【本当の教育を取り戻す!】(05) “目を輝かせる子供たちの学校”は、こうして生まれた

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「『子供たちの表情・目の輝きを見て下さい』と私は言うんです。そこに現れる集中して取り組もうとする姿勢…そうしたものを見てもらえば、納得できる筈です」と語るのは、長野県北相木村立北相木小学校校長の日向忠久だ。同校では、佐賀県武雄市が勧める“官民一体型学校”の民側として参加している学習塾『花まる学習会』と提携したカリキュラムを実施している。「その成果について、保護者からも近隣の学校の先生方からも訊かれるんです。テストの点数が上がったといった話を期待されているんでしょうが、花まる学習会とやっている本来の目的は、ただテストの点数を上げることではありません。漢字とか地図等も盛り込んだ内容になっているので、結果的にテストの点数にも繋がっているかもしれません。しかし、それより重要なことは、子供たちの学習に対する姿勢・生きる姿勢を前向きにできることです。そうしたものは、テストでの数値で測れるものではありません。だから私は、『子供たちの表情を見てくれ』と言うんです。子供たちの目の輝き方を見れば、成果が出ていることをわかってもらえます。実際、見学された先生方は皆さん、『なるほど』と言って帰っていかれます。北相木小が花まる学習会と共にやっていることは、農業で言えば“土壌作り”です。人生で花を咲かせ、実を実らせる為の、子供たちの“土壌”を造っています」。とは言え、そうした土壌作りは、花まる学習会と組めば簡単に実現できる訳ではない。日向が赴任してきて4年目になるが、その前から提携は始まっていた。しかし、北相木小に来たばかりの日向の目には“土壌作り”には見えなかった。「赴任してきたばかりの時は、こんな風に展開していくとは思ってもみませんでした」と言って、赴任してきたばかりの様子を日向は次のように語った。「今でも同じですが、花まる学習会からは月に一度だけ講師がやって来て、各クラスを指導して帰っていきます。それを教員たちは、『外部講師がやって来て、何か面白いことをやっている』くらいにしか受け止めていないようでした。子供たちも、普段の授業とは違ったことをやってもらえば楽しい訳です。けれど、それもマンネリ化してきて興味を失っている状態のように見えました」。だから日向は、「これで、どんな力が子供たちに付くのか?」と疑問にさえ思っていたという。しかし、花まる学習会との提携は村の教育委員会の方針として取り組んでいることであり、「校長だからといって、どうのこうのと言える話ではない」と前任の校長にも釘を刺されていた。

花まる学習会との提携カリキュラムに対して同じような疑問を、日向と同じ時期に北相木小に赴任してきて、研究主任を務めるようになった太田潤も抱いていた。「ここに来たのは2012年4月で、花まる学習会との提携が始まって半年ちょっとくらい経った頃でした。赴任前に挨拶に来た時、当時の校長から『こういうことをやっている』と聞かされていたので、少しは勉強してきていましたが、私が事前に理解していた花まる学習会の授業と、講師が来てやる授業は別としても、北相木小の教員がやっている花まるカリキュラムは、どうも違っている気がしました。『花まるっぽいことをやっている』…言い過ぎかもしれませんが、ただ形だけを真似ているといった印象でした」。例えば、“サボテン”という花まる学習会が開発した計算練習がある。同じ問題を、一定の時間内にスピード感を持って解く練習を繰り返すというものだ。「計算力は反復に依って身に付く」との考えに基づいている。他人と競うことが目的ではない。同じ問題を繰り返し解いていくことで、答えが暗記できるのではなく、計算そのものが正確に早くなっていく。自身の成長を実感することができ、そこから自信が生まれ、学ぶことそのものに楽しさを見つけることができる。学ぶことの下地作り――校長の日向の言葉を借りれば、土壌作りをしていく為のカリキュラムだ。それも、クラス全員が一緒に取り組むことでスピード感を重視する環境が生まれ、それに依って集中力も高まり、それでこそ効果も上がる。ところが、太田が赴任してきたばかりの北相木小の教員たちは、そのサボテンの問題を普通に宿題にしていた。それでは、いくら計算ができても、サボテン本来の目的を達成することはできない。花まる学習会の狙いは実現できず、まさに形だけを真似ているだけに過ぎない。かといって、太田も花まる学習会の学習法を完全に理解していた訳ではない。それでも、校長でさえ口を挟めない村の教育委員会の方針なのだから、教員でしかない太田が無視する訳にもいかなかった。「『それなら、本来のサボテンのやり方でやってみよう』と思いました。『私がやってみて良いと感じられたら、他の先生方にも広めてみよう』と思ったんです」。その時、太田が担任したのは2年生のクラスだった。そこで、本来のサボテンのやり方で半年間やってみた。「そのうち、『算数が苦手だ』って言っていたが、苦手意識も薄らいでいくし、計算も早くなっていく。『俺ってできるんじゃないの?』という自信というか、上向きのパワーが湧いてくるんでしょうね」。それに依って、花まる学習会のプログラムに取り組む太田自身の姿勢が大きく変わっていく。「それからは、来てもらっている花まる学習会の講師に色々質問したりするようになりました」。但し、「花まる学習会のやり方をそのまま導入すればいい」と考えた訳ではない。北相木小は公立の学校である以上、文部科学省の定めた学習指導要領を無視する訳にはいかず、飽く迄もそれを主流にしながら花まる学習会的なものを導入するということになる。




