【公明党・創価学会よどこへ行く】(01) 公明党に“身内”の波乱…存在感無き安保歯止め役、学会員からも疑問の声

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安全保障関連法案の審議が大詰めを迎えている。与党は9月16日にも参議院特別委員会で可決し、16・17日での参議院本会議での可決・成立を目指している。近く成立するのは確実な情勢だ。だが、法案に対する反対論は根強い。共同通信が8月14・15日の両日に実施した全国電話世論調査に依ると、安保法案の今国会成立に反対は62.4%、賛成は29.2%。他のメディアの世論調査でも、概ね6割以上が反対している。憲法学者を中心に専門家からは“違憲法案”の指摘が相次いでいる。国会審議を通じて見えてきたのは、この法案の生煮え感だ。安倍晋三首相だけでなく、安全保障法制担当の中谷元大臣の答弁も二転三転、暫し迷走した。安倍首相が法案が必要な理由として盛んに例示していた中東・ホルムズ海峡での機雷除去は、「現実問題として、発生を具体的に想定していない」(首相の国会答弁)に変わってしまった。国民が不思議に感じるのは、公明党の姿勢だろう。公明党の山口那津男代表は、「最後まで丁寧な説明をしたい」と話すばかりで、法案を成立させることが大前提になっている。元々、公明党は集団的自衛権には慎重だった。自民党との協議で自衛権発動の新3要件を決め、国民の権利が根底から覆される“明白な危険”がある場合とした。自衛隊に依る他国軍の後方支援には、国会の例外無き事前承認が必要とした。その功績は大きいが、それでも安保法案は行使の要件について曖昧さが残る。立憲主義の観点からも問題がある。にも拘らず、安倍政権の“ブレーキ役”を自認していた筈の公明党は無策だ。

そんな状態に業を煮やし、公明党の支持母体『創価学会』の会員でありながら、安保法案反対の運動をする人がいる。愛知県安城市の農業・天野達志さん(51)だ。学会員2世だ。「武力で平和を築こうとするのは、学会の教えに反する」と2015年6月末、“ひとりの学会員”というアカウントを作り、ツイッターで発信を始めた。7月末、本名と住所を明かしたウェブサイトを開設。“法案の白紙撤回”“公明党が平和の党に立ち返ること”を求め、学会員かどうかを問わず署名を集めた。安保法案反対で最多の参加者があった8月30日の国会周辺デモにも、天野さんの姿があった。小雨の中、学会のシンボルである“三色旗”や三色旗を模したプラカードを掲げ、“法案撤回”を呼びかけた。ツイッターで予告したこともあって、首都圏の学会員が10人以上参加した。互いに知らない者同士だ。これまでに集まった署名は約9000人分。9月11日、公明党本部に届けたが、党本部職員が直接受け取るかどうかで一悶着あり、それだけで4日も費やしてしまった。天野さんは反対運動を始める前まで、安保法案について公明党が主張するように適正な歯止めがあると考えていた。学会員は、公明党の政策についてDVD等で学習する機会が幾度もある。ところが、2015年6月の衆議院憲法審査会で憲法学者が違憲の表明をしたのをきっかけに、疑問を抱くようになった。「党が言っていることは違うんじゃないか?」――自分なりに勉強し、問題点を認識した。熱心な学会員である天野さんは、「池田大作先生(創価学会名誉会長)は、武力に依る抑止力も集団的自衛権も否定されている。法案は、仏法の“生命尊厳”の思想に反する」と考える。天野さんの元には、名前を出して声を上げられない学会員から「頑張って下さい」「自分も反対だけど、学会内の上の意向には逆らえない」という声が沢山届いている。

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【中国人の攻略法】(04) “爆買い”旅行者の正体…銀座が中国人でごった返す理由

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今年6月27日。福岡・博多港に巨大な客船が突如として現れた。『クァンタムオブザシーズ』と名付けられたその船は総重量16.7万トン、全長約350mと、客船としては世界で2番目の規模を誇る。日本に寄港した客船の中では過去最大だ。この日が日本初寄港だった船から溢れ出てきたのは、4150人の中国人観光客。東シナ海クルーズツアーの参加者たちで、全乗客の9割以上を占めていた。実は今、博多港には中国発のクルーズ船が引っ切り無しに押し寄せている。同港に依れば、外航クルーズ船の寄港回数は、昨年の99回から今年は276回まで爆発的に伸びる見込みだ(7月1日時点の予定)。その大半は上海発で、今年は約50万人もの中国クルーズツアー客が福岡に上陸する。今年1~6月の訪日外国人旅行者数は、過去最高の914万人を記録した。現在のペースでいけば、年間の訪日外国人旅行者数は1800万人前後となる見通しで、これも史上最多。45年ぶりに訪日外国人数が出国日本人数を上回るという象徴的な年になりそうだ。中でも増加が顕著なのが中国からの旅行者で、前年同期比で倍増の217万人となり、国・地域別でトップだった。激増の理由の1つが、クルーズ船の寄港が増えたことだ。クルーズツアーは4泊5日、船内の食事代込みで4000~5000元(1元=約20円)が一般的で、空路のツアーよりお得感がある。中国旅行社総社で外国旅行の責任者を務める武暁丹氏は、「3世代ファミリーでのんびり過ごせるのが利点。(航空機と違い)購入品の持ち込み制限が無いのも大きい」と分析する。定番ツアーは、日中韓3ヵ国を巡る約5日間のショートクルーズ。参加し易い日程と手頃な価格が海外旅行初心者に受け、驚くほどのヒットとなった。日中の確執の舞台である東シナ海は、今や中国人にとってレジャーの海なのである。

上陸した中国クルーズ客の福岡での“お目当て”は、中洲にある大型免税・家電量販店の『ラオックス』だ。多い日には6000人が大挙して来店する為、身動きができないほど人で溢れる。「一度に何十台ものバスが来られ、中国語対応できる家電量販店は、福岡にはラオックスしかない」。混雑の理由をそう説明するのは、今年2月に福岡空港近くに訪日客向け大型免税ドラッグストア『ドラッグオン福岡』を開いた『ケアルプラス』の満園昌嗣副社長だ。加えて、「クルーズ客のバスを手配した旅行会社やガイドに対して、ラオックスは客に依る売り上げに応じてキックバックを払う」(満園氏)という仕組みも大きく作用している。旅程に免税店訪問を入れることで、旅行会社は店からキックバックを得る。それをホテルやバス・食事・ガイド等の費用に充て、ツアーの販売価格を抑える。中国の団体旅行では今や当たり前だ。ドラッグオンも同様の仕組みを使い、中国人クルーズ客の需要を掴もうと開業した。店の外に掲げられた「クァンタムオブザシーズのお客様を歓迎します」という意味の中国語の横断幕が目を引く。店員も中国人ばかりだ。毎日のように大型バスがやって来て、団体客が吸い込まれている。「彼らを相手に商売をするなら、(キックバックの)ビジネスモデルに合わせるしかなかった」と満園氏は明かす。現状、中国人客が殺到するのはラオックスであり、同社は中国資本。「我々が何もしなければ、(商売をしたい中国人たちに)福岡を場貸ししているのと同じだ。このビジネスが何年続くかわからないが、地元にお金が落ちるようにするには誰かが始めなければならなかった」(満園氏)。このキックバックモデルは、東京や大阪でも変わらない。銀座や秋葉原のラオックス前に大型バスが停車し、中国人でごった返すのはその為だ。東京と大阪を巡る“ゴールデンルート”の場合、帰国前日までに東京か大阪で目当ての土産を購入する為、キックバックモデルの成立する免税店に向かうのだ。

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【オワハラ時代の大学と就活】(04) 会社説明会やインターンシップは“学生との重要な接点の場”

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企業はここ数年、就活生向けの会社説明会(セミナー)や、主に大学3年生が参加するインターンシップの内容に工夫を凝らしている。“学生との重要な接点の場”と位置付け、自社の業務内容や社風を知ってもらうことで、自社に関心を持ち、採用試験を受ける優秀な学生を増やしたいという狙いがある。特に、今年度は学生有利な“売り手市場”に対応し、初めての試みをする会社も目立つ。一口に会社説明会と言っても、大きく分けて“就職情報会社主催(合同セミナー)”“大学主催”“会社主催”の説明会に分けられる。『三菱電機』が「今年度は3月から7月までに合計407回の説明会を実施し、昨年度より75回増やした」という通り、例年にも増して力を入れている企業も多い。説明会の中でも、その会社について最も深く学べる機会として多くの学生を集めるのが、会社主催のセミナーだ。大企業になると、ホテルの大部屋やホールを貸し切り、数千人規模で開くことも珍しくない。最近は、壇上の会社関係者の説明をただ座って聞くだけではなく、“双方向のやり取り”を重視する傾向が見られるという。例えば、「分野毎に学生10人程度のテーブルを設け、社員1人と学生が気軽にやり取りできる機会を作った」(『丸紅』)という例や、「実際に保険金サービス部の業務を体験してもらった」(『損保ジャパン日本興亜』)等の事例だ。更に、「昨年度から理系女子向けセミナーを始めた」という三菱電機を始め、興味や属性に合わせて説明内容を細分化するケースも近年増えている。「女子向けや理系向けの説明パンフレットを新たに作成し、昨年の3種類から9種類に増やした」(損保ジャパン日本興亜)という企業もある。会社説明会では、通常は採用担当者等の一般社員が説明するが、今年は社長や役員が登壇して自社をアピールする事例も増えた。『みずほフィナンシャルグループ』では佐藤康博社長が、丸紅では国分文也社長が其々自社セミナーに登壇し、会社説明に当たった。両社共に、「質疑応答では、時間切れになるほどの活発な質問が出た」と言う。学生にとっても、志望先の経営トップから直接話を聞けることは貴重な機会になるようだ。

