【インタビュー・明日を語る2016】(07) アメリカ軍への支援は日本の国益、対中国で時には“行動”も――アメリカ合衆国元国防長官 ウィリアム・ペリー氏

20160112 04
日本では昨年9月、集団的自衛権の限定的な行使を認める『安全保障関連法』が成立した。若し今、朝鮮半島で軍事紛争が起こり、私がアメリカの国防長官なら、日本に対し、軍事作戦を支援する活動的な一員になることを求めるだろう。北朝鮮の核兵器やミサイルに依って日本も脅威を受けていることを考慮すれば、それが日本自身の国益でもある。どの国も、侵略から自国を防衛する権利を持つ。安倍首相は、その方向でより大きな権限を求めている。首相の「安保関連法に依って抑止力が強化される」という説明も正しい。私が国防長官だった1994年、北朝鮮が寧辺の核施設で再処理に踏み切ろうとした。「北朝鮮が計画を放棄しなければ、寧辺を空爆すべきだ」とクリントン大統領に提案しようとした。我々が空爆を実施すれば、北朝鮮は韓国に対する軍事行動を起こすかもしれない。空爆を実行に移すには、アメリカから韓国へのアメリカ軍増派が必要だった。私は日本に飛び、(細川首相の辞任表明後の羽田)次期首相と会談して、「(増派の為の中継基地として)日本にある基地を使う必要がある」と求めた。当時は、「日本が軍事紛争に直接関与することは難しい」と判断し、期待していなかった。実際には北朝鮮が交渉に応じ、増派や空爆は必要なかった。アメリカは、朝鮮半島で緊急事態が発生したら、その日に現地入りできる海兵隊と航空基地を維持しなければならない。沖縄県のアメリカ軍普天間飛行場の問題を話す時には、このことを頭に入れておく必要がある。私は1996年、国防長官として、住宅密集地に取り囲まれた普天間飛行場を、より人口の少ない県北部に移設することを決断した。偶然にも、移設先は、私が第2次世界大戦の終戦後に1年ほど沖縄に駐留した際にいたのと粗同じ場所で、私は「皆がこの合意に賛成するに違いない。問題は解決した」と思った。ところが、私の退任後、予想したようにいかず、今ではコントロールが効かない状況に陥っている。移設が実現されず、皆が損をしている。私は今でも、「県北部への普天間移設はいい解決策だ」と思う。反対する人たちは、近視眼的な見方に立っているのではないか。基地の撤退を望んでいるのだろうが、安全保障情勢を考えれば賢明な解決策ではない。

南シナ海の島々を巡る問題は深刻で、解決の道筋が見えていない。中国は人工島を建設し、そこに空港を造ることに依って状況を一層悪化させており、非常に大きな懸念を持っている。中国は人工島に基づく領海を主張しているが、アメリカは「南シナ海は国際的に開かれた海だ」と考え、アメリカ艦隊を展開している。オバマ政権の対応は中国側に脅威を与えておらず、かなり抑制されたものだ。「南シナ海の航行の自由の権利を確保する」という原則を明確にし、強調している。膨大な量の貿易と交通を守るアメリカ艦隊の任務は、南シナ海全域における自由な航行を通じてしか実現できない。この任務をアメリカが抑制することはない。西太平洋――特に南シナ海におけるアメリカ艦隊の前方展開は、この地域の国々が経済成長を実現するに当たり、根本的な要因の1つとなってきた。歴史的には、この地域は紛争が絶えず、関係する国々は疲弊してきた。過去50年は概ね平和が維持され、中国・韓国・日本、そしてフィリピンは自由な貿易に依って繁栄を得てきた。中国の一部の人々も、このことを理解していると思う。ただ、信頼(の欠如)が南シナ海における問題だ。中国は1996年、台湾の沖合にミサイル発射実験を行い、軍事的な脅威を与えた。国防長官だった私は、こうした振る舞いを容認しないという立場を明確にする為、「強力な対応が必要だ」と考え、空母2隻をこの地域に派遣した。中国は、「地域の安定を維持する為には行動を起こす」というアメリカの決意について、読み違いをしていたと思う。外交努力が奏功しない時には、“大きな棍棒”も必要なのだ。ただ、それを振り翳し、脅威を与えてはいけない。行動自体に依って語らせることが求められる。 (聞き手/アメリカ総局 小川聡)


≡読売新聞 2016年1月6日付掲載≡
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