政策では、若者向けに「返済不要の“給付型奨学金”の創設」「若者担当大臣の設置」等を打ち出した。苦心の跡も窺える。昨秋、18~39歳を対象に、党独自の大規模な全国アンケート『青年政治意識調査』を実施。「7000人を超える回答から政策を検討した」(山口代表)という。民進党の枝野幹事長は今月27日夜、若者に人気の双子の女性ファッションモデルと、インターネットの無料動画番組に出演した。

20160506 26
枝野氏は、子供時代の夢等を語りながら、「選挙で投票しないと、政治家が好きなことやっていいということになっちゃう」と選挙や政治の話を織り交ぜた。だが、年金問題等政策関連に話題が移ると、視聴者からの反応は目に見えて減った。こうした企画は既に複数回行われている。党関係者は、「若者に大きな影響を与える芸能人らと接点を持つことは重要だ」と語る。数年前から党幹部や地方組織の関係者ら党を挙げて、『ツイッター』等のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を使ったPRを徹底してきたのが日本共産党だ。志位委員長は、「若い世代は日本共産党に偏見が無く、新鮮な注目と評価が寄せられている」と若者への浸透に期待感を隠さない。18・19歳の人口は其々120万人程度だ。団塊世代は各年齢で200万を超えており、抑々若者は“大票田”ではない。親と同居していない15~24歳のうち、38.8%が現住所に「住民票を移していない」という調査もある。大学進学や就職で親元を離れた18・19歳の一定数は、地元に戻らないと投票できない為、「投票率は高くなり難い」とされる。それでも、政党は若者に熱い視線を注ぐ。「若い内に党のファンになってもらえば、長い間、支持してもらえるのではないか」「若者の力や声は、政治の現状を一変させるきっかけになり得る」。そんな期待感がある。


≡読売新聞 2016年4月30日付掲載≡




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【18歳・240万人の新有権者】(上) 政治の話「浮いちゃう」

6月20日以降に公示される国政選挙から、選挙権年齢が“20歳以上”から“18歳以上”に引き下げられ、夏の参院選に適用される見通しだ。新たな18・19歳の有権者は約240万人。普通選挙権が認められた1945年以来、約70年ぶりの参政権拡大が日本の政治に齎す影響を考える。

20160506 20
「熊本地震からの復興の為に力が必要です。ご協力をお願い致します」――。今月25日、熊本県南阿蘇村の東海大学農学部阿蘇キャンパスで学んでいた学生約10人が、東京のJR新宿駅前で復興に充てる為の募金活動を行っていた。その1人である同学部2年の上野真帆さん(19)は、南阿蘇村の学生寮がほぼ全壊し、埼玉の実家に避難した。同級生の1人は、全壊したアパートで命を落とした。上野さんは、「道路や橋を直し、住宅を造って、早く現地での生活を楽にしてあげてほしい。政治は難しくて理解できないこともあるけど、復興は政治が決めること。ちゃんと選挙には行ったほうがいいとも思うようにもなった」と話した。多くの若者にとっては、日常的に政治や選挙について考える機会が不足してきたとも言える。「友だちと政治の話なんてすると、“意識高い系”って呼ばれて浮いちゃう」――。先月29日、国会内で開かれた高校生約100人と、与野党各党の幹部らが交流するイベントで、女子高校生がそう語った。参加した他の高校生からも、同じような声が上がった。若者文化に詳しい『博報堂ブランドデザイン若者研究所』リーダーの原田曜平氏は、「一般の若者は、友人関係の話題への関心は高いが、政治、特に国政選挙のテーマは最も遠いところにある」と指摘する。安全保障関連法の反対デモを主導する学生団体『SEALDs』等については、「日本の若者の中では圧倒的な少数派だ」と見る。内閣府による世界の13~29歳を対象にした調査(2013年度)では、「政治に関心がある」と答えた日本の若い世代は50.1%。既に18歳選挙権が定着するドイツ(69%)、アメリカ(59.4%)、イギリス(55.8%)等を下回った。19歳から投票できる韓国は61.5%だった。日本は調査対象の7ヵ国中6位で、選挙権年齢の引き下げが遅かった影響とも言える。「若者の投票行動に大きな影響を与えるのはインターネットだろう」との指摘がある。“尾木ママ”の愛称で知られる法政大学の尾木直樹教授は、「インターネット上で若者の感性とぴったり合う政党や候補者が出てきたら、一気に大きな動きに繋がるかもしれない」と語る。選挙権年齢の引き下げは、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が18歳以上に投票権を与えたことから、昨年6月の公職選挙法改正で実現が決まった。それから1年余りの今夏。18・19歳は手探りの中で、1票を行使する場面を迎えようとしている。