一方、インターンシップは大企業でも数十人規模から100人超程度の規模で実施されることが多い。「海外で研修する」というケースや「無人島で実施する」等、話題を集める内容もある。大企業では、「各部署の営業について行ってもらい、営業現場の空気を体感してもらう」(丸紅)という内容の他、「相手先企業に事前にお願いし、学生に実際に営業してもらう」(みずほFG)という実践型もあり、受け入れる部署に依っても内容は変わる。共通点は「受け入れ部署毎に多くの社員の協力を得ないと成り立たない」というほど、人手をかけることだ。「日頃の業務の傍ら、学生に接するのは手間がかかる。多くの学生を受け入れるのは困難」という企業が多い。そんな中、損保ジャパン日本興亜は「日本最多」(同社)と言うほど大規模に実施している。今年も夏と冬に分けて、全国3000人もの規模でインターンシップを実施する予定だという。同社は、損保ジャパンと日本興亜が昨年9月に経営統合してできた。「合併して間もない企業だけに、知名度アップに努めたい。また、『派閥があるのではないか?』『まだ混乱しているのではないか?』という懸念があるかもしれない。そうした不安を払拭したい」(人事部採用グループリーダーの佐野淳氏)との理由から、会社説明会と共に力を入れている。昨年から始めた大規模インターンは、昨年の2700人から更に増やすことにしたという。企業が今年から頭を悩ませるのは開催時期。今年は8月から採用活動が始まった影響で、「夏は新卒採用で精一杯。インターンについてはまだ白紙」という大手企業も多い。例年は、学生の夏休み中にインターン開催という企業が主流だったが、今年は少し遅らせ、秋から冬にかけて開催する例も増えそうだ。 (秋本裕子)


キャプチャ  2015年8月25日号掲載
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【中露接近で何が起きるか】(01) 習近平とプーチンが演ずる“新・世界秩序”の舞台裏…そして中央アジアでの覇権争いが始まる

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――中国とロシアが関係を強めている状況がある。2013年3月、習近平が中国国家主席になってただちに、最初に訪問した国はロシアだ。中露接近の背景をどう見るか?
「現在の中露関係は極めて実利的(プラグマティック)だ。友好関係の背景にイデオロギーなど無い。彼らが言うところの“アメリカの世界的覇権”を弱体化させることに、中露は共通の利益を見い出している。中露接近の理由は、第1にそれだ。この1年を見ると、更にウクライナ情勢が接近の背景となっている。昨年3月のクリミア半島併合の結果、ロシアはヨーロッパ連合(EU)やアメリカ等から制裁を受けることになった。そこで、ロシアは支えが欲しかった。そんな中で、(同年5月には)中露が向こう30年間に及ぶ巨額の天然ガス供給契約で合意する。10年近くに亘った交渉が妥結した。中国は、ロシアが提示した価格を相当値切ったと言われる。プーチン大統領にしてみれば、『それでも構わない』という気持ちだろう。プーチンは、『見かけだけでも、中国との関係が大きく前進したということにしたい』と決めていたのだ。天然ガスの価格は二の次、中国の言うままで構わなかった。これは、同盟関係等というのとは違う。ただ、この中露接近は、接近を必要とさせる条件がある限りは続く。その条件の1つは、中露の領土拡張への野心と、それに対する米欧や日本等の西側諸国の抵抗である。長い目で見ると、中露はお互いの間に多くの問題を抱え込んでいる。ロシアとの国境地帯に住む中国人は多い。両国間では活発な経済活動が行われているが、このまま行けばロシアは中国に(経済面で)かなり依存する格好になる。その事へのロシア側の懸念がある。そんな状況を見ると、今の接近が長期的な同盟関係に繋がっていくとは思えない」