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じっくりゆっくり教えるという公立の授業スタイルを、スピード感を重視する花まる学習会流に完全に転換するなど不可能である。花まる学習会から学べる要素を北相木小の教育の中に取り込んでいくには、それなりの工夫が必要なのだ。そのノウハウまでは、花まる学習会にはない。自分たちで考えていかなければならないものだった。「その為に勉強会を始めました。と言っても、最初は花まる学習会の講師と私、それに教員では新津由紀先生くらいで、こぢんまりした勉強会でした」と太田は笑う。新津は言った。「スピード感のある花まる学習会流に衝撃を受けたし、新しいことはやりたがり屋なので、積極的に取り組んだのかな」。その勉強会が、2014年になって全教員が参加するものに変化していく。きっかけは、花まる学習会の西郡文啓が参加するようになったことだった。「それまで来てもらっていた花まる学習会の講師に、『新しいこともやりたいし、この学校をプロデュースするくらいの勢いで花まる学習会の講師にやってほしい』と相談したんですよ。そうしたら、『面白い人がいますから紹介しますよ』と言われたんです。それが西郡さんだったんです」。西郡は、花まる学習会の創業者である高濱正伸とは高校が同じで、それが縁で創業当初の頃からメンバーに加わった1人でもある。「『学習塾って必要なのかな?』という考えもありました。それでも、『やるなら、他とは違うマシな学習塾をやろう』と思って参加したんです」と言う西郡は、「日本の教育そのものを良くしたい」と真剣に語る熱い人物である。だから、北相木小で子供たちの為に、それまでの学校の枠に捉われず熱心に取り組んでいる太田たちの話を聞いて、無視できる訳がなかった。西郡が北相木小にやって来るようになったが、教員たちを手取り足取り指導した訳でも、花まる学習会のノウハウを懇切丁寧に教えた訳でもない。彼がやった最大のことは、“教員たちが自ら学ぶ姿勢”を作ったことだ。「最初に西郡さんが来て勉強会をやる時に、教員に『来ませんか?』と声をかけたんです。皆も花まる学習会に反発していた訳でもないし、寧ろ関心を持っていたので、取り敢えず全員が集まりました」と太田。得るものがなければ、教員の足は遠のいていった筈である。それまで、花まる学習会の講師がやって来る授業は月に1回あり、その後に勉強会をやっていた。それが西郡は、授業後の勉強会は勿論、その前日に勉強会をやる。月に1回の勉強会が2回になったのだ。それでも毎回毎回、勉強会には粗全員が顔を揃えるようになった。「改めて質問されても答えに困るんですが、“西郡マジック”ですかね」

