【私のルールブック】(32) 煙草も酒も止めずに健康維持の努力はする

先日、人間ドックに行ってきた。2年前に、とある番組で知り合った院長先生と馬が合い、1年に一度受けることを決めた。まだ詳細な結果は出ていないのだが、リアルに健康を気にする年齢になったのは事実であり、私がMCを務める『バイキング』(フジテレビ系)でも健康関係のネタを扱うことが多く、世の関心事であることが窺える。一方で、健康に抗う自分もいたりする。365日飲酒、1日80本超の喫煙。日常習慣を変えることができない。お医者さんに決まって言われることは、「『煙草を止めろ』とは言いませんが、減らせませんか?」「『お酒を止めろ』とは言いませんが、休肝日は作れませんか?」。答えは「NO」である。だって、自分のリズムがあるし、私の数少ない嗜好の1つだし、止めてしまったら仕事に悪影響を及ぼしかねないという恐怖が、どこかにあるのよね。まあ、屁理屈なんですけどね。でも、どこかで屁理屈の1つぐらい持っていないと、何を楽しみに生きて行けばいいのか…。

とは言え、煙草やお酒を止めた方々を見ていると、引き摺っている人よりも、あっけらかんとしている人のほうが多いような気がする。「結構、あっさり止められたよ」「どうせ、吸う場所無いしね」「味覚が変わったよね」…。そんな言葉を耳にする度に微妙に心が揺れるのだが、聴いている傍から煙草を指に挟んでいる私。いつから、こんな健康ブームになったんだろう。高齢化社会を反映してのものであることは間違いないが、どこもかしこもである。昔はそんなことなかったんだけどな~。ある大物俳優さんは、ヘネシーとトマトジュースを1対1で割り、一晩で3本は空ける日々を月~金で恒例行事にしていた。ある大御所脚本家の先生は、70歳を過ぎても煙草を100本近く吸い、「『意志が強い人間が煙草を止められる』というのは、見当が違う。意志が弱いから煙草を止めてしまうんだよ」と言っていた。私は今世紀最高の名言と受け止め、今も深く心に刻んでいる。身体を労る作業と、痛めつける癖――この相反する2つの行為は、交わることがあるのだろうか?




ただ、私が何故人間ドックを受けるようになったのかというと、院長先生のこんな言葉に痺れたからである。「煙草もお酒も止められませんよね? 減らすのもしんどいですよね? だったら、3ヵ月に一度遊びに来て下さい。そして、年に一度人間ドックを受けに来て下さい。そうしたら、早期発見できる可能性が上がりますから。当面はそれで構いません」。院長先生が天使に映りました。「何て粋なことを言ってくれるんだろう」と…。で、約束を果たすべく、3ヵ月に一度顔を見に行き、年に一度の人間ドックを決意した訳です。こんな感じでいいのかな? 脚本家の先生の名言と、院長先生の粋な言葉に依って、私は身体を労る作業と、痛めつける癖を交わらせていることになる。「いつ死んでもいい」なんて子供じみたことを言える年齢ではありません。私程度でも抱えているものはありますから、無駄に迷惑は掛けられない。だからといって、全ての欲を抑えられるほど悟ってもいない。つくづく、中途半端な男でございます。そんな中途半端な男は今日も、中性脂肪を抑える薬を焼酎で胃に流し込むのでありました。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2015年12月24日号掲載


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テーマ : 俳優・男優
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