【アメリカ大統領選2016・有権者は今】(05) SNS活用、候補身近に…情報や意見偏る恐れ

20151114 01
アリゾナ州の州立大学院で環境学を学ぶアナ・ベティスさん(22)の朝は、『Facebook』のチェックで始まる。枕元のスマートフォンに手を伸ばし、眠い目を擦りながら新しい投稿記事に目を通す。「環境問題を考える内に、いつの間にか政治に興味を持つようになった」。人差し指でスマホの画面を撫でると、大統領選関連のニュースが次々と流れる。民主党候補のバーニー・サンダース上院議員(74)に関するものが多い。ベティスさんは、「格差の解消が、持続可能な社会の発展に不可欠」というサンダース氏の主張に共感し、情報を集めるようになった。サンダース氏の集会にも最近、足を運んだ。新聞は読まず、テレビも見ない。「接近するニュースは粗100%インターネット経由」で、Facebookに向かう時間は1日3~4時間に上るという。SNSへの依存度の高さは、“ミレニアル世代”と呼ばれる若者たちの大きな特徴だ。『ピューリサーチセンター』の調査では、18~33歳のアメリカ人の61%が、政治ニュースの主要な情報源にFacebookを挙げた。2008年の大統領選は“Facebook選挙”と呼ばれたが、この傾向は更に加速している。Facebookは民主党の候補者討論会を共催し、Facebookで集めた市民の質問を候補者たちにぶつけた。ベティスさんの「気候変動問題にどう取り組みますか?」という質問も取り上げられ、支持するサンダース氏が「化石燃料業界と共和党の癒着を断つ」と答えた。ベティスさんは「夢みたいだった」と振り返った。

スマホ等に依る自撮りをアメリカ等では“セルフィー”と呼ぶ。今回の大統領選では、大統領候補と並んで撮った自分の写真をFacebookに掲示するのが若者の間で大流行しており、“セルフィー選挙”とも呼ばれている。共和党候補のテッド・クルーズ上院議員(44)のセルフィーに成功したアリゾナ州の大学生であるシアリー・グルーマンさん(20)は、「未来の大統領2人」とコメントを付けてFacebookに投稿した。選挙戦を戦う陣営にとっては、Facebook等のソーシャルメディアは、これまで接触が難しかった若者らに支持を広げる絶好の機会を提供してくれる。元脳神経外科医で共和党候補のベン・カーソン氏(64)は、Facebook上で支持者の質問に頻繁に答える等して、支持拡大に成功している。ただ、Facebookに依る情報収集には落とし穴がある。Facebookは、記事に賛同する“いいね!”ボタンを押した履歴等に基づき、利用者の関心分野に近い情報が自動的に集まる仕組みを導入している。この為、サンダース氏を応援する人にはサンダース氏に好意的な情報が集まり易く、批判的な情報は集まり難いとされる。投稿記事は、共通の関心を持つ友人間の狭い輪の中で共有され、似通った見方や意見が次第に反響し合うように増幅されていく。こうした現象は“エコーチェンバー(木霊する小部屋)効果”と呼ばれ、利用者はバランスを欠いた見方に陥りかねない危険がある。ベティスさんは、「自分の考え方に都合のいい情報を観たがるのは誰でも同じ。私も例外ではないかもしれないけれど、常に気をつけているつもりよ」と懸念を口にする。だが、Facebookの利用を止めるつもりはない。 (尾関航也) =おわり


≡読売新聞 2015年11月13日付掲載≡


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