【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(34) 難民問題をスルーしたら日本のリベラルは終わり

シリア等からの難民受け入れが世界的なトピックになっていますが、先日、元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが日本政府に苦言を呈していました(『朝日新聞』2015年9月24日付朝刊)。緒方さんはこう言います。「難民の受け入れくらいは積極性を見出さなければ、積極的平和主義というものがあるとは思えない」。ご存知のように、安倍政権は“積極的平和主義”を謳っていますが、こと難民認定に関して言えば、日本政府は凡そ先進国とは思えないほど消極的な姿勢を続けている。緒方さんは、「(難民高等弁務官を務めていた1991年から2000年)当時から、その状況は変わっていない」と現状を嘆いています。

今から丁度20年前の1995年(映画『ホテル・ルワンダ』でも描かれたルワンダ大虐殺の翌年)、緒方さんは国連本部で素晴らしい演説をされており、その中に次のような一節があります。「難民は慈善を求め、絶望の声を上げるだけの存在ではありません。彼らは社会に変化を齎し、文化を相互に融合させる使者となり、活気を齎すのです」。ともすれば厄介者扱いされがちな難民こそが、社会の閉塞感を打ち破る力になる――そう訴えたのです。この演説は、ルワンダ問題に関して消極的だったアメリカに対する「この状況を無視できるのか?」というメッセージでもありました。今回も、緒方さんは日本に国際的な貢献を求めている訳です。しかし、日本の世論はどうでしょう? 「難民なんか入れたら国が滅茶苦茶になる」等と、レイシズム同然の発言を堂々とする人も少なくない。或いは、「難民や移民の受け入れには賛成」と言いつつ、「日本人より低い立場の“下働き”を宛がえばいい」という考え方も目立つ。実際、農業分野における外国人技能実習制度等は“奴隷労働”の温床と化している。チャンスを公平に与えず、彼らを経済的に追い詰めておきながら、一部の外国人が犯罪に走ると一気に排斥の気運が高まる…。難民の受け入れ拒否は国際社会の信用を大きく損なう一方、この日本社会の不正義を野放しにしたままで受け入れても上手くいかないのは目に見えている。つまり、如何に彼らを受け入れるかを今直ぐにでも考える必要があるんです。




こうした議論や運動は本来、リベラルを自任する人々が取り組むべきことです。国会前で“#Refugeeswelcome”(難民歓迎)と書いたプラカードを掲げなきゃ可笑しい。「日本だけは戦争に巻き込まれたくない」という内向きのデモばかりで、中国の人権問題も難民問題もスルーする“自称リベラル”を、僕はリベラルとは呼びたくない。安倍首相は9月30日、国連総会で難民支援拡充を表明しました。今はまだ金銭面に留まっていますが、若し本格的に“受け入れ”へと舵を切れば、自民党内外のレイシストを排除すると同時に、無党派層を大きく取り込むことになるでしょう。その時、野党はどうする? 「日本人の賃金が下がる」等と反対すれば、日本のリベラルは終わりです。この問題に全力で、しかも安倍政権より早く取り組むことこそが、烏合の衆に依る“安保法制ハンタイ”より遥かに強い風を生む筈です。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『チャージ730!』(テレビ東京系・不定期)等に出演中。


キャプチャ  2015年10月19日号掲載


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