【殺人事件からわかる子供の生と死】(下) 子供の「死にたい」という欲動が現実行動に繋がるのは何故か?

思春期には多くの場合、自殺願望を抱く子供がいるものだが、それが現実行動になるのはどういう場合か。子供たちを襲う“死にたいという欲動”と他者を破壊する殺人とは、どのように繋がるのか。 (評論家 芹沢俊介)

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広島県呉市の男女7人による集団暴行事件を考えてみよう。2013年6月28日、1人の16歳少女を、同じ16歳の男女7人(21歳の男性が1人交じっている)が集団暴行によって殺害し、その遺体を広島県呉市の灰ヶ峰の山中に遺棄した事件である。先ず確認しよう。暴行事件の主人公は2人、暴行を企て実行した中心人物の16歳加害少女と、被害者となった16歳少女である。両者は共に、嘗て在学した専修学校時代の知り合いである。伝えられている事件の原因のうち、動かし難い要因は1つである。即ち、2人の関係が修復し難く、拗れたことである。報道が拗れの原因として挙げているのは、インターネットのLINE上における2人のやり取りである。2人はLINE上で、お互い口汚く罵りあったのだという。加害少女は、その相手の言葉に殺したいほど立腹し、愚行を思い立った――。それが動機だというのである。他の見方もある。2人は接客業に従事しており、それに関わる金銭上のトラブルが生じたというのである。男女関係の縺れを取り沙汰する報道もあった。2人の間だけのトラブルであるにも拘らず、加害少女は、暴行を決めると直ぐに援軍を思い立っている。一緒に暴行に加わる“友人”を求めたのだ。加害少女の意図は、相手の少女に対する暴力による完全制圧であり、それは、「相手を死に至らしめるまで破壊したい」という願望と結び付いていた。扨て、加害少女の暴行への加担の呼びかけに応じて集まった“友人”たち6人に関して、興味深い事実が明らかになっている。興味深いことの第一は、16歳の男女5人と21歳の男1人の計6人を横に繋ぐ紐帯は何ひとつ無いということ。6人は普段からの仲間でもなければ、知り合いでもなく、住まいも広島・鳥取・住所不定等というように分散しており、加害少女の要請が無ければ顔を合わせることは無かったのである。即ち、俄か暴行集団だったのである。興味深いことの第二は、6人には、被害少女との間に直接的な接点は無かったということ。従って、利害関係や感情面での拗れ等も無かったということである。つまりは、6人が6人、“友人”の呼びかけというだけの理由で、自分に何ら関わりの無い人に暴行を加えようという誘いに乗ったということだ。このことは、私たちに何を告げているのだろうか?

筆者の理解は、こうだ。即ち、6人が主犯少女の呼びかけに応じた理由は、人に暴行を加えたかったのである。加害少女の誘いが、他の6人の中に眠っていた暴力(破壊)衝動を覚醒させてしまったのである。だとすれば、6人が加害少女の指定した場所に集合したその時点で、もう暴行は殆ど制御不能状態になっていた――。そう思わざるを得ない。覚醒した6人の制御不能なくらいに激しい破壊衝動の表出については、加害少女の次の供述から感じとることができよう。車の中で暴行が始まった時、被害少女が助けてほしそうな表情をしたのを、加害少女は読み取った。だが、既に手遅れだった。「もう、私には何もできないと思った。『助けたら今度は自分がやられる』と思い、暴行から目を逸らした」「許そうとしたが、(共犯者たちに)捨てられると思い、できなかった」。ここには、主犯の加害少女さえ自己防衛的にならざるを得ない程の破壊的な事態が進行していたのである。ところで、この論考が拠って立つ仮説 は、暴力、即ち破壊行動と“死にたいという欲動”とは表裏一体であるということであった。一方はその原因であり、他方はその現れ・結果である。この観点から見ると、加害少女の取った破壊行動の凄まじさは、彼女の内部に醸成されていた“死にたいという欲動”の強さと見合っている――。そういう見方が可能になる。裁判過程で明らかにされた加害少女の養育歴によると、彼女は子供の頃から親の暴力を継続的に受けてきた被虐待児であった。言うまでもなく、虐待は、子供の“今ここに・安心して・安定的に・自分が自分であっていい”という存在感覚、“ある”を根底から奪い取る。“ある”を奪われている点で常に不安であり、親に疎まれているという点で常に孤独である。そうした寄る辺なき状態が、被虐待児の内面の現実である。こうした寄る辺なさが、誰によっても慰撫されることなく放置される時に、“死にたいという欲動”が生じる。この“死にたいという欲動”こそが、破壊行動の起源である。自殺という自己破壊行動、それと一見、正反対の現れのように見える人を傷付け、殺そうとする他者破壊行動――。どちらも、同一の欲動の異なる現れに過ぎないのである。このことについては前回、大まかに触れた。このような見方から、暴行に加わった6人の惨憺たる内面を推し量ることができるだろう。寄る辺なき状態という点において、主犯少女と同様の境遇下に育ち、改善されることのないまま、ここに至ったに違いないのだ。以下では、角度を変え、主に被害少年に焦点を当て、更に“死にたいという欲動”という問題の理解を深めたい。