何故、全員が参加するようになったのか理由を訊ねると、太田は考え込んでしまった。それから、次のように続けた。「西郡さんとの勉強会では、夢のある話ができるんです。西郡さんがアイデアを出すというのではなくて、彼がちょっと話を振ると、それに皆が意見やアイデアを次から次に出してくる。『あれもやりたい』『これもやりたい』となって話が盛り上がる。そして議論を重ねて、それが実現していく。そんな感じですかね」。西郡は一見すれば、失礼ながら“ただのオジサン”である。上から目線とは対局にあり、威張ったところなど微塵も無い。それでいて、語る内容はストレートであり、静かな口調ながらも情熱に溢れている。対している側を自然に素直な気持ちにさせてしまう…そんな雰囲気を持った人だ。「私の役割は“触媒”です」と、西郡は言った。自身は変化しないが、他の物質の化学反応の仲立ちとなって、反応の速度を速めたり遅らせたりする物質…それが触媒である。西郡が加わることで、北相木小の教員たちは、まさに化学反応を始めたと言える。教員なのだから、元々子供たちのことを誰よりも真剣に考えている筈であり、教育に情熱を持っている筈である。それが、西郡という触媒に依って、沸々と表に出てきたと言えばいいのだろうか。「大事なのはチームだと、私は考えています。1人ではできなくても、チームになることで色んなアイデアが出てくるし、行動にも結び付くんです」とも、西郡は言った。1人では、化学反応が起きても簡単に収まってしまう。1人では、新しいことはやり難いのだ。それがチームだと、互いの化学反応が合わさって、更に新たな化学反応に繋がっていく。そうなると、化学反応は止まらなくなるし、大きく広がっていくことになる。西郡という触媒は、北相木小で1人ひとりの化学反応を引き起こしただけでなく、チームとしての化学反応を引き起こしたのだ。その化学反応は、花まる学習会という枠まで超えていってしまうことになる。北相木小では、花まる学習会のカリキュラムだけでなく、立命館小学校の実践で注目された“モジュール”を取り入れたプログラムも作り上げていく。テンポのある音読等に依って脳の活性化を計るのがモジュールである。「これも、勉強会での西郡さんの発言がきっかけでした。『後腐れなくパッパカパッパカやりたいね』と西郡さんが言った時に、私の頭に浮かんだのが、立命館小学校でやっているモジュールでした。『脳を活性化させて授業に臨もう』とい う考え方は、花まる学習会にも共通しています」と、太田は説明する。

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そのモジュールを学ぶ為に、彼は立命館小にも足を運んだ。但し、学びはするが、そのまま真似るのではないのが北相木小流である。「モジュールに、サボテンや四文字熟語といった花まる学習会のノウハウを加える工夫をしています。だから、ただのモジュールではなく、“花まるモジュール”と呼んでいます。それも、花まる学習会のテキストを丸々使う訳ではありません。どんな四文字熟語を選んだらいいのか、子供たちの様子を見て選択し、『ちょっと難しそうだ』と思ったら替えてみたりと、私たち教員自身が試行錯誤しながら決めていきます。どういう内容にしたらいいか、どうやったら子供たちを夢中にさせられるか。そのギリギリの線を狙って、工夫しています」と言って、太田は笑った。それについては、教員の松倉邦幸が次のように語った。「『音読も取り入れたいね』という話になって、『それなら、こんなのがあるよ』と私が持ちだしたのが、前任校で私が作った音読用のテキストでした。そこからモジュールに合うものを取り出して、それを活用しました」。それも、そのままずっと使い続ける訳ではない。教員たちの話し合いの中で、どんどん変化していっている。チームとしての化学反応があるからこそ、北相木小流のものが出来上がっているのだ。その花まるモジュールは、現在の北相木小の時間割では週に3回が組まれている。正規の時間としてではなく、朝の始業前の10分間に行うようになっている。更に、花まる学習会のものを北相木小流に改良した“花まるタイム”も、正規の授業ではなく2時間目の後の長い休み時間(と言っても15分だが)を使って、週に2回が組まれている。正規の授業は、飽く迄も公立学校としての時間割である。「全てを花まる学習会的にやるのは難しい。教科書もあるし、学習指導要領もありますからね。それに、『全てを花まる学習会流にしてしまっていいのか?』という基本的な疑問もありますからね。そういうことも考えながら、私たちが考えて工夫していくしかない」。そう、太田は言った。それでも、新しいことをやるには時間も労力も必要になる。つまり、教員の負担は増えるのだ。よく言われる教員の忙しさは北相木小も例外ではなく、学校にいて教員たちの動きを見ていると、まさに“飛び回っている”という表現がピッタリである。そんな中で花まるモジュールや花まるタイムを熟し、勉強会もやり、独自の工夫を積み重ねている。「大変だ」と思う。それを太田に質問してみると、にっこり笑いながらの答えが戻ってきた。「大変です。忙しいのは嫌なんですが、それでも楽しさが勝っちゃっているんですよね」

