【フォルクスワーゲン・不正の構図】(下) VWは生き残れるか――名門自動車メーカーがまさかの排ガス規制逃れ、ブランドイメージに傷を付けた不正のツケは大きい

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ドイツが誇る『フォルクスワーゲン(VW)』の行く手に黄信号が灯った。販売台数世界一を誇る自動車メーカーは今、業界史上、前代未聞とも言える危機の渦中にある。VWは排ガス規制を逃れる為、ディーゼルエンジン車に不正なソフトウェアを搭載していた。排ガス基準の検査時にだけ排出量を抑えるこのソフトは、世界で約1100万台のVW車に搭載されているという。VWのマルティン・ウィンターコルンCEOは先週、辞任を表明した。その狙いは、危機を終息させ、“新たなスタート”を切ること。だが、行く手に待ち構える財政的・法的難題の山を乗り越える馬力が同社にあるか、大きな疑問符が付く。『アメリカ環境保護局(EPA)』は既に、「大気浄化法違反に依り、最高180億ドルの制裁金を科す可能性がある」と明らかにしている。「今回の危機への対策費用として、65億ユーロを特別損失に計上する」とVWは発表した。EPAへの制裁金支払いは手始めに過ぎないだろう。イギリスの新聞『ガーディアン』に依れば、イギリスでは消費者からの相談が弁護士に殺到している。しかも、暗雲は世界規模で広がっている。ドイツのアレクサンダー・ドブリント運輸相は先週、「最初に不正が発覚したアメリカだけでなく、ヨーロッパでも同様の不正をしていたと同社が認めた」と公表。フランスやイタリアは国内で販売されたVW車を調査する意向で、韓国も同社のディーゼル車最大5000台をテストするという。『ジャガーランドローバー』の元経営幹部で、ノッティンガムトレント大学ビジネススクール学長のババク・ヤズダニ曰く、「VWが支払う金額は100億ドル単位どころか、200億ドル単位に上る筈だ。金銭的ダメージの大ささは、2010年にイギリスの石油大手“BP”が起こしたメキシコ湾での原油流出事故に匹敵する」という。BPは今年7月、アメリカ政府や被害を受けた湾岸5州に和解金187億ドルを支払うことで、漸く合意した。流出事故の対応にBPがこれまで費やした金額は、540億ドル近くに上る。「競合各社に顧客を奪われることにもなるかもしれない」とヤズダニは言う。「今わかっていることは氷山の一角で、問題はこれからまだ出てくる。そんな会社の車を買わなくても、選択肢は他に幾つもある」

信頼回復に掛かるコストも忘れてはならない。VWの昨年の新車販売台数は約1014万台。乗用車市場の12.9%を占める人気ブランドだった。だが、調査会社の『ユーガブ』に依れば、イギリスでは今や“バズスコア”(「ブランドについて肯定的又は否定的な情報を聞いたか?」という質問への回答に基づく関心度指標)で最下位。アメリカの消費者の間でも、スコアは10ポイント下がっている。故意に規制当局の目を誤魔化そうとしたVWの不祥事と一概に比較はできないが、同じく苦境に立たされたことのある『トヨタ自動車』の例を見習えば、VWも復活できない訳ではない。トヨタは2009~2010年、自社製品が意図しない急加速を起こした問題に伴い、アメリカで大量リコールを迫られた。昨年3月には、「情報公開が十分でなく、消費者の誤解を招いた」と認め、司法省に12億ドルを支払うことで和解。それでも2015年3月期の連結決算で、過去最高の最終利益である2兆1733億円を計上した。「復活のカギは、過ちを全て告白し、直ちに問題に取り組むことだ」とヤズダニは言う。「短期的な影響は避けられない。だが、BPもトヨタも生き残った。VWにも生き残る術はある。肝心なのは、どれだけ迅速に対応するかだ」。VWは先週、声明を発表。「全速力で不正解明に努めている」という。 (コナー・ギャフィー)


キャプチャ  2015年10月6日号掲載


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