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【儲かる農業】(15) JA解体までの猶予は5年…ラストチャンスの農協改革

『JAグループ』を束ねる『JA全中』の解体は、農協改革の序章に過ぎない。改革のゴールは、地域農協を農業振興という原点に回帰させることだ。それができない農協には、解体の道が待っている。

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昨年8月の農協法改正には、政府の明確なメッセージが込められている。それは、「今回の改革が、農協が“農業協同組合”として存続する為のラストチャンス。改革できなければ、信用事業や共済事業といった金融事業を分離する。つまり、JA解体もあり得る」というものだ。地域農協の改革は、上図のように3段階で進む。先ず、理事の入れ替えだ。理事の過半数を認定農業者や農産物販売等のプロにする。改正農協法には、農協が「農家に事業利用を強制してはならない」ことも明記された。これまで、組合員は農協を利用して当たり前という意識が染み付いていた。この第2のステッ プで、農産物の販売や生産資材の調達を全てJAグループを通じて行うべきという“全利用主義”の旧弊を葬り去る。改革のヤマ場は、第3のステップだ。農協が自らの取り組みとして、農家が求める農産物の販売力強化や生産資材の価格引き下げを行っているかを政府が見極める。多くの農協は、JA全農の肥料や農薬が割高でも、「同じJAグループだから」との理由で全農から買っていたが、今後は全農と他の調達先を比べ、最も有利なところから仕入れることが求められる。本誌の担い手農家アンケートでも、生産資材が高いことは農家の最大の経営課題に挙がった。政府が農協に与えた猫予は5年間。その間に、農協の本業である農業関連事業の改革が進まなければ、政府は“(非農家である)准組合員の事業利用への規制”を導入する構えだ。規制が行われると、非農家を対象とした住宅ローンの融資等ができなくなり、JAグループは収益源を失う。金融事業の分離も現実味を帯びる。これが、JA解体のシナリオである。アンケートでは、農協の現状に対する“支持率”だけでなく、将来の農協への“期待度”も聞いた(下図参照)。農家の売上高規模別に農協への期待度を分析すると、意外なことに、規模が大きい農家ほど農協への期待度が高く、“売上高3億円以上、5億円未満”の農家で期待度は50%に達した。農協が、大規模農家の高度なニーズに対応できれば、結果的に小規模農家へのサービスも改善する。農家に選ばれ、支持される農協になれるか――。農協改革は、JA存続のラストチャンスだ。

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【儲かる農業】(14) 127農協を独自指標で評価! 首位『JAいなば』の“お節介力”

今や、農家が農協を選ぶ時代である。本誌では、担い手農家が格付けした“JA支持率ランキング”を作成した。農家に寄り添った農協と、そうでない農協との格差が浮き彫りになった。