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台湾総統選と母国の未来――気鋭の直木賞作家・東山彰良が故郷で見た“台湾アイデンティティー”の葛藤

20160502 10
今年1月11日、凡そ3ヵ月ぶりの帰省である。本誌の依頼で、5日後の16日に控えた台湾の総統選挙を見届ける為だ。実は投票するつもりでいたのだが、帰国直前に叔母から国際電話がかかり、「あんたの身分証は失効しているから投票できないわよ」と言われてしまった。それを聞いた瞬間、アメリカの気骨あるロッカーであるスティーヴ・アールのライナーノーツに書いてあった言葉が眠間に揺れた。「Don't bitch if you don't vote.――投票しない奴はつべこべ言うな」。が、一度引き受けた仕事を途中で投げ出すつもりはなかった。たとえスティーヴの奴に軽蔑されようとも。「今回の総統選は然程殺気立っていないのではないか」というのが、帰省する前の私の予想だった。「盛り上がってない」と言っているのではない。台湾人の政治好きは有名で、立法委員(日本の国会議員)が乱闘騒ぎを演じるのは日常茶飯事だし、庶民だって負けちゃいない。支持政党が割れたせいで離婚した夫婦の話等は巷間で実しやかに囁かれているし、数年前の選挙の時等は、ある家の兄と弟で支持政党が真っ二つに割れ、家の中に壁を築いて交際を絶ったというニュースまであった。総統選に向けて、台湾は間違いなく大盛り上がりを見せている。しかし、嘗てのような殺気は幾分薄れているのではないか。理由がある。1996年に初の総統民選が実施された時のことは、今でもよく憶えている。“1つの中国”を標榜する中華人民共和国にしてみれば、台湾人が民意で自らのリーダーを決めるというのは、看過できない忌々しき問題であった。一国の中に中国共産党以外の権威が存在すれば、中国の辺境にあって共産党の統治を快く思わない少数民族の民族意識が高まる。「台湾に続け」とばかりに独立運動が起こるかもしれない。「そのような事態に立ち至らない為にも、中共としては断固として台湾の総統選を阻止せねばならないし、その為なら武力行使も辞さないだろう」と私たち台湾人は考えていた。中国が軍事演習と称して台湾海峡にミサイルを撃ち込み、アメリカの航空母艦が台湾海峡へ出張って来るに及んでは、人心は恐慌を来し、株価は暴落した。海外へ脱出する者が続出した。