北相木小の独自性は、教室の中だけにあるのではない。山に囲まれた北相木小にいると、「緑が生活の背景色だ」と改めて実感させられる。ビルに囲まれた生活とはまるで違う、心の豊かさに浸れてしまうから不思議だ。そして、学校の直ぐ近くには川が流れている。学校には立派なプールもあるが、水泳の時間は専ら川のようだ。筆者が訪問した日も、3年生が川で泳いでいた。いや、遊んでいたと言ったほうがいいかもしれない。そこに5年生が合流してきた。3年生と5年生が別々に行動するのではなく、一緒になって遊んでいる。その中で5年生が3年生に何かを教え、質問しているのか3年生の子が5年生の子に一生懸命話しかけている。子供たちは、青空の下で学び合っているのだ。それこそ、花まる学習会が最も重視している学習でもある。「今は体育の時間ではないんですけどね。『暑いから川遊びの時間にしようか』って子供たちが言うもんですから。『その代わり、後で算数はスピードアップしてやるぞ』って確認は取っていますけどね」。そう言って、5年生を担任している松倉は笑った。教員と生徒の信頼関係が、そこには確かにある。教科書からだけでは吸収できない多くのものを、こうした関係から子供たちは学んでいるに違いない。豊かな学びである。こうした柔軟性に富んだ授業がやれるのは、実は北相木小が全校生徒が53人、1学年1学級という小規模校だからなのかもしれない。教員数も少ないからこそ、活発に意見交換し、学び合える勉強会も組織できる関係ができているのかもしれない。そして、“特色ある学校作り”に成功している。勿論、豊かな学びと特色ある学校作りは小規模校だけのものではなく、大規模校にも必要なことは言うまでもない。北相木小が花まる学習会と提携して特色ある学校作りを進めてきたのには、小規模校であるということが大きく影響している。“山村留学生”という形で村の外からも生徒を集めなければ、学校そのもの、延いては村そのものの存続が危ぶまれるからだ。だから、村の外からも子供たちが集まってくる魅力を作る必要があった。

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北相木村は群馬県と接する長野県内にあり、周囲を秩父山系や御座山等の高山に囲まれて、真夏でもクーラー等が不要な土地柄だ。面積は56.32㎢で、9割を山林が占めている。産業は農業や林業が主体で、村の人口は817人しかいない。更に、過疎化が進みつつある。子供の数も増える訳がなく、減る一方だ。中学校は単独で存続できなくなり、隣接する小海町と中学校組合を作り、村の中学生は小海町にある組合立小海中学校に通学している。つまり、村から中学校は無くなってしまったのだ。「元々が小さな村で、小学校は1学年1クラスでしたが、私が小学生の頃は同級生が36人もいた。それが今では、全校で50人ちょっとですからね」と語るのは、北相木村教育長の井出利秋である。その生徒数も、2010年には全校で28人という状況にまで落ち込んだ。3人しかいないクラスが3つもあるという状態だった。この状況に、保護者から隣の小海小学校と統合させる請願書が議会に提出され、統合を巡って村は真っ二つに割れた。「議会も悩みました。悩みに悩んだ末に、議会で統合案が採択されたんです。そこから、村と教育委員会が本気で取り組んだのが山村留学事業だったんです」。都会等から山村にある学校に留学するのが、山村留学だ。実は、北相木村では1987年から山村留学事業を開始し、その為に留学生が滞在する立派な宿泊施設まで設けている。事業を始めた最初の年の留学生は8人で、その後も10人くらいを集めていたが、全校生徒が28人にまで減った2010年には、留学生は3人にまで落ち込んだ。留学生が急減した為に、全校生徒が落ち込んだとも言える。その為に、村から小学校が消えてしまう統合の話が浮上してきたのだ。それまで、北相木村の山村留学事業は、全国的に山村留学事業を展開している団体に委託していた。ここが留学生を募集し、北相木村に送り込んでいたのだ。その団体が、北相木村から手を引いてしまった。子供が少なくなった為に学校の存続が危うくなる地域は、北相木村の他にも数多く存在する。そうしたところにも留学生を割り振っているが、留学希望者が多い訳ではないので、少ない留学生をどこに割り振るか、団体としても頭を悩ませることになる。そして、効率が悪いところからは手を引くという決断を下し、その中に北相木村もあり、結果として山村留学生が激減したのだ。