2015年は、農協界が大揺れに揺れた年だった。第1の震源は、『JAグループ』の頂点に君臨してきた『全国農業協同組合中央会(JA全中)』を解体する農協法改正。もう1つの震源は、昨年8月、約700ある地域農協を束ねるそのJA全中の会長に、改革派の奥野長衛氏が就任したことだ。奥野会長は予て、全中による統制的な組織運営に疑問を呈しており、ボトムアップ型の意思決定を目指している。現在、地域農協の組合長らにヒアリングを重ねているところだが、未だに新機軸は打ち出せていない。全中会長選挙で票を奪い合った改革派と守旧派との間にシコリが残っていることも、その一因ではある。だが、それだけではない。本来ならば、地域農協は、上部団体である『全国農業協同組合連合会(JA全農)』を下から突き動かすことで、肥料や農薬を安くしたり、農産物に付加価値を付けて販売したりする改革を主導する立場にある。そうした改革こそ、経営感覚がある担い手農家からの支持に繋がるのだが、農協によって危機感の度合いが全く異なる。今や、農家が農協を選ぶ時代である。農家支援に注力している農協は生き残ることができるし、それを怠っている農協は、農業協同組合としての存在意義を失い、金融事業の分離等、組織の解体が待ち受けている。その意味では、農協にとって農家は“お客さん”。農家からの支持率は、農協が生きるか死ぬかを分ける生命線なのだ。農家にとっても、農協改革の成否は死活問題になり得る。農薬や肥料等の生産資材の価格は、農協と民間企業との競争で決まる。農協が、農家を束ねてきた過去の支配構造に胡坐をかき、民間企業と競い合うことを放棄したならば、自ずとその地域の農業は弱体化する。高い生産資材を買わされることが常態化し、高コスト体質が染み付いてしまうからだ。“負け組の産地”のレッテルすら貼られかねない。

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本誌は、国内初の試みとして、規模拡大意欲のある担い手農家を対象にアンケートを実施し、1925人の農家に農協を格付けしてもらった。“農産物販売力”“肥料等の供給力”“農業への融資力”等、5部門15項目で評価を行い、指数化し、127農協をランク付けした。上表が、JA支持率ランキングの上位10農協だ。首位に輝いたのは富山県の『JAいなば』。強みは、「農家の懐に飛び込み、経営を支援する姿勢が徹底されている」(JAいなば管内の農家)。例えば、コメ農家が1年で最も忙しい田植えシーズンには、農家のサポートを担当する農協職員(営農指導員)が農場に現れ、頼んでもいないのに苗の準備を1時間ほど手伝っていくのだという。ある農家は、JAいなばの営農指導員について、「抜群の学歴ではないかもしれないが、勉強熱心。100点を付けてもいい」と太鼓判を押した。アンケートでは、別の農協に対して「農協が農家から離れている」ことを批判する声が多く寄せられた。そんな中、JAいなばの営農指導員の驚異の“お節介力”は異彩を放っている。その営業力は、財務強化にも直結している。営農指導員と農家とのコミュニケーションが円滑で、農産物の販売や肥料・農薬の供給の仕事が増え、多くの農協にとって赤字部門となっている農業関連事業の収益が改善。2013年度の全国の農協の農業関連事業は平均2億円の赤字だったが、JAいなばの農業関連事業は6000万円の黒字だった。JAいなばは、“農業への融資力”部門でも全国トップの支持を得た。営農指導員が普段から農家の経営を把握しているので、農業融資もスムーズにできるという訳だ。実は、JAいなばの高支持率の秘密は役員構成にある。一般的に、農協役員は“地域の名誉職”ポストであり、行政OB等が就任することが多いのだが、JAいなばの場合は、組合長・常務クラスが大規模農家のリーダーで占められており、農家のニーズを直接吸い上げることができるのだ。

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【ソニー・熱狂なき復活】(15) 世界で勝つ為の大胆提言! 再編ベストシナリオ

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電機業界に再編のうねりが押し寄せている。戦略的なM&Aだけでなく、『東芝』や『シャープ』のように経営危機の中で突発的に浮上するものもあり、それが更なる再編を生み出す。筆者はアナリストとして30年近く、電機業界を見てきた。ここでは、独自に開発した『経営重心®』理論を使いながら、あるべき再編を提案したい。先ずは、経営重心について簡単に説明しておこう。各社は、これまでM&Aの際に技術や市場の類似度合い・企業文化も含めた相性を、勘と経験で判断していた。その結果、電機メーカーが一見似ていても、企業風土や事業の適合性が低かったり、事業ドメインが広がり過ぎたりして失敗したケースは多い。こうした事業や企業の“距離”、経営の“スピード”、事業ドメインの“広さ”を定量化し、経営分析を客観化したのが経営重心理論だ。先ずは、事業サイクル(周期)と事業ボリューム(市場規模)のケタ数を計算して割り出し、事業ドメインの座標を事業重心として決める。スマートフォンはサイクル2年で市場が巨大なので10ケタ(2、10)、FA(ファクトリーオートメーション)はサイクルが6年、6ケタ(6、6)となる(左図)。そこから経営重心を定める。若し、『ソニー』がスマホだけの会社なら経営重心は(2、10)で、事業ドメイン面積は0。重心が(6、6)のFAに参入し、売上高の比率が半々になったら経営重心は(4、8)にシフトする。経営重心から2つの事業重心への距離は共に2となり、ここから広さ(円の大きさ)も定量化できる。経営重心や事業重心の距離が近いと相性が良い。『日立製作所』と『三菱電機』、『NEC』と『富士通』は其々、距離が約1と近い一方、ソニーやシャープと重電系は約6と遠い(左図)。同じ企業内の事業間の相性も分析できる。東芝が主力とする半導体と電力は10以上と遠過ぎ、FAと白モノ家電は2強と近い。事業毎の国際競争力という視点で見ると、完成品ではサイクルが3年以下、事業ボリュームが9(1億台)を超えると水平分業化し、韓国や台湾が強くなる。実際、スマホ、テレビ、パソコンで日本勢は負けた。一方で5~10年で数ケタから9ケタにある複写(コピー)機・FA・車等は日本が強い領域だ。この経営重心理論を判断基準に、各社の再編のあるべき姿を示す。

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先ずは、不正会計問題で揺れる東芝について見てみたい。今期は5500億円の最終赤字になる見通しで、バランスシートが悪化する為、メディカル(ME)・白モノ・パソコン(PC)を早い段階で売却し、自己資本を強化すべきだろう。メディカルの事業重心は、製造装置やFAに近い。東芝のメディカルには、デジタルカメラ等の精密機器メーカーや家電メーカーが関心を示すが、距離が遠過ぎて適合性が難しい。故に、一度はファンド等に出した後、類似の日立や国内各社のへルスケアを再編&統合し、世界常識の売上高1兆円クラブとして上場を目指すべきだ。嘗て、『三菱重工』との統合を考えた日立なら国内再編に協力することはあり得るし、得意のIT事業に繋げていくメリットもある。これらの売却で自己資本が1兆円を超え、財務基盤が安定した後は、グローバル競争に勝つ為にセミコン(半導体)の上場が望ましい。経営重心理論で見ると、半導体と電力はかなり距離があり、不安定だ。その間を埋めるのがヘルスケアだったが、売却するならば半導体か電力に集中するのがよいだろう。半導体を上場させると、原子力等電力中心に社会インフラが主力事業となり、日立と似たポートフォリオとなる。傘下の『ウェスチングハウス』の問題も含め、長期的にリスクのある原発を外に出して『産業革新機構(INCJ)』が出資し、更に日立・三菱重工・『アレバ』等も含めた“国際原子力公社”とするという手もある。次はシャープを見てみよう。液晶不況もあり、今期2000億円を超える赤字ならば債務超過のリスクがある。売却先はINCJか台湾の『鴻海精密工業』かと議論が続き、新聞等では液晶を分社化した後、INCJがシャープ本体と液晶分社に其々出資し、最終的に『ジャパンディスプレイ(JDI)』との統合を目指すとされている。だが、主用途のスマホは有機EL化が急ピッチで進む為、共倒れリスクがある。価値があるのは精々、亀山第2工場が持つIGZO液晶の生産ラインぐらいだろう。INCJは液晶ではなく、東芝の白モノ家電等をシャープに統合し、ユニークな商品を出してきたメーカーとしての再生を目指すべきだ。業績好調でグローバルトップを目指す日立も、成長に向けたグループ再編が必要だ。リーマンショック後のリストラから5年が経過。当時の業績を支えた電子材料や建機は、足元が厳しい。一方で電力や都市開発、交通等の社会インフラは育ってきた。日立が展開する事業分野は未だ広く、経営トップもそれを理解している。では、どう再編するといいのか? 社会インフラとITを核としたグループを本体として、子会社は建機・産機・メディカル・装置等の中量産の製品で景気変動の影響が大きいグループ、材料や家電等コモディティー関係のグループ、物流・金融・商社関係等横串機能を持つグループの3つに纏めるのが望ましい。各グループ内の事業間シナジーが強化され、投資家からも理解し易くなる。キャッシュに余裕があれば、社会インフラ向けに『日揮』等のエンジニアリング会社が欲しい。それ以外の電機メーカーも再編が必要なのは同じだ。ソニーはCMOSイメージセンサー等のデバイスとコンテンツに特化する形でいい。『パナソニック』は家丸ごとにフォーカスすべきだ。未だに抱えている液晶パネルは2018年の有機ELの普及、テレビは東京オリンピック後の反動減で手遅れにならない内に切り離したほうがいい。目標として掲げる2018年度の売上高10兆円の達成へ、『船井電機』や『パイオニア』を買収する可能性もある。

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【ソニー・熱狂なき復活】(14) 最後に何が残るのか? 『シャープ』解体の末路

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復活へ歩み出した『ソニー』とは対照的に、未だに経営危機の最中にあるのが『シャープ』だ。シャープの再建スキームについては、複数の憶測が飛び交っている。最有力視されるのが、官民ファンドの『産業革新機構』によるスキームである。最大の課題である液晶パネル事業を分社化した上で、革新機構傘下にありシャープの競合でもある中小型液晶大手『ジャパンディスプレイ(JDI)』との将来的な統合に繋げる――(右図)。この案は表向き、日本の中小型液晶の競争力確保と技術流出の防止を標榜するものだ。ところが、こうした建前とは別に、このプランはJDIへの援護射撃という見方が有力だ。仮に、台湾の『鴻海精密工業』がシャープの液晶事業を手中に収めれば、JDIは『Apple』製iPhone向けのシェアを奪われてしまう。JDIは国策として、革新機構主導の下、ソニーと『東芝』『日立製作所』の液晶事業を統合して発足した経緯がある。「JDIへの支援策として、シャープとの統合がある筈」というのが業界内の見方なのだ。JDIの大株主である革新機構が、競合であるシャープに出資するのは株主の利益に相反し、「ファンドの世界ではタブー」(革新機構幹部)。また、スマートフォンやカーナビゲーション向け中小型液晶市場は、地域によっては2社の寡占状態にあることから、統合すれば独占禁止法に抵触しかねない。こうしたハードルを越えるには、出資関係の調整に加え、「工場閉鎖等の大リストラが前提」(アナリスト)。更に、銀行による金融支援も不可欠で、現在、利害関係者間で再建スキームについて激しい議論が交わされている最中だ。2月4日の今年度第3四半期の決算発表の際、具体策がどこまで明示されるかが目下の焦点である。但し、両社を統合しても安泰と言い切れないのが悩みどころ。というのも、「Appleが一部のiPhone向けに、液晶に替わるディスプレイとして有機ELを採用する」との見方が浮上しているからだ。そうなれば、スマホの画面は液晶から一気に有機ELに替わる可能性がある。現在、スマホ向け有機EL市場は韓国の『サムスン電子』の独壇場。同じ韓国の『LGディスプレイ』も巨額投資での追随を決めた。「JDIが有機EL市場で勝負するならば、本体の研究開発の強化と、(同じく革新機構傘下の)“JOLED”の技術を生かすほうを、シャープと統合するよりも優先すべきだ」と、『モルガンスタンレーMUFG証券』の小野雅弘氏は語る。巨費を投じて統合しても、スマホのディスプレイ市場が有機ELに置き換われば、再建スキームが単なる既存技術の延命策と化しかねない。