しかし、恙無く選挙が終わり、李登輝が台湾初の民選総統に就任してからも、中国が攻め込んで来ることは終ぞ無かった。台湾人は胸を撫で下ろした。取り敢えず選挙を実施したくらいでは、中国は動かないことを学んだのである。その4年後の2000年の選挙では、政権交代がなるかが焦点となった。先の選挙で勝利した李登輝は、本省人とは言っても国民党主席である。中国にして見れば、台湾人が選挙を実施したこと自体は面白くないが、それでも独立派に政権を奪われなかったのは不幸中の幸いであった。が、此度、野党の民進党が立ててきた候補者は、台湾独立傾向の強い陳水扁である。「選挙までは許してやるが、調子に乗って独立等と抜かすなよ。若しお前たちが統一交渉を止めたら、今度こそ武力行使だからな」と中国は早速『台湾白書』で牽制してきた。それでも、台湾人は戦争の恐怖を跳ね返し、自分たちのリーダーに陳水扁を選んだ。ここに、中華世界初の平和的政権交代がなったのである。その時もまた、中国が台湾を焦土化するようなことは無かった。台湾人は、また学んだ。「取り敢えず、政権交代も大丈夫。急進的な独立論をぶ上げない限り、痛い目を見ることはない」と。確かに、中国は未だにミサイルの照準を台湾に合わせている。それでも、1996年の総統民選実施以来、台湾は少しずつ「ここまでやっても大丈夫」という境界線を押し広げてきたのだ。これが、「今回の選挙は然程殺気立ってないのではないか」と私が思う第一の理由である。だって、初めての総統選挙でもなければ、当選確実と目されている民進党の蔡英文は極めて穏健な独立派だし、しかも殆ど現状維持派と言ってもいいくらいなのだから。第二の理由は、今回の選挙がほぼ一方的な試合だからだ。殆ど全てのメディアの世論調査で、民進党の蔡英文候補が軒並み40%以上の支持率を集めている。甚だしきに至っては、48%近い数値を出している媒体もある。その『自由時報』による昨年12月16日の調査では、国民党の朱立倫候補の支持率は14%で、親民党の宋楚瑜は7%であった。この数値を信じるなら、今回の選挙は完全なワンサイドゲーム――そう、民進党の圧勝なのだ。そのような勝負に、一体誰が殺気立つことなどできるだろうか?

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【8年ぶりに新大統領が決定】(下) 「メキシコ国境に壁を築け」…暴言王のドナルド・トランプが共和党候補に?

20160428 14
『USAトゥデイ』が2015年9月30日に発表した調査によると、共和党の大統領候補の中で“不動産王”ドナルド・トランプの支持率は23%で、一時よりは下がったものの、相変わらずトップを維持している。トランプが出馬を表明した時、マスコミは「またか」と冷笑した。彼は前回、2012年の選挙でも出馬を表明し、「オバマはケニア生まれだから大統領の資格が無い」等と事実無根の暴言を撒き散らした挙げ句、さっさと撤退した。「どうせ売名行為だから、今回も早々に引っ込むだろう」と予想されたが、何と、このまま指名争いを勝ち抜きそうな勢いだ。トランプは前回以上の暴言を吐きまくった。「メキシコ移民は麻薬の運び人か強姦魔だ」「不法移民を防ぐ為に、アメリカとメキシコの国境に万里の長城みたいな壁を築け。メキシコ政府の金でな!」「私はデブ・ブス・鈍間な女が嫌いだ」「他の候補者よりも私のほうが正直で、私の女たちのほうが(彼らの妻より)ずっと美人だ」…。勿論、「差別だ!」と批判されているが、トランプは謝罪するどころか、「アメリカはPC(政治的公正さ)を気にし過ぎだ。そんなことじゃ中国に負けてしまうぞ」と開き直る始末。ところが、トランプが問題発言する度に支持率は上がっていった。一番困っているのは共和党だ。元々、トランプは共和党員でも何でもなかった。1990年代はクリントン大統領を支持していた。それが今や、他の党員候補に支持率で倍の差をつけてしまった。10月1日のニューハンプシャーでは、3500人ものトランプマニア(トランプ支持者)が集まったのに、ジェブ・ブッシュの演説には僅か200人。投票まであと1年しかないのに。

では、トランプマニアとはどんな人々なのか? NBCが7月に行った調査によると、共和党内のトランプ支持者の91%が白人、「移民がアメリカ国民の雇用や医療保険を簒奪している」と考える人が83%、「黒人が貧しいのは本人の責任だ」と考える人が93%だった。また、CNNによる調査では、男性のトランプ支持者は女性の倍だった。つまり、マイノリティーが優遇されていることに不満を抱く白人男性が、トランプの暴言に溜飲を下げているらしい。トランプのスローガンは「アメリカをもう一度偉大にする」。支持者たちは、アメリカンドリームの実現者であるトランプにアメリカの経営を任せたいと願う。その頼もしいイメージは、2004年から続くテレビ番組『アプレンティス(実習生)』によって作られたものだ。年俸25万ドルでトランプに雇われる座を巡って、20人程の参加者が競い合うゲームショーで、例えば「同じコップ1杯のレモネードを道行く人々により高く売れるのは誰か?」といった課題に挑戦し、その結果を見たトランプが誰か1人を篩い落とす。「お前はクビだ!」の一言で。漫画みたいに非情だが、優秀な経営者を“演じた”トランプを視聴者は憎み、愛した。でも、本当は甘やかされた既得権者に過ぎない。トランプは親の資産を引き継いだだけだし、今まで何と4度も破産し、負債を踏み躙り、免税を受けている。政策にも何ら具体性が無い。「IS(イスラミックステート)を潰すには地上軍を送り込め」と吠えるが、ブッシュ時代から続くイラク・アフガン戦争で疲弊したアメリカにそれができる訳がない。「中国から仕事を奪い返せ」という言葉にも方法が明示されない。9月末、トランプは初めて具体的な税制改革案を発表した。それは徹底的な減税策で、大雑把に言うと、年収2万5000ドル以下なら連邦所得税を全額免除されるというものだ。貧困層へのアピールだが、彼らは今も殆ど所得税を払っていないので、本当は大きな違いはない。