――中国側から見ても、やはり相当実利的な理由がある訳か?
「中国側の動きを見ると、国力の増進と共に野望が膨らんでいる状態だ。その好例が、“アジアインフラ投資銀行(AIIB)”だろう。AIIBを創設し、そこに出資して、何れは世界銀行よりも大きくしようと狙っているかもしれない。そうなると、まさにアメリカの持つグローバルパワーの(中国への)移行の典型的シンボルとなるだろう。中国は、第2次世界大戦後にアメリカが中心になって作った現行の国際システムに不信感を抱いている。『アメリカの利益を主眼にして作られたシステムだ』と見ているからだ。アメリカは、世界銀行や国際通貨基金(IMF)に中国をもっと積極的に取り込もうとすべきだった。大きな失策を犯した。中国にしてみれば、『自分たちには何兆ドルという外貨準備があって利用できるのに、お前ら(アメリカ)は巨額の借金を抱え込んでいるではないか。自分たちが開発銀行を作って何が悪い』ということだ。アメリカはそうした動きを止めようとしたが、屈辱的な敗北を喫した。結局、主要国でAIIBの創設メンバーに入らなかったのは、アメリカと日本だけということになった。中国は僅かずつながら、実に粘り強く、世界を自分たちの利益にそぐう形に作り変えていっている。そこには、長期戦略が窺える。南シナ海を見ても、少しずつ少しずつ支配を広げている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の小国群にはそれを押し留める力は無い。ロシアとの友好関係は“パートナー作り”と言っていい。今のところ、ロシアは中国を支えている。中国が自分たちに都合の良い国際秩序を作ろうとするのに、手を貸している」

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グーグル・マイクロソフト・ソフトバンク…インド人CEOが世界を制する日

『グーグル』や『マイクロソフト』、そして『ソフトバンク』でインド人リーダーが相次いで誕生した。高度な理数系教育や厳しい環境が生む卓越したマネジメント能力と、世界中に広がるネットワーク。インドパワーはベンチャー企業や製造業の世界にも及んでいる。日本企業も意識を変え、インドが輩出する人材のパワーを生かすべき時代が到来している。 (ロンドン支局 蛯谷敏・宗像誠之・藤浩実)

首都・デリー郊外のグルガオンは、インドの中でも急速に開発が進む新興都市の1つだ。嘗ての広大な荒地には高層ビルが林立し、多くの多国籍企業やベンチャー企業が拠点を置くハイテク都市へと変わった。2015年9月上旬、その一角に聳え立つ真新しいオフィスに若い起業家を訪ねた。クナル・バール氏、32歳。インドのEC(電子商取引)サイト大手『スナップディール』のCEO(最高経営責任者)だ。2020年には8億人に達する見込みの中間所得者層、契約数で1億台を突破したスマートフォン(スマホ)の普及等が起爆剤となり、インドでもEC市場は急拡大している。『インドインターネットアンドモバイル協会』に依ると、2015年のEC市場は1兆ルピー(約1兆8000億円)を超える見込み。今後も年平均で30%以上の成長が続き、5年後には8兆円規模になると言われている。その市場で、アマゾンドットコム等の多くの企業が勢力争いを繰り広げている。中でも、2010年に創業したスナップディールは最も勢いのある企業として、インド内外で注目されている。きっかけとなったのが、2014年10月に発表した『ソフトバンク』グループに依る約677億円の大型出資だ。更に今年、中国の『アリババ集団』やEMS(電子機器の受託製造サービス)最大手である台湾の『フォックスコン』等からも5億ドル(約600億円)の資金を調達した。

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『スナップディール』CEOのクナル・バール氏。ニケシュ・アローラ氏の助言に従い、投資を物流・決済・技術に集中させている。

手に入れた約1200億円以上の資金を元手に、自社サービスを補完する技術を持つベンチャー企業を次々と買収。昨年度は10億ドル(約1200億円)だったECサイトの年間流通額は、今年度は40億ドル(約4800億円)を突破する見込み。スナップディールは日本の『楽天』のように、小売業者を集めたショッピングモール型のサイトを運営する。デリーやムンバイに次ぐ“ティア2”“ティア3”と呼ばれる地方都市に強く、売上高の約6割強をこれらの都市で稼ぐ。社員数も6000人を超え、創業5年で楽天本社を上回る規模となった。創業地のデリーからグルガオンへの移転は、オフィスが手狭となったからだ。インドでも話題のベンチャー企業の新オフィスだけに、「アメリカのシリコンバレーを彷彿させる先進的なものだろう」との期待は、あっさりと裏切られた。机をパーティションで仕切っただけの質素なオフィスには、ソファで寛ぐ社員の姿や、ホワイトボード代わりになる壁も見当たらない。記者が「ベンチャーらしくないですね」とぶつけてみると、バールCEOからこんな答えが返ってきた。「誰でも真似できるオフィスより、自社にしかない競争力を高めることに投資を集中する。これは、ニケシュからの大切なアドバイスだ」。ニケシュとは、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長(47歳)のこと。グーグルの上級副社長だったアローラ氏は2014年9月、孫正義社長の熱烈な誘いを受けてソフトバンクに入社した。165億円の役員報酬や600億円もの自社株買いで話題を集めた、今の日本で最も有名なインド人だろう。

アローラ氏は孫社長の参謀として、ソフトバンクグループ全体の経営戦略を補佐している。重要な使命の1つが、故郷であるインドへの投資だ。孫社長は、「インドに10年間で1兆円規模の投資をする構えがある」と語っている。アローラ氏は3~4ヵ月に1度はインドに渡り、ベンチャーの発掘と投資先への助言に奔走している。スナップディールのバール氏とアローラ氏は、メール等で毎日のように情報交換している。中でもアローラ氏が繰り返すのが、「投資の集中」という助言だ。バール氏はこれに従い、調達資金を“物流”“決済”“技術”の3分野に重点投資している。2015年3月には物流会社に出資し、広大なインドの国土をカバーする配送機能の安定と時間短縮を進めている。総額で2億ドル(約240億円)規模の資金を物流投資に充てる計画で、全土にある約50ヵ所の倉庫網を拡張する。決済では、インターネット上でプリペイド式携帯電話の料金を補充できる決済会社を買収してサービスの幅を広げた他、小売業者に出店資金を融資する金融サービスも提供する。技術については、急成長するスマホ向けの開発会社を複数傘下に収めた。3分野に特化した成長戦略の成果は徐々に表れ始め、流通総額で差をつけられていた最大手の『フリップカート』との距離を猛烈に縮めている。アローラ氏のマネジメントの方法は、極めてシンプルだ。企業の置かれた状況に合わせて本質的な助言を与えるだけで、具体的な行動は現地の経営陣に任せる。そんな“ニケシュの言葉”に従い、堅調に成長を続けている企業はスナップディールの他にもある。

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テーマ : 経済
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安倍首相、空疎な天皇観――天皇・皇后両陛下の歴史への思いが通じない原因は内閣と天皇の“距離”だ

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「天皇と政治的指導者(特に首相)との関わりは如何にあるべきか?」――もう30年ほど前になろうか、宮内庁長官を退官した宇佐美毅氏に、首相の昭和天皇への内奏について尋ねたことがある。その折に、「最も印象に残っているのは、田中角栄元首相だった」と述べていた。多くの首相は、慣例的に内奏を行ったにしても、天皇に政治的判断を求めるような説明は極力避ける。例えば、昭和天皇が「経済は上手くいっていますか?」との問いを発すれば、「今は不況ですが、2~3年もすれば景気は良くなると思います」と手短に答えるのが一般的な形である。その内閣の経済政策を説明すれば、天皇の質問や回答はそれに沿った内容にならざるを得ない。“天皇の政治的関与”を避ける智慧が両者の間にあった。ところが、田中元首相はそういう慣行を無視して、天皇が「経済は上手くいっていますか?」と尋ねられると、貿易収支がどうのとか自らの内閣の経済政策の説明を延々と行ったというのである。普通は10~20分という内奏の時間が30分近くにも及んだこともある。この説明を続けながら、宇佐美氏が「田中さんは、陸下が政治的立場を重んじて聞くだけの関係をいいことに、思う存分、自らの意見を述べ続けた訳です」と苦笑を浮かべていたのが、今も私の記憶には残っている。首相在任者の回想録や証言・日記を読んでいくと、其々様々な感概やら感想があり、それ自体が歴史そのものと言っていい。2~3の例を挙げると、佐藤栄作元首相がアメリカのジョンソン大統領から沖縄返還の約束を得て帰国し、夜半だったにも拘らず内奏に赴いている。佐藤の日記を基に書かれた『正伝 佐藤栄作』(山田栄三著)に依ると、「沖縄や小笠原の返還に、強い関心を持たれた陸下は、こまごまと質問され、首相の説明に非常に満足されたようだった」とあり、「この後、皇太子の御所は、記帳だけの予定が、とくに招ばれて1時間ほどの報告となった」ともある。昭和天皇・皇太子(今上天皇)も、沖縄返還を殊の外喜ばれたことがわかる。「普段は政治との距離を注意深く取っておられた昭和天皇も、関心を寄せられた沖縄の問題となれば長い説明をお聞きになることもある」ということだろう。佐藤は歴代首相の中でもとりわけ、昭和天皇と相性が良かったことも知られている。