一方、革新機構に代わるシャープの救世主として注目を集めるのが鴻海だ。同社は革新機構に先んじて支援に名乗り出ており、郭台銘(テリー・ゴウ)薫事長は昨年末にもシャープと共同出資する大阪の堺工場を訪れ、「シャープ支援への意欲を改めて社員に示した」(鴻海関係者)。今月中旬には、「シャープ本体に対し、『7000億円規模で買収する』と再提案した」との情報もある。仮にシャープが鴻海傘下に入れば、中国での営業網を生かした液晶再建が視野に入る。JDIの有機ELでの事業拡大が奏功すれば、鴻海-シャープ連合とJDIは棲み分けして共存できる望みも見えてくる。しかし、鴻海救済案にとっての最大のネックは、シャープ内部にある。「今の経営陣には、鴻海と腹を割って交渉できる窓口がいない」。同社関係者の1人はそう打ち明ける。シャープは昨年春、財務担当だった大西徹夫副社長を液晶部門の構造改革担当に就けた。当時、主力支援銀行の『みずほ銀行』と『三菱東京UFJ銀行』から総額2000億円の債務株式化(DES)の金融支援を受けたが、「DESの条件として、大西氏が液晶部門の採算を改善させ、外部への売却に道筋を付ける予定だった」(同関係者)。しかし、第2四半期決算でも液晶部門は赤字で、銀行側の大西氏への信任は低下している。2013年春に再建を託された髙橋興三社長体制下では当初、髙橋社長と大西副社長、更に技術部門トップだった水嶋繁光会長を加えた3人が舵取り役の筈だった。3人は同期入社の間柄。しかし、今や「高橋さんと大西さんは絶縁状態で、目も合わさない」(シャープ社員)。水嶋氏の求心力も「社内では全く無くなった」(同)と言われる。現体制では、高橋社長と共に代表権を持つ役員に長谷川祥典専務がいる。しかし、消費者向け家電部門のトップで、液晶再編に関する発言力は乏しい。目下、シャープの経営を仕切るのは、社員からも方針が見え辛いとされる髙橋社長と、三菱東京UFJ銀行出身の橋本仁宏常務、経済産業省出身の半田力常務の3氏と言われる。つまり、社長を銀行と経産省が取り囲む構図であり、ゴウ氏と膝詰めで交渉できる経営陣はいない。

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【タブー全開!政界斬鉄剣】(36) 中身の無いサミットよりも、今なお日本を“敵国”認定している国連を何とかせよ!

池田「今週は伊勢志摩サミットが開催されます。このタイミングで皆さんにお知らせしたいのは、中身の無いサミットに外務省や政治家が実際以上の価値を付けることで、日本が置かれている危険な状況を隠そうとしている実態です」

――サミットって中身が無いの?
池田「私たちが報道で見聞きしているサミットとは、主要国の首脳が集まって経済や平和の為の議論をして、何か重要な決定をするというものでしょう。しかし、サミットで重要な政策が具体的に決定したことなど、ただの一度も無いのです」

――そうなの!?
池田「サミット最終日には“○○宣言”や“○○決議”という成果が発表されます。でも、これは努力目標であって、実効力が無い。サミットとは、飽く迄も首脳が集まるパーティーなのです。ただ、全く無意味という訳ではありません。どんな業界でも、社交の場が重要な意味を持つ例は数多いですから。私が言いたいのは、必要以上にサミットをショーアップすることで得をする人たちが、日本の中枢にいるということです」

――それは誰?
池田「政治家と外務省です。 先ずは政治家の話から。実は、サミットが日本で開催された年には、毎度のように(福田康夫内閣時以外)解散総選挙があるんです。その理由は、サミット効果で内閣支持率が上昇するからに他なりません。主要国の首脳たちが来日して、その議長役を日本の総理が務めるのは嬉しいと感じる国民が多い証拠でしょう。政権にとって、サミットほど楽に宣伝効果が期待できるイベントは滅多に無い。でも本当は、安倍首相が一気に世界中の注目を集められる外交戦略もあったのですが…」

――どんなどんな?
池田「通常のサミット参加国は、日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・ロシア・カナダの8ヵ国ですが、ロシアはクリミア併合問題で経済制裁を受けている為に、今回は参加停止中。しかし議長国には、レギュラー国以外を招待できる権限があるのです。今回、日本は東南アジアとアフリカから7ヵ国を招待しました。それはそれで構わないのですが、もっと招待すべき国があるだろうということです」

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【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(64) 今年のアメリカ大統領選は実に50年越しの“ゲイライツ”大勝利!

今回のアメリカ大統領選を見ていると、“ゲイライツ”(LGBT等性的少数者の権利)が如何にアメリカ社会に浸透しているかを実感します。保守的な共和党支持者でさえ、明らかなアンチゲイはキリスト教右派くらいしかいませんし、あれだけ人種差別的な発言を繰り返すドナルド・トランプも、LGBTについては明言を避ける傾向にあります。 アメリカのゲイライツの歴史。その道程は長く険しいものでした。1950年代・1960年代には、ゲイは社会的に“あってはならない存在”で、一般人がそれをカミングアウトすることなど夢の話。1970年代には小さなコミュニティーの中で漸く“息ができる”ようになったものの、ゲイを公言してカリフォルニア州サンフランシスコ市政委員となったハーヴェイ・ミルクが射殺される事件も起きています。

