気象庁に潜入撮!――知られざる巨大官庁の秘部を見た! 聞いた! 触った!

箱根山に口永良部島の噴火、そして大型台風の襲来…。日本を襲う様々な天災。その最前線で闘うのが『気象庁』だ。だが、天気予報や地震速報でその情報に触れても、実体を知る人は少ない筈。本誌が気象庁の内部に潜入し、全てを目撃した!

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「気象庁はお役所ですから(笑)」。気象庁を取材しようとすると広報室にそう釘を刺され、何枚も企画書を書く羽目に。気象庁は国土交通省の外局である。天気予報等で身近なイメージがあるが、縦割りと書類文化は他の省庁と変わりはない。気象庁本庁は大手町にある。築51年8階建てのビルの内部は薄暗く、天井も低い。館内は静まり返っていた。「こんな古いビルで、本当に天気予報をしているのか?」と不安に思いながら、天気予報を司る“予報現業室”を覗くと、モニターが壁一面にずらりと並ぶ近未来的な部屋だった。細かい数値や雲の動き・天気図等が次々に映し出される。私語は殆ど聞こえない。「夜勤はタ方4時に来て、翌日朝9時半まで。5日周期で休みを取っています。体力的にはきついです。でも、年数を重ねると理解力・判断力がついて、予報の速さがアップする」(予報課)。気象庁の仕事は、24時間365日途切れることはない。別の職員は、「盆暮れ・正月は無いです。しかも、天気や災害に国境は無い。全世界でデータのやり取りをしていて、世界で同時に観測してデータをアップしている」と話す。本庁だけではない。気象庁は全国5ヵ所に管区気象台、3ヵ所に気象台、更には気象衛星から観測船・気象大学校まで擁している。「気象庁職員の多くは、時間の観測を交代で続ける。1年間の南極観測隊に参加することもある。体力勝負の職場」(広報室)なのだ。気象庁職員の殆どは国家公務員試験を受けた技官。理系集団の職場だ。給与は平均すると約600万円(人件費と職員数から算出)。本庁の近くには官舎も用意され、緊急の出動に備える。普段、天気や地震の情報には触れるのに、その実態は知られていない気象庁。その心臓部に潜入しよう。

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地震や火山活動等、多くの自然現象を観測している気象庁だが、一番の花形部署はやはり天気予報に関わる部署だという。気象レーダー・アメタス等で全国から集めた観測データは、“観測室”で監視される。「ここがデータの源流。データがちゃんと取れているが5分置きに監視する。予報や防災の為に重要なので、データが途切れるのが一番の問題」(観測課)だという。何らかの原因でデータが届かない、と室内の警報が鳴るシステムだ。観測データは、本庁内で一番大きな“予報現業室”で利用される。「レーダー・衛星・天気図やコンピュータ上の計算結果を総合的に監視して予報を決めるので、1つのモニター画面だと全然足りない」(予報課)。台風が近づくと、部屋は職員でごった返す。進路の予測や警報の発令等、予報課の実力を発揮する時だ。レーダーや機械に頼るだけではなく、目視の観測も重要な仕事。気象庁の屋上では、1時間置きに夜中も観測を行っていた。「目が慣れてくると、夜中でも見えるようになります」(東京管区気象台)という。観測は、雲の割合・見通せる距離・雨量・雷の有無等。「本来、目視の観測が一番の基本。機器だけだときめ細かな観測はできない」(同)。気象庁には職人気質も息づいていた。

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■“あの顔”が語る地震発生会見の心得  地震津波監視課長・長谷川洋平氏
震度5弱以上の地震が発生した場合、気象庁は記者会見を開くことになっている。その第一線に立つのが、地震津波監視課長の長谷川洋平氏(54)だ。テレビではお馴染みの願だ。インタビュー前には、「地震が発生したら取材を中止します」と前置きされていた。「大きな地震が発生したら、私の携帯には直ぐ情報が入るようにしています。会見を開くのは課長の仕事の1つ。自宅は気象庁近くの官舎。夜中でも直ぐに行けますから」(長谷川氏)。地震発生後は他の職員も気象庁に駆けつけ、地震の分析を行い、発生から2時間以内で記者会見を始める。本庁内には会見で着る服を一式用意している。プライベートでどこかに出ていても、本庁に来れば即座に対応可能だ。「過去の課長には温和な顔をした者がいて、会見の時に『緊張感が無い』とお叱りを受けたことも。幸い、私はこういう顔ですから」と長谷川氏は笑う。東日本大震災発生時は本庁勤務だった。1ヵ月後、仙台の気象台へ転勤に。「仙台では休日に被災地を巡り、震災の傷跡を心に刻むようにしていた」(同前)。2年前に現在の役職に就いた。「震度5弱以上だと、地震に遭った人が物凄く心配になる。余震の心配もあるし、怪我をした人もいる筈。被害に遭った人が何を聞きたいかを想像しながら、話すようにしています」(同前)。こうした一方で、気になるのは地震予知についてだ。気象庁に聞くと、「東海地震だけは、日本で唯一科学的な直前予知の可能性があるが、現状では南海トラフ沿いの地震予知は困難」(地震予知情報課)なのだという。民間で盛んに地震予知が研究されているが、「科学的な検証が十分に行われているとは言い難い」(同)として、研究成果を採用する予定は無いという。

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■「予測できていない」という批判に答える  火山課火山活動評価解析官・小久保一哉氏
箱根山が噴火した6月、気象庁は「29日は噴火が発生していない」と判断、翌日に「小規模噴火が発生」と発表。果たして、気象庁の観測体制は万全なのか? 答えるのは、火山課火山活動評価解析官の小久保一哉氏(55)だ。「6月29日の降下物は土砂が巻き上げられたもので、噴火ではないと判断。翌30日に降灰を確認したことから、小規模な噴火と判断しました。今回の噴火がいつ開始したとするのが妥当かは、今後の解析結果で取り纏めます」。現在は遠望カメラや空振計を増設し、監視体制を強化した。現地に調査員を派遣し、常駐体制も取っている。それでも、箱根山の分析は難しいという。「火山は気象のように数値予報のモデルがあって、計算すると答えが出るというものではない。これまで噴火を経験していない場合は、過去の蓄積も無いので、監視をしながら評価している」。抑々、気象庁には火山の専門家が少ないという指摘を同氏は否定した。「火山のエキスパートは当然います。人数的には他の分野に比べて少ないが、今は活発な活動をしている火山が多く、人員を増強している。国民の目が火山に向いていることは感じています」。気になるのは、今後の火山の動向。箱根山は、7月中旬から火山性地震の回数が1桁台にまで減少している。「でも、噴気は勢いよく上がっているし、地下の深いところでの膨張は続いているので、警戒レベルを下げる判断はできない。口永良部島についても火口付近の地震が続いているし、浅間山にしても地震活動が活発で、注意深い監視が必要だと判断している」。火山課の職員は24時間体制で、本庁や現地で監視を続けているという。天気に火山・地震…。気象庁が眠る日は無い。


キャプチャ  2015年8月11日号掲載


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テーマ : 地震・天災・自然災害
ジャンル : ニュース

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