【“貧困”無間地獄の現場】(04) 生活保護以下の収入で暮らす最貧困事情――AV業界の最底辺、“汁男優”の最底辺賃金

20151031 01
AV業界における最下層カーストである“汁男優”は、僅かなギャラで仕出しのように現場に集められ、女優とカラむこともなく、“ぶっかけ”等の場面で精液を提供するだけの存在だ。この汁男業界で、あまりにも特殊な風貌を見い出され、キモメン男優として活躍したのがダイナマイト幸男だ。見た目のインパクトは今でも語り草だが、数年前に男優業を引退。現在は公営住宅で、生活保護を貰う両親とひっそりと暮らしている。「汁男優を引退したのは…お金が全く稼げないし、このままずっと続けていたらよくないことが起こりそうな感じというか…虫の知らせがあったんだ」。ダイナマイト幸男は現在49歳。嘗て自衛隊にいたこともあるという。「自衛隊は、訓練が嫌で脱走して辞めた。その後、別の駐屯地でもう1回自衛隊に入ったんだけど、それも逃げた。2回も自衛隊を逃げているのは珍しいでしょ?(笑) 他は、飲食店のバイトとか、そういう仕事をずっとしていた。コンサートの整理スタッフをやっていた頃は、月に20万円ぐらいは稼いでいたね。“光GENJI”とか“チェッカーズ”の解散コンサートとかをやったのを覚えている」。断続的なアルバイト生活の果てに辿り着いたのが、汁男優業界だった。「最初にやったのが1999年くらいかな。凄く興味があって応募して、初めは汁として射精するだけだったけど、声をかけてくれる監督さんがいて、女優さんと絡むような仕事を偶に貰っていた。ギャラは、1本で1万円くらい貰っていたかな」。まだAV業界がギリギリ景気が良かった頃で、キモい風体の男優が可愛い女優を犯すような作品も作られていた。しかし、飽く迄も特殊なジャンルだけに、特別、本数が多い訳ではなかった。「汁の仕事は、一番多くても月に10本くらい。ギャラも1本5000円とか、どんどん下がっていったね。交通費も出ない撮影もあったから、現場まで歩いて行ったことも多かったね。家は荒川区なんだけど、カネが無いから撮影場所の大泉学園まで一晩かけて歩いたこともあるよ」。男優を引退した現在、収入はゼロ。貯金も勿論ゼロ。実家暮らしの為、食べることと寝る場所だけは何とかなっているが、最近は体調を崩し、杖や車椅子が無いと移動もできないという。「2週間に1度、病院に行く時に弟が2000円だけお小遣いをくれるんですよ。自由になるお金はそれだけ。毎日、何もすることが無いので、携帯電話で昔絡んだことのある女優さんのブログを読んだりしているよ」

伝説のキモメン男優の後継者と目されているのが小ダナマイトだ。汁男優として参加した現場で見い出され、キモ男優として活動している。「僕はずっとアメリカに住んでいたんですよ。留学という名目でアラバマ州に行って、そのまま11年間ぐらい暮らしていました。最後のほうはビザが切れていたんで、不法滞在という形ですけど。家賃は仕送りで賄えていたんで、後は日本食レストランで偶にアルバイトをするぐらいで、殆ど家にいました」。アメリカにいながら、誰とも会わずに引きこもりのような生活をしていたという。そして帰国後、今度は実家で引きこもる毎日だったが、性的な興味から汁男優に応募した。「汁男優って言っても、ちゃんと監督の言うことを聞かなきゃいけないし、周りとも上手くやらなきゃだし、本当に大変だなって。でも、生で女優さんを見れるのは嬉しかったですね」。汁男優からキモメン男優になった今も、現場では怒られることばかりだという。「幸男さんがやっていた時代よりも景気が悪くなって、ギャラは1本2000円というのも当たり前ですね。半日以上拘束されて、弁当は牛丼の並だけ。交通費が出ないのはもう当たり前ですよ。撮影の終わる時間が深夜0時を回っても、そこで解散ですから、駅まで歩いて野宿することも多いです。あと、女優さんと絡む為には性病検査を受けなくちゃいけないんですが、これも昔は別で払ってくれていたんですけど、今は自己負担。価格は1万800円で、有効期限も1ヵ月しかない。何本も現場があるほうならまだしも、僕みたいに月数本しか仕事が無いと、確実に赤字です」。彼も今は実家住まいなので、何とか生き延びているだけ。将来的な計画等は全く無い。「この世界でしか生きていけないので、いつか自分が好きな女優さんを沢山集めてAVを作ってみたいですね」。汁男優だけで生活などできない。アルバイトを兼業したり、年金や生活保護を貰いながらやっている者が殆どだ。汁男優はAV業界だけでなく、現実社会においても最底辺という立場に固定されている。親というセーフティーネットに守られている2人は、展望の無い人生をウロウロし続けている。 (取材・文/大谷弦)

■あの極貧セックス教団『リトル・ベブル同宿会』の今
2007年、“正しいセックス”を行う儀式として行う奇異な教団として、世間を騒がせた『リトル・ベブル同宿会』。全員が定職に就いておらず、当時の収入は、神父の全盲の養女に支給される月額8万円の障害者年金のみ。まさに火の車だった台所事情。あれから8年、このセックス教団の現在はどうなっているのか、神父に聞いてみた。「養女の容態が重くなったので、障害者年金が10万円、それに精神障害者年金4万円。あと、2階で下宿屋をやっているんですけど、そこに新たに信者になった女性が住んでいまして、彼女から下宿代6万円を貰って、月20万円の収入です」(ジャン・マリー神父こと杉浦洋氏)。下宿している信者も含め、5人で生活している彼ら。やはり、生活は困窮を極めている。「毎日、朝昼晩、同じ食事です。ミューズリーと板海苔1枚。最近は食べ物が値上がりしているんで、量を減らしています。クララがよくブログにラーメンとかアップロードしているんで、それを見た人は『いいもん食べている』とか思っているかもしれないけど、彼女は拒食症で骨と皮の状態。外食は治療の一環なんです。光熱費の値上げも辛い。平均すると月3万5000円ぐらいですが、冬は豪雪地帯(秋田県)なんで灯油代がかかる。部屋でも厚着して、10℃以下になったらストーブをつけるようにしています。今年の夏は暑いけど、クーラーなんてつけません」(同前)。全員、何らかの障害を持つ彼らは年々症状が悪化しており、『ミトコンドリア脳筋症』という難病持ちの神父は最早、散歩もままならないという。

●正しいセックス…マリア様のお告げで始めたという儀式。「クンニリングスの時はヨーグルトを陰部に塗る」「挿入しないで素股で果てる」「射精した精子は瓶に入れておく」等が特徴。
●ミューズリー…加工穀物・ナッツ・干し葡萄等が入ったシリアルの一種。
●クララ…クララ・ヨゼファ・メネンデスこと阿部由美さん。“正しいセックス”での神父のパートナー。


キャプチャ  2015年10月号掲載


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テーマ : 貧困問題
ジャンル : 政治・経済

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