極一部で盛り上がるゲイライツ運動と、それに嫌悪感を示す大多数のアメリカ市民――。当時、中学生だった僕の周りでも、「お前はゲイだ!」「ゲイみたいなヤツだな!」という言葉は、最大の悔辱でした。1980年代になっても、共和党のレーガン政権は大票田のキリスト教右派を意識してゲイの存在を無視し、寧ろ社会の保守化が進行。先進的な若者の間ではゲイが“普通のこと”として認められ始めた一方で、HIVの感染拡大もあり、ゲイの社会的立場は中々向上しませんでした。一進一退ありながらも、公的にゲイライツが徐々に認められるようになったのは1990年代以降のことです(この辺りの経緯は本が1冊書けるほど複雑です)。そして、初めて大統領が公に同性婚を支持したのは2012年。初の黒人大統領として米社会のダイバーシティー(多様性)を体現したオバマの“決断”は大きなニュースとなりましたが、それから4年後の今回の大統領選では、最早LGBTの権利確立や同性婚は争点にすらならないほど“当たり前の話”になっています。今後のアメリカでは、たとえ共和党惨捕であってもダイバーシティーに配慮し、包摂的な社会を作ろうとする人しか大統領になれないでしょう。

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【中外時評】 “核なき世界”へ厚い壁――米露交渉の停滞が足枷に

アメリカのオバマ大統領が被爆地の広島を訪問した。慰霊碑に献花し、平和記念資料館も訪れた。原爆投下から71年。漸く実現した現職大統領の訪問はまさに、歴史的な出来事となった。「核兵器を使用した唯一の核保有国として、アメリカは行動する道義的な責任を持つ」――。就任当初から“核兵器なき世界”を訴えてきた大統領だからこそ、実現したのだろう。広島でも「核保有国は恐怖の論理から脱しなければならない」と語り、核廃絶への決意を改めて強調した。とは言え、理想と現実の落差はあまりに大きい。大統領自身、“核なき世界”を唱えた2009年のプラハ演説で「ゴールは直ぐには到達できない」と述べていたが、オバマ時代に核軍縮が格段に進んだとは到底言えない。イランの核開発を大幅に制限する合意のように、外交的な成果は一部に見られた。しかし、核保有国の中国は未だに核戦力を増強している。北朝鮮も金正恩体制下で核兵器開発を一段と進め、先の朝鮮労働党大会では「東方の核大国を目指す」と豪語した。

とりわけ、オバマ大統領にとって大きな“誤算”は、ロシアとの核軍縮交渉の停滞だったのではないか。『ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)』によると、世界には尚も1万6000発近い核弾頭が存在する。この内の9割以上を米露の2ヵ国が保有している。核廃絶に向けては何より、核大国の米露が率先して着実な核軍縮を進める必要があった。スタートは上々だった。オバマ大統領が“核なき世界”でノーベル平和賞を受賞した翌年の2010年には、ロシアのメドベージェフ大統領(当時、現在は首相)との間で『新戦略兵器削減条約(新START)』に調印した。米露が7年以内に戦略核弾頭の上限配備数を其々1550発に制限すること等を盛り込んだ。だが、そこまでだった。ロシアでプーチン政権が復活した後の2013年、オバマ大統領は戦略核弾頭の配備上限を更に3分の1削減して1000発程度にするよう提案し、同時に「射程が短い戦術核の削減も協議したい」と呼びかけた。

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【日曜に想う】 経済成長の道、不都合な真実

「80歳を過ぎても皆で働けば、日本は成長できる」――。そう言われたら、多くの人は「よし、頑張ろう」と思うだろうか。気持ちが萎えるだろうか。「悪い冗談だ」と怒るだろうか。『日本銀行』副総裁の中曽宏さん(62)の講演録を読んで、そんなことを考えた。講演は今年2月、ニューヨークの日米交流団体『ジャパンソサエティー』であった。『金融政策と構造改革』と題した講演だ。平日の午後だが、240人余りが聴きに来ていたという。中曽さんは、日本政府が掲げている“実質的な経済成長2%”という目標を達成する厳しさから語り始める。実質的な成長率を引き上げるには、潜在力を強めなければならない。その潜在成長率を先ず2%にするには、仕事に就く人が増えることと、労働生産性を上げることが必要だ。先ず、働く人の数。日本では減り続けている。それが年間0.5%程の上昇に転じる前提として、次の2点を想定している。①女性の労働参加率がスウェーデン並みに上昇する②全ての健康な高齢者が退職年齢を問わず働き続ける。この②について「我が国の80~84歳の高齢者の内、約60%が『問題無く日常生活を送っている』と回答していることを踏まえ」、この人たちが「皆働き続ける」と仮定しての話だと説明している。勿論、「この仮定がどのくらい現実的かという問題はさておき」と中曽さんも付け加えている。会場で笑いが広がる様子が、講演の録画から窺える。