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【8年ぶりに新大統領が決定】(上) アメリカはヒラリー・クリントンを選ぶのか

20160428 07
2016年11月8日に投開票が行われるアメリカ大統領選挙。バラク・オバマ大統領の任期満了に伴い、アメリカは8年ぶりに新大統領を戴くことになる。民主党にとっての追い風は、景気回復が堅調なこと、格差是正への関心が高まっていること、オバマケアへの加入者が急伸していること、中南米系を中心に非白人の有権者が増加していること、人工妊娠中絶や同性婚・無宗教等への理解が広まっていること、キューバやイランとの関係改善が概ね評価されていること…等である。その半面、シリア問題に象徴されるオバマ政権の“弱腰外交”に対する批判は、依然として根強い。加えて、第2次世界大戦以降、同じ政党が3回連続して大統領選を制したのは1988年のみという事実が、民主党に重くのしかかる。2015年9月の時点で、オバマ大統領の支持率は約45%。クリントン大統領の2期目の同時期は約60%だったが、それでもゴア副大統領への政権委譲には失敗している(因みに、ブッシュ前大統領の同時期は約35%)。政権を3期連続して死守するのは斯くも難しい。その大きな要因としては、やはり国民の“飽き”がある。現状への不満が様々に募り、自ずと“変革”への期待が高まる。とりわけ近年は、党派対立によるワシントン(=中央政界)の機能不全が深刻で、国民の不満が鬱積している。連邦議 会の支持率は約15%と、稀に見る低迷が続き、「アメリカが悪い方向へ向かっている」と考える国民が6割を超える。こうした不満が“変革”を求めるうねりとなり、政権与党や現職にとって大きな逆風となる。この点が、目下、公職経験が皆無の“不動産王”ドナルド・トランプ氏が共和党内に旋風を巻き起こしている最大の要因でもある。構図そのものは、1992年の大統領選の際の“ペロー旋風”と似ている。

扨て、民主党の大本命は、やはりヒラリー・クリントン氏だろう。知名度・組織力・資金力の何れも他候補を圧倒しており、加えて“アメリカ史上初の女性大統領”という物語性も持ち合わせている。既に、ヒラリー支持を打ち出す党内有力者の数は、水面下で着実に増えつつある。とは言え、国務長官時代に個人のメールサーバーとアドレスを公務に使用していたこと、『クリントン財団』が外国政府から多額の献金を受けていること、ウォール街寄りの姿勢が目立つこと等、予てから彼女に纏わり付く“嘘吐き”“権力の猛者”といった負のレッテルを拭い切れないでいる。当初は泡沫候補に過ぎなかったバーモント州選出の連邦上院議員で、民主社会主義者を自任する庶民派のバーニー・サンダース氏が支持率を伸ばしているのは、そうした“反ヒラリー感情”の受け皿となっているからだ。片や共和党は現在(2015年9月末)、候補者が15人という異常事態にある。その要因としては、2010年のアメリカ最高裁判決により、政治資金管理団体(PAC)が上限無く献金を集めることができるようになった点が大きい。つまり、大富豪のパトロンさえいれば、立候補や選挙戦の継続が容易になったのである。実際、2012年の大統領選では保守派を中心に候補者が乱立しており、しかも内部で候補者を一本化できなかったこともあり、穏健派のミット・ロムニー氏が漁父の利を得る形で共和党の指名を獲得した。現在、穏健派では元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏や、オハイオ州知事のジョン・リチャード・ケーシック氏、保守派ではフロリダ州選出の連邦上院議員のマルコ・ルビオ氏、テキサス州選出の連邦上院議員のテッド・クルーズ氏辺りが有力視されている。フロリダ州やオハイオ州等、11月の本選挙の結果を左右する激戦州出身の候補者が並んでいる点は、共和党にとっては好材料と言える。その半面、民主党と比べると、現時点で既に候補者同士の中傷合戦が盛んな点は、党内分裂という致命的な事態を招きかねない不安材料である。

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【「安倍首相は現実主義者だ」・古谷経衝氏に聞く】(下) 憲法改正、日本の大衆とメディアについて

20160427 09
――歴代の自民党政権でも右寄りと見られた安倍首相が昨年8月に発表した『戦後70年談話』に、首相支持層の受け止め方はどうだったのでしょうか?
「私自身、70年談話は無難なところが良いと思います。穏健な自民支持層の多くも肯定的な反応だったと思います。“美しい国”をキャッチフレーズに、教育基本法の改正等に踏み切った第1次政権みたいなものを期待していた“最も右側”の人たちから見れば、『日和っている』と映ったでしょう。しかし一方で、安倍首相はもっと踏み込みたかったが、周りが良くないという“君側の奸”論がありました。『自民党と連立する公明党が諸悪の根源であるので、自分たちと組むべきだ』と主張していた次世代の党に近い考え方です。これはトンデモです。私の安倍首相観は、中道右派や中道左派をもがちっと固めている現実主義的な判断をする政治家(リアリスト)というものです。彼の著作の中にはロマン主義的な世界観も見え隠れしますが、少なくとも、現実の政治の世界でそのように演出してという点では評価できましょう。ネット右翼のヘイトスピーチについても、安倍首相は突き放しています。リアルに物事を見ているのです」

――高い評価はずっと変わっていないものなのですか?
「私自身は、第1次政権が発足した時は期待めいたものがありました。小泉政権の時に北朝鮮の拉致問題をあれだけやった後、憲法改正を前面に掲げていて、小泉構造改革路線を継承すると思われていたからです。しかし、第2次政権ができた時は、本当に長期政権として安定するかどうか、第1次政権の時の唐突な辞任の記憶もあり、懐疑的でした。ただ、3年経っても無難にやっている。今年で4年目ですが、未だ続くでしょう」
「しかし、沖縄の辺野古問題への対応は無慈悲と感じますね。沖縄選挙区は、前回選挙でも自民党が衆議院の議席を取れなかったところですから、そういった地域はどうでもいいのかというような印象を受けます。安倍首相は保守を掲げ、『愛国者である』『愛国心が重要である』と言っている訳ですから、沖縄戦をどのように考えるのか。『沖縄県民斯ク戦ヘリ、県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ』の大田実中将の電文をどう捉えるのか。本土の人間は、沖縄県に『本土決戦の先駆けと言っておきながら、本土だけ1億特攻しなくて申し訳ありませんでした』と謝罪しなければならない。国の為に前線でアメリカ軍と戦って頂いた、護国精神を貫徹した沖縄県民に対して、それが本当の愛国者・保守としての姿勢ではないですか。この点に関しては、現政権は全然、愛国的ではない。ここは、私は従前から批判しております」
「また、政権が進める原発再稼働には反対です。原発は事故を起こすと、取り返しのつかない国土の汚染を招来します。国土が放射能に没すれば、電気代が高いだの低いだのという問題は刹那的な事項でしかなく、天文学的な数字で国益を損ねます。国家百年の計の為にも、原発は日本の安保上のアキレスとなっているた為、必要ありません。よって、政権が進める原発再稼働の方針には承服できません。よく保守派が言う“核武装論”ですが、日本の商用原発は軽水炉の為に核武装とは無関係で、原発維持の理由にはなりません。安倍政権の経済政策は概ね評価しますが、個別事例は是々非々で見ています」

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【「安倍首相は現実主義者だ」・古谷経衝氏に聞く】(中) ネット右翼の実態とは?

