【タブー全開!政界斬鉄剣】(09) 安倍内閣改造人事なんかより、自民党税調の会長人事に注目せよ!

今週は第3次安倍内閣の改造人事の裏に隠れた、“もう1つの重要人事”について話したいと思います。安倍首相は自民党の税制調査会長を、党内最多の当選15回を誇る大物議員である野田毅氏から、衆議院で3期・参議院で1期務めただけである前経済産業大臣の宮沢洋一氏という“小物”に後退させることを決めました。これは、2017年4月の消費税率アップの際に軽減税率の適用を主張する公明党に配慮したものでしょう。野田氏は軽減税率に強く反対していたからです。しかし、自民党は何故この人事で公明党に譲歩する必要があったのか? それを理解するには、『税制調査会』について知っておく必要があります。

国の税制を決めるのは、“政府税調”と呼ばれる首相の諮問機関である税制調査会と、“党税調”と呼ばれる政党に設置された税制調査会、そして財務省です。特に、自民党税調は日本の税制を事実上決める組織で、絶大な権力を誇っていました。その為、歴代の自民党税調のトップには、大臣を何度も歴任したような超大物が任命されるのが通例だったのです。そして、嘗ては自民党税調が大詰めを迎える時期になると、自民党本部前から入り口のホール、更に税調の会議室前の廊下まで、数千人を超える各業界団体の代表者たちで埋め尽くされるのが恒例でした。満員電車のような混雑の中、業界団体の人々が口々に「先生、頑張って下さい!」「頼みますよっ!」とエールを送る風景があちこちで見られ、まるで試合に臨む直前のスポーツ選手に向けた応援のよう。政治家は、党税調での言動が業界団体から評価されれば、選挙の時にはその団体が全力で応援してくれる。この“組織票”をより多く獲得して選挙地盤を安定させ、中央政界(永田町)での政治活動に専念できれば、より早く高いポストに出世できる訳です。これが、嘗て自民党議員が各業界団体の要望を必死に聞いていた理由でした。




ここで、皆さんに知っておいてほしいことがあります。税制の影響を受けるのは、企業や経営者に限りません。基本的に、全ての労働者は何らかの業界に属します。そして、殆どの業界は、自分たちの意見を政治に反映させる為の業界団体を作っている。つまり、業界団体とは“働く国民の集まり”とも言えるのです。各業界団体が自分たちの味方になる議員を応援し、軈て権力を握る政治家に出世してくれれば業界が潤い、その業界で働く労働者にも恩恵が行き渡る。これって、割と民主主義だと思いませんか? しかし、日本の新聞は業界団体を「政治と癒着した既得権益団体だ」と非難し続けた。そして、業界団体に支援される政治家を“族議員”と断罪し、悪役にした。おかげで、“国民の声”を訴える業界団体も、それを吸い上げる政治家も弱体化し、永田町は“国民不在”になってしまった。同時に、自民党全体の選挙地盤も揺らいでいったのです。一方、日本の民主主義を破壊した新聞ですが、自分たちはちゃっかり『日本新聞協会』という業界団体を作っている。そして実は、「再来年の消費税率アップの際に、新聞だけは税率を据え置きにしろ」と政治に圧力をかけているのです。まさに、正義の看板を掲げた詐欺師集団と言えましょう。新聞に弱体化させられた選挙地盤を再構築するべく、自民党が組んだ相手が公明党でした。今の自民党が公明党抜きで選挙に勝つことは不可能。だから、野田氏を切ってまで公明党の主張を丸呑みにしたのです。勿論、公明党支持者も国民の一部です。でも、より多くの業界団体から幅広く要望を拾い上げる体制のほうが、もっと民主主義だと思いませんか?


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官。1967年、熊本県生まれ。“農水族議員のドン”と呼ばれた松岡利勝農林水産大臣(故人)の秘書を16年間務め、国家権力や利権・国の意思決定の実態を内側から目撃してきた重要人物。


キャプチャ  2015年11月2日号掲載


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ジャンル : 政治・経済

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