確かに、非現実的で冗談みたいだ。でも、同時にそれは現実でもある。80代でも過半数の人が働くという手段さえ想定させる日本の現実…。中曽さんは、その前提でも“2%”の実現には、「労働生産性は毎年1.5%以上伸びなければならない」と指摘する。更に、「『働く人が増える』という楽観的な仮定をせず、『減り続ける』と考えるなら、約3%もの上昇が必要だ」と論を進める。しかし、労働生産性の上昇率は、IT産業等の活躍が目覚ましい1990年以降のアメリカでも1.5%程度。並大抵のことで実現できる数字ではない。ここから中曽さんは、この難問に取り組む為に、中央銀行が実施している量的・質的金融緩和やマイナス金利を説明。ただ、それだけではなく「アベノミクスの元の“第3の矢”、即ち成長戦略は、更に加速させる必要があると思っています」と締め括っている。でも、どうやって“加速”するか? 「講演から、『移民も考えよう』というメッセージを感じました」というのは、『日本証券取引所グループ』元CEOの斉藤惇さん(76)。講演の内容に強い関心を持った1人だ。「“2%”を目指すのなら、労働力を増やすにしても生産性を上げるにしても、高齢化の続く社会ではあり得ないような数字を想定をしないといけないということでしょう」。だとすれば、「移民も…」ということになる。「難しいテーマ。反発は根強いし、ヘイトスピーチ等の厄介な問題も絡む。だけど、政治家も国民も向き合うしかない」

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テーマ : 働き方
ジャンル : 就職・お仕事

【私のルールブック】(52) 「休みができたらここに旅行!」と想像する

ギャンブル以外何1つ趣味の無い私に最近、1つだけ趣味ができた。それは“想像旅行”。想像旅行とは? 若し、お休みができたら何処へ旅に出るかを、そこそこ詳細に計画すること。それもこれも、恐らく来年のお正月までお休みが無いと思われるからだ。何とも哀しい現実だが、これが中々楽しいのである。例えば、2日間休みができたとする。1泊2日の旅。扨て、何処へ行きますかね。北陸新幹線に乗って金沢方面へ。熱燗に海の幸三昧。いいよね~。北海道新幹線には乗ったことがないから、牛タン弁当を頬張りながら海を渡る。そっちもいいな~。しかし、北陸も北海道も競艇場が無いんですよ(福井県には三国競艇場があるが、結構不便なのよね)。私にとって、これはかなりなマイナスポイントでごさいます。よって、香川県に決めました。

朝一番の飛行機で高松に入り、讃岐うどんをすすりながら熱燗をグビッ。いい感じで酔いが回ったら、いざ丸亀競艇場へ。で、翌日は名古屋に入ってドテ焼きをつまみに焼酎のロックをかけつけ3杯。名鉄電車に揺られ、向かう先は蒲郡競艇場。あ~、何て幸せな1泊2日の旅なんでしょう。では、3日間お休みができたらどうしましょう。国内もいいですが、3日あれば海外に行けますからね。やっぱり韓国でしょうか。とは言え、ソウルばかりじゃ芸が無さ過ぎるので、偶には済州島もいいんじゃないでしょうか。何せ魚介類が絶品ですから。眞露に海鮮鍋。マッコリにケジャン。酒が進むこと間違いなし! 勿論、夜はギャンブルですよね~。カジノに限って言えば、ソウルよりもカジノ併設のホテルは多いですから。2泊3日しかありませんからね、一睡もしない覚悟でバカラに興じましょう。でもな~、カジノとなると、やはりラスベガスな訳です。こうなったら1週間休みを取りますか。私的には、ホテルはウィンがお薦めです。メインストリートの端に位置しますが、客層を含め、落ち着くんですよね。若しくは、思い切ってダウンタウンのモーテルもいい感じ。裏道に入りさえしなければ、治安の面も不安はありません。

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テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

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