中曽根康弘元首相の回想録(『自省録』)には、岸信介元首相の死亡時に正二位大勲位菊花大綬章を授与する旨を伝えた折の光景が記されている。「天皇陛下の御前で、『岸さんを正二位大勲位に奏請いたします。よろしくお願いいたします』と言って、功績調書(※安保改定のこと)を読み上げました。天皇陛下はやや時間をかけてお考えになられて、『そういうことであるならば承認する』とおっしゃいました」。中曽根氏は、昭和天皇が「そういうことであるならば」と“感情を刻むような表現”を用いたことを正直に明かしている。これは私の推測になるのだが、太平洋戦争開戦時の東條内閣の閣僚であったことを含めて、ある時期の政治行動に納得していないことを表しているようにも思えるのであった。その岸元首相を“政治の師”として仰いでいるのが安倍晋三首相である。その安倍首相と天皇陛下の関係については、どうなのだろうか? 『内奏 天皇と政治の近現代』の著作を持つ愛知学院大学の後藤致人教授に聞いてみた。「安倍首相の内奏記録を調べていくと、特に変わったところは無く、定型に従っている印象です。国事行為に関係する叙勲、閣僚認証式に絡む人事関係について内奏しています。両陛下との食事会の開催も、昭和天皇の時からの慣習で、これも定型に則っている」。天皇陸下は、自身が国民統合の“象徴”であることを繰り返し語り、政治との距離に極めて慎重な姿勢を示してきた。皇太子時代の発言でも度々そのことに触れられている。「明治天皇が政治的な発言をしたことはあまり無いんじゃないかと思います。例えば、(大日本帝国)憲法の制定の審議の時も特に発言していることは無いようですね。そういう意味で、明治天皇の在り方も政治とは離れた面が強かったとは言えると思います」(1987年12月のお誕生日会見)、「日本国憲法には、『天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない』と規定されています。この条項を遵守することを念頭において、私は天皇としての活動を律しています」(2013年12月のお誕生日会見)。しかし、宮内庁の元関係者を含め、皇室に詳しいジャーナリストに聞いていくと、安倍首相の側には天皇との距離の取り方に慎重さが欠ける面が見られるという。例えば、2013年4月28日に行われた『主権回復・国際社会復帰を記念する式典』である。この式典は歴代内閣で行われたことはなく、その後の2014年・2015年にも行われていない。何か奇妙な印象を与える国家行事なのである。

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【派遣労働の光と影】(下) 人材流動化で役割重要に、マッチング支援が鍵――日本大学・安藤至大准教授

ポイント
○許可制に依り統廃合実現すれば望ましい
○キャリア向上策の義務付けで賃金低下も
○人口減と技術的失業見据えルール検討を


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改正労働者派遣法が11日に成立した。この派遣という雇用形態自体については、「多様な働き方を可能にする」との賛成意見がある一方、「直接雇用が原則である」として反対する考え方も根強い。労働者派遣について整理しよう。派遣とは間接雇用であり、派遣元・派遣先・労働者の3者が関わる。労働者にとっては、雇用契約は派遣元との間で結ばれ、派遣先から指揮命令を受ける。派遣にはどのようなメリットとデメリットがあるのか。先ず労働者にとっては、職種や勤務地・労働時間等を選べる。また、組織に縛られない働き方ができるというメリットがある。求職活動や労働条件交渉の面で、派遣元企業の支援も期待できる。一方で、間接雇用の為、労働者の安全衛生の面で不安がある。また、派遣労働者には不本意型も多い。2010年『就業形態の多様化に関する総合実態調査』では、現在の働き方を選んだ理由として「正社員として働ける会社が無かったから」を挙げた派遣労働者の割合は44.9%(複数回答)と、パートタイム労働者の16.0%や契約社員の34.4%と比べても高い。派遣先企業にとっては、採用や賃金支払い等の人事労務管理の費用を削減できることが主なメリットだ。一方、労働者の帰属意識が低いことや人事面での自由度が低い点がデメリットと言える。尚、派遣という働き方に対して「雇用が安定していない」「待遇が悪い」といった批判もあるが、それは派遣労働に固有のものではない。直接雇用でも有期雇用であれば安定していないし、賃金は法律の許す範囲で当事者が自由に設定できるからだ。

今回の法改正には3つの重要な変更点がある。1点目は、全ての労働者派遣事業を許可制にすることである。これは、悪質な事業者を排除することを目的とする。これまでは、常用雇用労働者のみを派遣する届出制の特定事業と、それ以外の労働者を対象とする許可制の一般事業があった。しかし、許可逃れの為に特定事業を装う事業者の存在が問題視されていた。また、社会保険の未加入等の法律違反も発生していた。2点目は、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップの為の施策である。雇用安定に関しては3年を超えた派遣期間終了時に、労働者に対して雇用安定措置を取ることが派遣元企業に義務付けられる。具体的には、

(1)派遣先への直接雇用の依頼
(2)新たな派遣先の提供
(3)派遣元での無期雇用
(4)その他の必要な措置を取る

ことが義務化される。キャリアアップに関しては、派遣労働者に対する計画的な教育訓練を派遣元に義務付ける。3点目は、派遣期間規制の見直しである。これまで専門業務とされた26業務の場合には期間制限が無く、その他の業務には最長3年という受け入れの上限があった。改正により、全ての業務について受け入れ側の期間制限が実質的に無くなり、労働者毎に同じ課で働くことができる期間に3年の上限が課される。今回の法改正の効果を、経済学的にはどのように評価できるだろうか?

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【タブー全開!政界斬鉄剣】(05) “事実上の大統領選”にもできる自民党総裁選が機能しない理由

今週は自民党総裁選について解説しましょう。9月8日、野田聖子前総務会長は、自民党総裁選への出馬を断念したと発表しました。これで、9月20日の総裁選は安倍首相の無投票再選が決定。自民党の総裁選は事実上、日本の総理大臣を選ぶイベント。なのに、国民の関心は盛り上がらない。何故でしょうか? 野田氏不出馬の舞台裏をあれこれ解説する報道だけでは、その理由は見えてきません。結論から先に言うと、自民党自身が総裁選の重要性と可能性を台無しにしているのです。“重要性”とは勿論、「自民党が政権与党である限り、この選挙で日本の総理大臣が決まる」という事実。“可能性”とは、「総裁選のやり方次第では、国民が“直接的に”日本の最高指導者を選べる“事実上の大統領選挙”にできる」ということです。

実は、その可能性が現実に近づいた瞬間が過去にありました。それは、私も直接携わった平成13年4月、小泉純一郎首相が誕生した総裁選です。この時、下馬評では「当選など到底不可能」と言われていた小泉氏が、「自民党をぶっ壊す!」と訴えたことで、日を追う毎に自民党員の圧倒的な支持を集めていきます。その様子は当時、同じく総裁選に出馬していた亀井静香氏の選挙陣営で秘書団の指揮を執っていた私に、恐怖にも似た鮮烈な印象を与えました。私の元には連日、選挙区の有権者や友人・知人から、果ては親戚まで、「小泉さんを支持したいんだけど、どうやったら今から党員になれるのか?」という問い合わせが殺到しました(私は敵陣営なのに!)。これは、粗全ての自民党国会議員の事務所で見られた光景です。結果はご存知の通り、小泉氏の圧勝でした。この時、私は「自民党も捨てたものではないな。これからの日本はこのやり方で、国民が直接的に強力なリーダーを選べる真の民主主義になっていくのだろうな」と確信したものです。自民党の党員数は、約20年前まで年間4000円程度の党費を国会議員と支持団体が立て替えるという“名義借り”で維持されていました。しかし、その名義借り行為は禁止され、党員数は減少の一途を辿っていた。ところが“小泉総裁選”を機に、党費が完全自己負担になったのにも拘らず、党員数は急増したのです!

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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(32) SNSは今や“血”を見たい連中が集うコロセウムと化している!

