【誰がテレビを殺すのか】(01) “娯楽の王者”テレビの終焉――電通すら見放したフジテレビのゴールデン番組

“娯楽の王者”として、多くの人を惹き付けてきたテレビが今、その存在意義を問われるような事態に陥り始めた。若年層で1日の視聴時間が2時間を大きく割り込む等、テレビ離れが広告の減少を招き、制作費の大幅削減に繋がる“負のスパイラル”に嵌まり込んでいるのだ。間隙を突くように、インターネット配信の新興勢力が急速に台頭する中で、地上波を、そしてテレビを殺すのは一体誰なのか? その実情に迫った。

20151205 01
「枠の買い切りについて、今回は見送らせてもらいたい」――9月上旬、広告代理店最大手の『電通』から入った連絡に、お台場の『フジテレビ』社内で動揺が広がっていた。代理店と蜜月の筈だった関係性が、大きく変容し始めた瞬間だった。枠の“買い切り”とは、特定の番組に流す広告枠を、代理店がテレビ局から直接購入することを指す。代理店は通常、広告を出したい企業と枠を売りたいテレビ局を繋ぐことで、10~20%程度の手数料を得ているが、買い切りにすることで広告枠を割安に“仕入れる”ことができるのだ。安く仕入れた分、沢山の広告主が付けば、手数料を上回る利益が代理店側に入る。一方で、広告主が思ったように付かなければ最悪、代理店側の赤字になってしまう訳だ。フジテレビ関係者に依ると、今年4月に全番組の3割超を入れ替える嘗てない大型改変に踏み切った際、電通や『博報堂』に依る買い切り枠は「全体の3割前後はあった」という。ただ、「それまでの低視聴率で広告主が思うように付かず、赤字になった枠があったようだ」と関係者は声を潜める。テレビ業界では、番組に対して提供をする“タイム広告”が埋まらなかった場合、単発の“スポット広告”として売り捌いたり、自社の番組宣伝を入れて埋め合わせたりしている。それでも足りない場合は、今後の取引関係を考えて、広告主からCMの素材だけを貰ってタダで流すといった悲惨なケースもあるという。フジテレビの場合、それ以前から買い切り枠の赤字が散見されたものの、代理店側は長年の取引関係を踏まえ、必死になって支えてきた。一方で、視聴率の低下に歯止めがかからず、広告主から見限られるような状況に、代理店側としても「これ以上、赤字を被るようなことはできない」と、業を煮やしたというのが冒頭の事例だ。折しも9月は、10月の番組改編を控えて、現場が必死になって新番組の制作に当たっている時期である。一部は初回の収録を終えて、これからという時期での“通告”だっただけに、フジテレビに衝撃が走ったのも無理はない。しかも、買い切りを断念したのが、10月改変の目玉となる日曜日ゴールデン帯の番組だったことも痛手だった。

フジテレビは現在、『日曜ファミリア』という番組名で、毎週日曜日19時から22時まで3時間の特番を放送している。9月に実施した番組改変説明会で編成部の宮道治朗部長は、「裏局(同じ時間帯で流れている他局の番組)との闘いを制すべく、かなり面白いラインナップが並んでくる」と意気込みを語っていた。ただ、日曜夜は日本テレビの『THE鉄腕DASH』や『世界の果てまでイッテQ!』等、視聴率が民放トップを走るような番組がずらりと並ぶ時間帯だ。そこに、フジテレビは毎週内容が変わる特番で果敢に攻め入った訳だが、代理店側の予想通り、視聴率は1桁台の低空飛行が続いてしまっている。抑々、広告主にとって毎週内容が大きく変わる番組は、年齢層等といった視聴者の顔が見え難い為、敬遠しがちだ。フジテレビとしても、その点を十分理解した上での編成だったのだろうが、代理店に見放されるとまでは想定していなかったようだ。「今後の出稿は、少し考えさせてもらいたい」――広告収入の落ち込みが続くフジテレビに追い打ちをかけるように、三行半を突き付けようとしている広告主も現れた。大手化学メーカーの『旭化成』は、フジテレビが1959年に開局して以来の付き合いで、電通等の代理店すら仲介役として容易には入れず、50年以上に亘って間断無くフジテレビを支えてきた。バラエティーやドラマ等の番組1つに対して、年間10億円単位でタイム広告費を払っているが、「(フジテレビ側が説明していた想定視聴率の)半分も届かないことが続いている。カネをドブに捨てているようなものだ」(同社幹部)と憤る。11月までの番組視聴率を見て、改善が見られないようであれば、50年以上続けてきたフジテレビへの広告出稿を止めるという。視聴率の低下→広告収入の減少→番組制作費の削減→質の悪化に依る視聴率の低下…という負のスパイラルに陥りつつあるフジテレビ。今年4~9月期には初の営業赤字に陥る等、嘗ての王者は何故ここまで凋落したのか? 次回からは、その深層とテレビ業界全体を覆う構造的な問題について探る。


キャプチャ  2015年11月14日号掲載


スポンサーサイト

テーマ : フジテレビ
ジャンル : テレビ・ラジオ

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR