【2016年の15大問題】(10) 得をするのは国だけ…マイナンバー不況がやって来る

20160101 22
今月から『マイナンバー制度』がスタートします。これは、全ての国民に12桁の背番号を付けて、個人情報を国が一元管理するという制度です。当面は、個人の所得税・健康保険・雇用保険・年金等の社会保障や、被災者支援の分野を番号管理しますが、将来的には、ここに個人の利用する銀行や証券会社を紐付けして、投資信託口座・証券口座・積立型&年金型保険・死亡保険等の資産情報、更には銀行の預金口座情報等ともリンクさせていく予定です。これに依り、行政手続きが簡素化できるだけでなく、個人の資産状況等を国が把握できるようになります。このマイナンバー制度が導入されたら、私たちの幕らしはどうなるのでしょうか。マイナンバーがあると、今まで複数の書類を提出しなくてはならなかったところが、1つのマイナンバーの提示だけで済むので便利になると言われています。ただ、サラリーマンは、納税から社会保障まで殆どの手続きを会社がやってくれるので、恩恵があるとしても、一生に一度の年金受給の手続きが簡素になる程度。つまり、サラリーマンがマイナンバーから受ける恩恵は、それほど多くはないということです。年金等は1つのナンバーで名寄せされるので、“消えた年金”になる可能性は低くなるというメリットもありますが、その一方で、会社に内緒でやっている副業が、仮名を使ってもナンバーで把握されてしまうのでバレ易くなります。また、今まで税務署の目を盗んで行っていた贈与税対策や所得隠し等は、簡単に把握されてしまいます。

マイナンバーで最も恩恵を受けるのは国です。行政の作業効率が上がるだけでなく、国税庁は漏れなく税金の徴収ができるし、年金事務所等は年金未納者の摘発や健康保険料の調整徴収等がやり易くなります。将来的に税収不足になったら、簡単に資産課税もできます。マイナンバーの導入で、企業の負担はその分、大きくなります。サラリーマンの場合、年末に会社から源泉徴収票を貰いますが、この源泉徴収票には本人だけでなく、抹養家族全員のマイナンバーも記載しなくてはなりません。その為、企業は大量の個人情報を集め、管理しなくてはなりません。当然ながら、個人情報の漏洩や不正利用の心配も出てきます。マイナンバー制度では、若し個人情報が流出したら、最高で4年以下の懲役又は200万円以下の罰金という厳しい罰則が科されます。勿論、この刑罰を受けるのは情報を漏らしたり盗んだりした人ですが、実は盗まれた企業にも“監督不行き届き”ということで、ペナルティーがかかる可能性があります。例えば、公共入札に参加できない等のケースが考えられます。こうしたことが起きない為には、情報の管理に人もお金もかけなくてはなりませんが、日々の仕事に追われる中小零細企業等は余裕も無く、それを徹底できないところも少なくありません。また、マイナンバー制度が導入されると、今まで使っていた源泉徴収票や退職願を始めとするあらゆる帳票類を全て刷新しなくてはなりません。また、ナンバーを問い合わせる書類を発行する等の膨大な作業を熟さなくてはなりません。特に、アルバイトが多い飲食業や、店長までアルバイトというフランチャイズ店では、こうした経費も馬鹿にならず、儲けが出難くなる為、「マイナンバー不況がやって来る」という声も聞かれます。




誰もがマイナンバーで感じる大きな不安はセキュリティー。既に、『日本年金機構』では125万件もの個人情報がダダ漏れになり、大騒ぎになりました。ただ、マイナンバーは、番号に紐付けされている個人情報を各行政機関が分散して保有しているので、行政機関から情報が芋蔓式に引き出される確率は低いと言われています。けれど問題は、マイナンバーの入り口で情報管理をしている全国約400万社ある民間企業。内部犯行の流出でなくても、スパイメールが飛び交う中、うっかりパソコンが感染して個人情報がダダ漏れになるということは、先ず避けられないでしょう。更に今、非正規社員が働く人の4割を占めています。非正規社員は正社員と違って入れ替わりが激しく、非正規を多用する企業が個人情報の管理を完壁に行うのは至難の業。基本的には、情報は漏れると思ったほうがいいでしょう。消費税10%時点での軽減税率の代わりに、マイナンバーカードを使って税金の還付を行う案が財務省から出てきましたが、実現は難しいでしょう。何故なら、マイナンバーカードは任意で作るもので、セキュリティーを考えるとカードを子供にまで持たせたくない親も多いでしょう。そんなカードを使って税金の還付をするというのは、税の公平性に欠けます。また、読み取り機の設置等、小売業者の負担も大変です。多分、財務省の狙いは、議論を巻き起こすことで消費税アップのコンセンサスを作り、マイナンバーの知名度を上げることにあるのでしょう。財務省の目論見通り、将来的に全ての個人資産がマイナンバーに紐付けされると、愈々資産課税という話が出てくることでしょう。今月からスタートするマイナンバー制度。システム関連の投資やセキュリティーで約3兆円の特需と言われていますが、負担するのは民間企業。その分、利益を減らすので、働く人の給料は、まだまだ上がらない状況が続きそうです。


荻原博子(おぎわら・ひろこ) 経済ジャーナリスト。1954年、長野県生まれ。明治大学卒業後、経済評論家の亀岡太郎氏に師事。1982年からフリーに。『やってはいけないお金の習慣 今のままでは年収800万円でも家計は破綻する!』(青春出版社)・『荻原博子のどんと来い、老後!』(毎日新聞出版)等著書多数。


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テーマ : マイナンバー
ジャンル : 政治・経済

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