【公明党・創価学会よどこへ行く】(04) 東京都議会では与党歴40年、少数派ながら強い影響力

SGI 06
東京都議会議事堂5階の公明党控室。関係者の間で“総会室”と呼ばれる部屋がある。四角に並んだテーブルを囲むように、現在の所属議員23人の椅子が並んでいる。月に2回程度のペースで月曜日の昼過ぎから、ここで都議会公明党の“総会”が開かれている。2013年都議選では民主党が惨敗。選挙前と同じ23議席を維持した公明党は、都議会史上初めて第2会派となった。自民党は39議席から59議席へと躍進したが、それでも単独過半数(64議席)には届かない。都議会では1960年代以降、最大会派が単独過半数を占めたことはなく、議席前後の公明党が予算案や条例案のキャスティングボートを握ってきた。それだけに、この総会で何が話し合われ、何が決められたかを知るのが、都政を預かる知事部局の重要な仕事となっている。昨年結党50年を迎えた都議会公明党は、“公明党の源流”とも言える存在だ。支持母体である創価学会出身の都議会議員が生まれたのは1955年。その翌年の参院選では、大阪選挙区と旧全国区から3人の当選を果たした。東京は政界進出の出発点である。

創価学会が東京を重視するのは、創立者の牧口常三郎初代会長が戦前に白金の小学校で校長を務め、『創価教育学会』を品川区上大崎で立ち上げた“発祥の地”という意味合いからだけではない。戦後にできた『宗教法人法』に依って1952年、東京都(知事)から宗教法人の認証を得たことも大きいだろう。1996年の法改正で、複数の都道府県に礼拝施設等を持つ宗教団体の所管庁は都道府県から文部省(当時)となったが、それまでは管理・監督権限は都道府県にあった。宗教法人を巡っては“非課税”という特権目当てが指摘され、創価学会に対しても“財務”という会員からの寄付に依る集金システムの不透明性が批判の対象となる。しかし、創価学会関係者は、「非課税特権は手放したくはないが、宗教法人格を失ったら抑々宗教活動ができなくなる。非課税目当てではなく、宗教活動そのものができなくなることへの恐れがある」と指摘する。部外者には、何故創価学会が宗教法人格に拘るのか稍不思議だが、牧口初代会長・戸田城聖2代会長が逮捕され、牧口会長が獄死するという経験を経ている創価学会にとって、権力に依る介入や弾圧は戦後になっても常に現実感を伴っていた。それだけに、「監督官庁に対して一定の影響力を持つ必要がある」と創価学会は認識してきた。先の関係者に依ると、都議会公明党が与党として居続けるのは、政策実現とは別に、こうした監督官庁への牽制という意味合いがある。これも、公明党と創価学会が一貫して受け継ぐ思考・行動様式である。管理・監督に当たって、文部科学省は宗教法人所在地の都道府県から意見を求めることになっている為、東京都への牽制意識は変わらない。その為、都議会公明党の実力者は公明党でも大きな力を持つことになる。池田大作名誉会長の側近で、都議11回当選、都議会公明党のドンと呼ばれた藤井富雄氏がその典型だろう。その実力は党所属の国会議員を遥かに凌ぎ、公明党ではナンバー2である幹事長と並ぶ存在として党内で遇されてきた。




2005年の引退後、藤井氏ほどの実力都議は生まれていないが、現在、その動向が注目されるのが、幹事長を長く務めた中嶋義雄氏(5期)と、将来の幹事長含みで、新たに幹事長代行に就任した東村邦浩氏(4期)だ。特に、東村氏は“突破力”に定評がある。都政関係者を驚かせたのが、石原慎太郎都知事時代の初期、2002年の予算特別委員会での質問だった。公認会計士の東村氏は石原知事に、財政再建へ向けて単式簿記・現金主義の“大福帳”方式から、複式簿記・発生主義の公会計制度を導入するよう求めたのだ。これに対し石原知事は、「会計の発想や方法を変えていかないと、中期の見通しがつかない。それが無い為に、国の行政のように行き当たりばったりで大きなロスがある」と応じ、前向きな答弁を行った。2006年に都の公会計制度が変わり、都債の返済に充てるべき積立金の5300億円超の不足や、2272億円に上る多摩ニュータウン事業の累積欠損が明らかになった。石原知事は、自らの背中を押した格好の東村氏を高く評価し、知事と都議会公明党の関係が構築されるきっかけとなり、東村氏の名前は永田町・霞が関にも知れ渡ることになった。水面下での工作が得意で、“寝業師”の異名を取った藤井氏とは全く違うタイプだが、政策通で根回しもできるタイプとして、今後の都政で実力者となる可能性が高い。創価学会にとって、選挙は宗教活動であると同時に、組織を維持・拡大する為の一大イベントでもある。当選・落選が直ぐに判明し、選挙運動をした一般学会員の達成感も大きい。だからこそ、学会はその効用を認識し、布教に有効に利用してきた。公明党は1950年代以降、都市部の中所得以下の層に食い込み、支持基盤を広げてきた。都議会公明党はその支持層を拡大する為、福祉・医療・教育等の社会政策を都政に働きかけ、一定の成果を上げてきた。まさに、布教と選挙が一体化したからこその浸透であった。だが、都議会において公明党の議席は最高でも29。学会に頼る集票構造では、これ以上議席が伸びないことは公明党と創価学会自身がよくわかっている。だからというべきか、与党の立場で自らの公約を実現し、支持者の票を繋ぎ留める必要がある。それは、自民党政権に不満はあっても絶対に連立政権から離脱しない、国政の枠組みに通じるものだ。革新系である美濃部亮吉都政の後半に与党に転じてから、青島幸男都政の時代を例外として、公明党はずっと与党の一角を占める。公明党と創価学会にとって、政権内にいることのメリットは限りなく大きいのだ。 (ジャーナリスト 千田景明)


キャプチャ  2015年9月26日号掲載


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テーマ : 創価学会・公明党
ジャンル : 政治・経済

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