【私のルールブック】(34) 私のスジの通し方

前回では「ヤバいものも時には必要」という話をさせて戴きましたが、今回は真逆のお話を…。昔から言われ続けてきたことなのだが、「何であんな仕事を引き受けたんですか?」と…。例えば、一昔前。大作映画でメインの役を張っているにも拘らず、『水戸黄門』のゲストの仕事を引き受ける…私。先輩俳優から「もったいないから仕事を選べ」とのダメ出しが飛ぶ。それもその筈、当時、テレビのレギュラードラマのゲストは仮令、ゲスト主役と言えど格下と見られていました。しかし、私の答えは至極簡単。「お世話になった方からのオファーなんだから、引き受けるっしょ」…それだけ。そして、それは今も変わらない。バラエティー番組に頻繁に呼んで頂けるようになり、気が付けばMCの大役を任され…。なのに、ロケには出るわ、所謂ひな壇にも座り続けるわ。

勿論、理由は変わらず、中途半端にMCの立場になったからといって「もう、ロケには行かないよ」は、私の中では筋が通らないから。どちらかと言えば、私の考えは正反対。番組の中心に置いて頂いたからこそ、誰よりも労力を払うのが…私の筋論。だって、何の実績も無ければ技術だって怪しいもんなんですからね。MCになったからといってクソみたいな勘違いをして、「もう、ひな壇には座らないよ」は筋以前の問題でしょ。とは言え、受け取り方に依っては綺麗事に聞こえてしまうのかもしれません。ですが、その指摘にも敢えて反論するならば、「どこかで1つぐらい綺麗事を持っていないと、仕事を継続することなどできないっしょ」…かな。だって、仕事ってすればするほど職種に関係無く汚れていくものだから。だから、続ければ続けるほど綺麗なものを探したくなるものなんじゃないかなって…。若しかしたら、それがいつしかその人なりの“筋”に変化していくのかもしれない。誰だって生活がある。生活をするにはお金が必要となる。ギャラのいい仕事は大切だ。しかし、ギャラがいい仕事ばかりでは心がままならなくなる場面も生まれ、時にバランスを失ってしまう。だから、ギャラが悪くても綺麗な仕事? 私なりに表現するならば、不細工な仕事を欲するのである。




確かに、見映えは悪いのかもしれない。「そっちこっちにいい顔しているだけなんじゃないの?」と思っている人もどこかにいるのかもしれない。でも、若かりし頃なら未だしも、どうやら初老って40歳が基準らしく。だとすると、私なんかとっくに過ぎちゃっている訳で…。見栄も大切だけど、初老には初老の、その年齢に応じた大切なもの・大切にしなきゃいけないものってありますからね。さ、2016年になっちゃったな。去年もそこそこ、自分の筋を押し通して過ごしてしまった。正直、疲れた。だって、受け身のほうが仕事を回転させる効率はいいから。筋を通すという行為は受け身だけでは済まないから。少なからず、摩擦は生じますからね。摩擦は相手も自分も、時には傷つくから…。ただね、48年も生きてりゃ多少は面の皮は厚くなっています。面の皮というよりも、ハートを覆う粘膜みたいなものは硬くなっている筈。だから…大丈夫。ってことで、今年も自分の筋論で行きますので、何卒ひとつ宜しくお願い致します!


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年1月14日号掲載


スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR