【東京いい店やれる店】(25) 江戸前鮨で23歳の大将ってアリ? それともナシ?

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今年オープンした飲食店の中で、夜の食事の席で最も多く会話の俎板に乗せさせてもらった店は、『みや古 織店』である。雑誌『東京カレンダー』に依れば、この店は赤羽で70年続く江戸前鮨の店『すし処 みや古分店』に惚れ込んだ常連客が、支店の経営を申し出て、大将の息子で弱冠23歳の野口伊織を大将に迎えて出した支店。23歳と言えば、鮨の世界ではまだまだ駆け出し。なので、行く先々の鮨屋の大将との会話で、「23歳の鮨屋の大将ってアリですか?」と話題にさせてもらったのだ。反応ははっきり2通りに分かれ、「アリでしょう」が2割、「23歳じゃ無理でしょう」が8割だった。『みや古 織店』の場所は東横線中目黒駅から徒歩1分の山手通り沿い。ビルの1階を黒い板で覆った店構えで、カウンターは靴を脱いで上がる掘り炬燵式。店内は、表のガチャついた喧噪が嘘のような静けさだが、源氏物語チックな赤い房のぶら下がった簾を壁に巡らせた内装は、出来立ての神社みたいで上品とは言い難い。23歳の大将・野口伊織は、京都『たん熊』での修行経験もあるそうで、腕は上々。ネタも良く、つまみも握りも素晴らしい。2人でおまかせで握ってもらって、ビールと日本酒を2合飲んで3万6400円という勘定はかなり高いが、ネタは勘定に見合っていると思う。食べログの点数も、中目黒周辺の鮨店ではトップの評価だ。だが、この若い大将、腕ではなく立ち姿に問題がある。

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この店に行って改めて気付かされたのだが、いい鮨店の大将というのは上半身が少しも動かず、立ち姿がピタッと決まっているもの。ところが、この若者は鮨を握る時、上半身がラップのDJのようにクネクネと動くのだ。カウンター内で矢鱈左右に歩き廻るのも目障りだし、手をズボンの脇で拭く癖があるのか、ズボンが汚れているのも気になる。鮨屋は腕だけじゃないということを実感させてくれる、ある意味貴重な店である(まあ、こういったことは教われば直ることだから、この若者も将来はきっといい大将になるだろうが)。「じゃあ、今現在、あんたが考える一番の大将は誰なんだ?」と訊かれたら、これは自信を持って、渋谷宮益坂上の『くろ崎』の黒崎一希だとお答えできる。この店も今年2月にオープンしたばかりの新店で、大将はまだ35歳(とはいえ、『みや古 織店』より一回り上だ)。無論、立ち姿はピタッと決まっていて、左右に動いたりはしない。初めてこの店に行った時にカウンターに並んでいたのは、3人は左利きで、その3人の内の1人は、普段は左利きだけど箸だけは右利きというややこしい客だったのだが、この大将は瞬時に全てを見て取り、左利きの客には握りを斜め右に傾けて置き(こう置いたほうが左利きは掴み易い)、普段は左利きだが箸は右利きという客にツメを塗った穴子のような箸を使うネタを出す時は、右利き向けに傾けて置いていた。これで、勘定は『みや古 織店』と粗同じ、3万6700円である。因みに、この大将に23歳の大将の話をしたら、答えは「アリですよ」だった。


キャプチャ  2015年12月1日号掲載


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