【インタビュー・明日を語る2016】(05) オリンピックで国民に生きる喜びを、日の丸の重みを力に変えて――読売巨人軍終身名誉監督 長嶋茂雄氏

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オリンピックは、アスリートにとって4年に1度の最高の舞台。2020年に、また東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。あの言葉にならない興奮を半世紀ぶりに再び味わうことができるのは、大変な喜びがありますよ。昨年、東京オリンピックに向けた準備段階で、新国立競技場の建設計画やエンプレムの選定等で世間を騒がせてしまったことがありました。国民の1人として残念な思いでしたが、あと1年・2年と経てば盛り上がりも大きくなっていく筈。1964年の東京オリンピックでもそうでした。日本全体がオリンピックからパワーを貰い、大きく発展していきました。2回目の東京オリンピックは、前回とは違う何かが出てくるような気がしています。あと4年、日本がどう変わっていくか本当に楽しみですね。今年は、8月にリオデジャネイロオリンピックが開催されます。特に期待しているのは、体操の内村航平選手。体操は団体も強くなりましたね。水泳なんかも、若くていい選手が沢山出てきています。リオで活躍すれば、東京オリンピックにいい形で繋げることができます。若い選手たちにとっては、いつも以上に大きな意味を持つ大会になるでしょうね。パラリンピックも楽しみにしています。車いすテニスの国枝慎吾選手や上地結衣選手は世界トップの実力があり、金メダルが期待できます。上地選手は未だ21歳なので、東京パラリンピックでも十分に活躍できると思います。障害を抱えながらスポーツに打ち込み、世界レベルの競技で結果を出すのは大変な苦労があるでしょうね。私も2004年に脳梗塞で倒れてから12年、リハビリを続けてきました。散歩もただ歩くのではなく、タイムを計って少しでも速く歩けるように。ウェートトレーニングも、自分自身に負荷をかけながらね。中々できない時もあるけど、落ち込まないように、もう、前へ前へという強い気持ちで。野球と同じように、「少しでも上手くなりたい、前へ行きたい」という思いでやっています。オリンピックもパラリンピックも、選手の皆さんは大きな目標に向かって日々、努力されています。本番でメダルを取ってくれれば、国民皆に勇気や元気は素より、生きる喜びを感じてもらうことができ、国全体に大きな刺激を与えることができます。それもスポーツの持つ力であり、素晴らしさだと思いますね。

私が初めてオリンピックの魅力を知ったのは、1964年の東京オリンピックでした。報知新聞の『ON五輪を行く』という企画で、ワンちゃん(『ソフトバンクホークス』の王貞治会長)と2人で様々な競技を取材しました。陸上100mのボブ・へイズ(アメリカ)は、「何て速い男なんだろう」と驚きました。男子マラソンのアベベ・ビキラ(エチオピア)は、走り終わっても平気な顔で体操したりしてね。スポーツの凄さ、オリンピックの素晴らしさに毎日、感動したものです。大会コンパニオンとして各国要人のおもてなしをしていた、妻の亜希子と出会ったのも東京オリンピック。公私共に良い思い出ばかりですね。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、野球・ソフトボールのオリンピック復帰が有力になっています。2008年の北京オリンピックを最後に、野球がオリンピック競技から外されてしまったのは、本当に残念でした。「何としてもオリンピックに戻ろう」と、関係者の皆さんが一丸となって運動しまして。昨年9月に追加競技として提案されることが決まった時は、そりゃあもう、(左手を挙げて)ガーッと喜びました。国際大会は他にも色々ありますが、オリンピックはやはり特別ですからね。1984年ロサンゼルスオリンピック、1988年ソウルオリンピック、1992年バルセロナオリンピックも、現地で生で見る機会に恵まれました。長年、応援する側だった私が、一転して参加する立場になったのが、2004年アテネオリンピックでした。オールプロ選手で編成した日本代表の監督を務めることになりました。日の丸の重みは想像以上でしたね。2003年11月に札幌で開かれたアジア予選では、私も選手諸君も、国歌斉唱の時に皆で大きな声で君が代を歌いました。戦いが始まると、味わったことの無いプレッシャーを受けました。巨人の監督の時とは全く違う感覚がありました。脳梗塞を発症しても、何とかアテネに行こうと必死でリハビリに取り組みました。しかし、最後はドクターストップがかかって。選手は一生懸命やっているのに、監督の自分が行けなくなって無念でなりませんでした。東京オリンピック・パラリンピックが今から楽しみです。沢山の日の丸を掲げて、金メダルを取ってほしいですね。 (聞き手/運動部 山脇幸二)


≡読売新聞 2016年1月5日付掲載≡


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テーマ : 東京五輪
ジャンル : 政治・経済

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