留学生が減り続ければ、村議会で採択されている統合案を実行に移すしかない。そこで、教育委員会が山村留学で実績のある人物を雇い、そのネットワークを利用したり広報活動をやることで、何とか留学生を集めていく。そうした施策の一環として、花まる学習会との提携が浮かんできたのだ。自然環境だけでなく、肝心の学校に魅力が無ければ留学生は集められない。特色のある学校作りが必要で、留学生を集めて学校を存続させる為に、民間の学習塾との提携に期待をかけた訳だ。当然ながら、そこには経費がかかる。留学生の主な生活の場となる『山村留学センター』には6人の職員がいて、その人件費だけでも結構な金額だ。センターでの生活だけでなく、留学生は農家に泊まっての生活もプログラムに含まれている。それもタダという訳にはいかない。勿論、留学生からは費用を徴収しているが、経費の全額を負担できる額には達しないのが現実だ。今年の留学生は、小学生だけで21人、統合した小海中学校に通う留学生が2人で、合計23人の留学生がいる。彼らからの収入は1800万円ほどだが、それに対して、村が山村留学事業に計上している予算は4500万円である。大幅な赤字事業なのだ。「だってね、小学校が無い自治体なんて、それこそ存在する価値がないじゃないですか。子供たちの声が聞こえなくなって、老人ばかりの村になったら、あっという間に合併ということになる。北相木村を残したい。それには小学校が必要だし、その為には山村留学事業が重要だし、それを成功させる為に、花まる学習会との提携に依る特色作りが鍵を握っているんです」

北相木小には今年、23人という多くの留学生がやって来ている。そこには、「花まる学習会と提携している」と聞いてやって来ている子供も少なくない。留学を希望して北相木村を訪問した子供の数は、もっと多い。「留学で大事なことは先ず、子供の気持ちです。小学生だから、先ず留学のきっかけは親です。だから、希望者にはセンターに1泊してもらって、体験してもらう。その上で、『やりたい』と子供自身が納得したら引き受けます」と説明するのは、北相木村の山村留学センターで主任指導員を務める山田隆一である。数を集めたい気持ちが勝てば、子供が納得しないまま引き受けてしまうこともある。それが、花まる学習会との提携で希望者が多くなることで、体験を通じて双方が大丈夫かどうか見極められるのは、かなり大事なことなのだ。とは言え、“花まるっぽいこと”をやっていても評価されなかっただろうし、留学生が増える状況にもならなかったに違いない。花まる学習会のノウハウを活かしながら、それを北相木小流にまで引き上げていったのは、北相木小の教員1人ひとりである。だからこそ、特色ある学校作りが成功した。多くの留学生がやって来る学校にもなっている。本当の教育にとって必要なことは、上からの意見を次から次に教員に押し付けてやらせるのではなく、教員が本来の力を発揮し、それを高め合っていく環境を作っていくことだ。それを優先しなければならない。北相木小を訪ねて、つくづくとそれを感じた。 《敬称略》


前屋毅(まえや・つよし) フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒。立花隆氏・田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。経済・社会・教育の問題をテーマに取り組んでいる。著書に『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』(共に小学館文庫)・『洋上の達人』(マリン企画)・『学校が学習塾にのみこまれる日』(朝日新聞社)・『日本の小さな大企業』(青春出版社)等。


キャプチャ  2015年12月号掲載


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テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

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