20160427 06
――著書『ネット右翼の終わり』(晶文社)で、ネット右翼について詳しく分析していますね。
「私の調査では、ネット右翼は基本的には無党派で大都市部に住む中産階級です。政策面では再分配より構造改革を重視、外交ではタカ派で、安倍氏が所属してきた自民党清和会と最も親和性が高い。そういった意味では、前述した安倍首相・自民党支持者と重なる部分が多いです。様々な媒体や識者の発言の中で、ネット右翼の中心は“低収入の非正規雇用”という見方がありますが、実態は全く異なっています」
「ネット右翼が強く主張する“在日コリアンの特権(所謂在日特権)”は、国から庇護されておらず、独力で社会的地位を獲得したという自信を持っている都市部の中産階級の立場を反映しています。よって、高所得の人たちも多いのですが、それは即ちメディアリテラシーが高いことを意味するものではありません。“在日コリアンの特権”も、インターネットに書き込まれた真偽不明の内容を鵜呑みにしてしまっているのです。『朝鮮人が日本を支配している』という根拠もないトンデモ説を信じている人に何百人と会ったこともあります」
「最近では、インターネット上のデマを著作のある保守系言論人が補強し、逆輸入する形でそのデマの信憑性が高まってしまっているケース等が頻繁に見受けられます。ただ、差別的な言葉が目立つネット右翼のデモに参加する人は、ネット右翼の中でも最も過激な存在(行動する保守)であり、ネット右翼の多数派とは言えません。殆どのネット右翼は、そういったデモを動画で視聴しているだけです。ネット右翼の情報の源泉は、各種動画・掲示板のまとめサイト、他にSNS等です。書籍・雑誌には殆ど依拠しません」

――最近になって注目を集め出したネット右翼の考えとは、どういうものでしょうか?
「リベラル・左翼は共産党や社民党という受け皿があるので、ネット左翼はあまりいません。しかし、ネット右翼は元々、支持する国政政党を持たない流浪の民だったのです。自民党経世会の橋本龍太郎や小渕恵三両政権は、ネット右翼から見ればハト派で評価されていませんでした。但し、清和会でありながら福田康夫の人気もあまりなかったのは、彼が親中と見做されたからです。慰安婦問題で談話を出した河野洋平氏は保守リベラルだし、保守本流たる宏池会も左翼に映るのです。彼らの中で重要なのは、経済政策ではなく、外交安保政策がタカ派であるか否か。対中・対韓政策でどの程度語彙が強いか。或いは、その思想性の“踏み絵”としての靖国参拝等です。よって、終戦の日ではないが靖国に行った小泉元首相を、ネット右翼は大きく支持しました」

――近隣諸国に対するネット右翼の反発は強いですね。
「私の見立てでは、嫌韓7・嫌中2・嫌北(朝鮮)と嫌米を足して1の比率です。韓国への批判が色濃い。但し、最近では嫌韓をやり過ぎて飽きられてきたので、嫌中の比率が顕著に増えつつあるのが特徴です。元を辿れば、生活保護等における在日コリアンの特権というインターネット上のデマゴーグが、未だに信じられているからです。過去の植民地支配の経緯等から、既存メディアが韓国批判に手心を加えたり、犯罪報道の際に通名で伝えてきた局があるというのは確かだと思いますが、それを根拠無き特権と結び付けているのです」
「同和問題をそのまま“在日コリアン”に読み替えている恣意的なデマも大きく影響しています。関西や西日本の事情を知らない首都圏のネット右翼が、同和問題を曲解し、“在日コリアン”の問題として読み替えている例はかなり散見されます。一方、中国は尖閣諸島の問題で緊張関係にありますが、私の世代にとっては人気漫画やパソコンゲームの三国志で馴染みのある国です。他方、韓国を舞台にした作品はあまり思い浮かびません。親しみのあるカルチャーの影響も関係すると感じます」

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テーマ : ネトウヨ・ネット右翼
ジャンル : 政治・経済

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