【フォルクスワーゲン・不正の構図】(中) 排ガス規制は穴だらけ――1970年代から続いてきたメーカーの誤魔化し、検査をメーカー側に任せる現行制度の刷新が必要だ

VW 04
『フォルクスワーゲン(VW)』に何年も騙され続けてきた規制当局が反撃に出た。同社が2009年から2015年まで排ガス検査を組織的に誤魔化してきたことを認めると、『アメリカ環境保護局(EPA)』は先週、車両検査の強化を宣言。今後はVWが使用していたような、検査時だけ有害物質の排出量を減らす不正ソフトウェア『ディフィートデバイス(無効化装置)』の摘発にもっと力を入れるという。環境保護団体『シエラクラブ』の政策アナリストであるジェシー・プレンティスダンはこの動きを歓迎する一方、長期的な対策として「検査の在り方を刷新する必要がある」と指摘する。現在は自動車メーカーが自社で検査を行い、結果を当局に報告する形になっている。EPAは車両の抜き打ち検査を実施しているが、その為の人員や予算は心許無い。消費者団体『自動車安全センター』のダン・ベッカーは、「検査をメーカー任せにせず、実施主体を当局の監督下にある研究機関に移さない限り、排ガス基準を守らせることはできない」と主張する。「今の体制は、キツネに鶏小屋の管理を任せているようなものだ。絶対に上手くいかない」。大手メーカーは、数十年前から不正な手段で規制をすり抜けようとする傾向があり、「現行の検査体制では、驚くほど容易に誤魔化しができる」とベッカーは言う。「メーカーがルールをきちんと守るのならば、誤魔化しを防止する複雑なシステムは必要ない。しかし、彼らは現に誤魔化しを続けてきた」。ベッカーに依れば、「この問題はVWだけではなく、事実上、全ての大手メーカーに当て嵌まる」という。この種の違反は、1970年にEPAが創設され、『大気浄化法』の下で自動車の排ガス規制が導入された当初からあった。VWは1973年、2万5000台の車両に規制逃れの機能を密かに搭載したことを認めている。翌年には、『クライスラー』(現在の『フィアットクライスラーオートモービルズ』)がラジエーターに同様の機能を搭載していたことが発覚。80万台以上のリコールに追い込まれた。1990年代に入ると大きなスキャンダルが相次いだ。『ゼネラルモーターズ(GM)』は1995年、エアコン使用時に一酸化炭素の排出量を規制値の3倍近くにするコンピューターチップを50万台近くのキャデラックに搭載していたことを認め、4500万ドルの制裁金支払いでアメリカ司法省・EPAと和解した。1998年には、建設機械大手『キャタピラー』等3社が、トラックに同様の機能を搭載したとして10億ドルの支払いを受け入れた。最近では昨年11月、韓国の『現代起亜自動車』が120万台の燃費性能を誇張していたことを認め、3億ドルを支払うことで司法省・EPAと和解した。

シエラクラブのプレンティスダンは、「抜き打ち検査の回数を増やすだけでも抑止効果が期待できる」と語る。実際、EPA交通大気汚染管理局のクリス・グランドラー局長はAP通信に対し、「近いうちにそうする可能性もある」と語った。但し、グランドラーは排ガス検査の具体的な強化策については、明言を避けた。「彼ら(自動車メーカー)にそれを知らせる必要はない。車両検査の時間と走行距離を少し伸ばすことだけ理解してくれればいい」。自動車安全センターのベッカーは、「監視の強化は好ましい変化だが、規制当局は検査データをメーカーに依存する現状からの脱却を更に進める必要がある」と指摘する。「自動車業界が信頼できないことは過去の実績が物語っている。メーカーが『うちの車は基準に適合しています。全て問題無しです』と言っても、EPAは信じてはいけない。当局は検査体制を改善し、メーカー側の数値に依存しないようにすべきだ」。規制当局が内部で検査を実施するか、それとも当局の監督下で独立した研究機関に検査を任せるべきか、改革案の詳細はベッカーにもわからない。何れにせよ、メーカーを検査に関与させないことが重要だという。「その場合、検査コストの一部は形式的に納税者の負担になるが、最終的に大半の費用をメーカーに負担させる仕組みが必要だ」とベッカーは言う。こうした案には、産業界寄りのアメリカ共和党が反対する可能性が高い。これまでも、EPAはアメリカ議会の共和党から目の敵にされてきた。2010年に比べ、予算は20%(約20億ドル)削減された。今月も、共和党の下院議員20人がジーナ・マッカーシー長官の弾効を提案している。環境団体『天然資源保護協議会(NRDC)』のルーク・トナチェルは、「こうした共和党の行動がEPAの足を引っ張っている」と主張する。「EPAの予算や人員が削減され続ければ、誤魔化しを行うメーカーの摘発は益々困難になる」 (コール・スタングラー)


キャプチャ  2015年10月6日号掲載


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