【新聞不信】 何故、新聞が“軽減税率”に入ることを書かなかったのか?

20160109 02
来年度税制改正大綱が決まった2015年12月16日。この日は、後世、新聞が政治権力に魂を売った“メモリアルデー”として記憶されることになるだろう。16・17日の朝刊各紙が伝えた通り、2017年4月の消費税10%への引き上げで導入される軽減税率(現行の8%)の適用対象に、食料品と共に新聞(週2回以上の宅配)が加えられたからだ。澎湃と巻き起こった国民の声を受けたものなら文句も言うまい。だが実際は、『日本新聞協会』が圧力団体として政権与党に強く働きかけ、白石興二郎社長が協会長を務める読売が常軌を逸した導入キャンペーンを展開した成果だ。当然、政権与党には思惑がある。少なくとも、今後の税制と財政規律を巡る報道において、各紙が手足を縛られることになるのは間違いあるまい。向こう2年先まで見渡した時、先ずは来年夏の参院選がある。「政権周辺で再増税の先送り論が燻っている」と聞く。支持率次第では現実味を帯びるかもしれぬ。その時、各紙はどう報じるのか? また、導入に依る税収減1兆円のうち、6000億円をどう手当てするかは今後の検討課題だが、ここでもどんな主張を展開するのか? そして、導入時の店頭等で混乱が起きた時、責任問題を論じられるのか?…等々。意識しようがしまいが、筆先は鈍らざるを得ないだろう。それでも、「新聞は“活字文化”や“民主主義”を支える社会基盤である」という根拠が“張り子の虎”でないならいい。“活字文化”は詭弁以外の何ものでもなく、「軽減税率で活字離れに歯止めがかかると信じている人がいたら、お目にかかりたい」とだけ言っておく。

もう1つの“民主主義”のほうは、記者1人ひとりが自分の胸に手を当て自間自答すればわかるが、1つだけ指摘しよう。予て、『経済協力開発機構(OECD)』は軽減税率について、「低所得者に限った給付措置に比べ、極めて非効率」と断じている。両者には一長一短があり、どちらがいいか即断はできないだろう。だが、この1ヵ月間に亘ってその一長一短を示し、わかり易く読者に提示した紙面は目にしなかった。国民の誰もが喜ぶ“軽”という文字が入っている故に執着した公明党同様、新聞を加えたい一心の読売を筆頭に、アプリオリにヨーロッパ型の軽減税率を支持しているだけなのだ。漸く、事業者の事務負担の軽減措置で“益税”が大きくなることや、不正の温床になる懸念があることも伝えられるようになっているが、腰が引けている。既にマイナス面が顕在化しているのだ。最後は、経営者たちに次の言葉を献じよう。「部数減の歯止めには100%ならない」と。目先の利益に目が眩み、まさに業界全体で“自殺”に近い行動に突っ走った訳だ。新聞の特別扱いに多少の後ろめたさはあるのだろう。各紙とも、あまり触れたがらないムードが漂う。これまで(2015年12月20日現在)社説で取り上げた読売(17日)・日経(17日)・毎日(19日)の3紙は、『民主主義のコメ』等と色褪せた“錦の御旗”を振り翳し、「出版物も“軽減”対象にせよ」と迫る。そして毎日は、ヨーロッパで水道代・医薬・衣料・子供用品等、食品以外の生活必需品も対象になっている点を挙げ、「対象を更に広げろ」と言わんばかり。要するに、「正面から取り上げても、業界エゴと受け取られまい」と必死なのだ。何れにせよ、新聞が“無冠の帝王”から“特権の帝王”に成り下がったことは、否定しようがあるまい。万が一、出版物にも範囲が広げられるようなことがあっても、本誌を含む週刊誌は返上するくらいの気概を持ってほしい。 (諦)


キャプチャ  2015年12月31日・2016年1月7日号掲載


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ジャンル : 政治・経済

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