インターネットがまだ一般的ではなかった1990年代中頃に誕生した『あやしいわーるど』というアンダーグラウンド系サイトをご存知でしょうか? 『2ちゃんねる』の原形になったような匿名掲示板で、ユーザー同士が公序良俗に反するタブーな情報を書き込み合っていました。当初はそれなりの知識が無いとサイトに辿り着くことすらできなかったので、ユーザーのITリテラシーや知的レベルも高く、“秘密クラブ”のような面があった。匿名掲示板特有の露悪的な雰囲気の中にも「聖域を守ろう」という意識があり、程良く秩序が保たれていました。ところが、次第に有名になってユーザー数が拡大するに連れ、ただ罵倒するだけ、場を荒らすだけの人が増え、言論空間は徐々に綻び始めます。そして、すっかり荒れ果てた2000年代初頭、サイトは閉鎖してしまいました。

それから15年近く経った今、同じようなことが起きています。スマホの普及で多くの人が自分の意見を手軽に発信できるようになった結果、ツイッターやフェイスブックは「友だちを見つける」「建設的な話をする」といった当初の使い方から大きく離れ、極端な主張の温床となり、人々を政治的に扇動する為の道具と化しているのが現実。そんな空間に疲れた人・嫌気が差した人は段々離脱しつつあり、残った人々はより攻撃的に罵り合いを続けているといった状況です。そうした衆愚的空間の中で、最近では実名で言論活動をしている僕のような人間に妙な期待を寄せる人も多くなってきました。例えば原発問題にしろ安保法制にしろ、僕と考えの異なる言論人や政治家は沢山います。「そういう人を信じるも信じないも個人の自由」というのが僕のスタンスですが、中には「そんな馬鹿な奴は追い込んでやれ!」とばかり、僕を“代理人”に見立てて戦わせようとする人がいる。古代ローマのコロセウムで、ネロ皇帝がクリスチャンを猛獣に食わせたり、人間同士を戦わせたりしたことに熱狂した群衆と同じかもしれませんが、「“血”を見たい」という欲望をひしひしと感じるんです。

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テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

『フォルクスワーゲン』排ガス不正問題、日本にも押し寄せるドイツ発“リスク4.0”

VW 01
弱り目に祟り目。『フォルクスワーゲン(VW)』の排ガス不正問題が、グローバルな市場を動揺させている。リーマンショック後、米欧の金融機関が次々と槍玉に挙がり、巨額の制裁金を課せられた。その自動車版を警戒する声が世界中に広がっている。VWの母国・ドイツが売り出し中の“製造業4.0”。それに擬えるなら、株式市場を襲っているのは“グローバルリスク4.0”だ。中国経済失速の新興国への波及・中ぶらりんのアメリカ利上げ・一頃大騒ぎとなったギリシャのデフォルト(債務不履行)危機。これらに加えて、VWの排ガス不正問題がスモッグのように不透明感を増幅させたのだ。ドイツの代名詞とも言うべき大企業が、総数で1100万台にも上るクルマに違法ソフトを搭載していた。藪から棒に飛び出したのは、俄かには信じられないようなバッドニュースである。

ディーゼル車を売り物とした戦略が崩れ、VWの経営が行き詰まる。ドイツの自動車産業が評価を落とし、国際競争力を低下させる。今回の事件はそんなレベルに留まらない。不正を暴いた『アメリカ環境保護局(EPA)』は腕捲くりし、『BMW』『ゼネラルモーターズ(GM)』等の他社ディーゼル車についても徹底調査すると発表した。ディーゼル車に留まらない。ガソリン車についても一段と厳格な排ガス検査が実施されるのは、想像に難くない。自動車メーカーは俎板の上の鯉のようなもの。重箱の隅を突くように問題点を指摘されるのは必至だ。その分、不確実性のリスクは高まる。折しも、アメリカは大統領選モードに入りつつある。「言語道断。利益を安全や環境に優先させる会社は、然るべき報いを受ける」。ヒラリー・クリントン前国務長官は早速、そうツイートした。「自動車労組の支持を受けている」といった指摘が出てくる前に、機先を制したのである。民主党のリベラル派の担ぐバーニー・サンダース上院議員らからは、環境規制を厳格化するよう求める声が強まる筈だ。EPAはVWに最大で2兆円余りの制裁金を課す見込みとされる。自動車メーカーに対する風当たりが強まる中、アメリカの世論は巨額制裁金を当然視することになろう。不正の摘発と巨額賠償金、そして各種の規制強化。この三位一体の蟻地獄に、リーマン後の米欧金融界は陥った。

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テーマ : 自動車・バイク関連ニュース
ジャンル : 車・バイク

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