【裏切り・化血研処分】(上) 寡占の驕り、不正に甘く

20160118 02
厚生労働省の会議室の空気は張り詰めていた。血液製剤の安全性について議論する昨年9月9日の専門家委員会。不正発覚から3ヵ月以上が経過していたが、一般財団法人『化学及血清療法研究所』の内部調査報告書には、未承認の方法で血液製剤を製造した理由すら書かれていない。「いつ発覚したのか?」「客観的な調査と言えない」――委員らの厳しい指摘に、化血研の宮本誠二理事長(右写真)は謝罪を繰り返しつつ、強い自負心を覗かせた。「不謹慎かもしれませんが、如何にいい製品を作るかを検討しておりました」。血液製剤の国内メーカーは、化血研等の3法人に限られる。化血研はワクチンの国内シェア(占有率)も高い。専門家委員で日本薬科大学の山口照英客員教授は、「患者に必要な製剤を作っているという驕りから、法令違反に問われないと思っていたのだろう」と振り返る。 しかし、驕りは事勿れ主義となり、不正を正すチャンスを摘んでいた。元幹部は2007年、部下から相談を受けた。「血液製剤の製造工程で、国の承認を受けずに抗凝固剤の“ヘパリン”を添加しています」。不正を改めようとヘパリンを使わない製法を実験したが上手くいかず、結局、不正そのものに目を瞑った。

今月6日に取材に応じた元幹部は、「これほど大きな問題になると思っていなかった」と唇を噛んだ。別の幹部も2012年に不正の相談を受けたが、行動を起こすことはなかった。認識の甘さは、先月2日に自ら公表した処分案にも表れていた。理事全員が辞任又は降格することを発表して幕引きを図ったが、厚労省は同日、事業譲渡も含む組織の見直しを求める異例の行政指導を出した。不正や隠蔽を解消できなかった経営陣の一部が残ることへの強い不信感が大きく影響した。「何のチェックも利かない組織だ」――塩崎厚労相は、化血研の処分方針を発表した8日の閣議後の記者会見で、組織の体質を槍玉に挙げた。化血研の歴代常勤理事は内部出身者で固めてきた。評議員も、18人中10人を化血研やその関連法人のOBら“身内”が占め、外部の評議員も熊本県の医師会・薬剤師会の会長・熊本大学幹部・県内企業のトップらが慣例で就任してきた。年3回の評議員会は予算や決算を承認し、理事会の報告を受けるだけの事実上の追認機関となっていた。「覚悟しなければならない」。年の瀬が迫る頃、宮本理事長は従来の方針を変え、全理事に辞任を促した。


≡読売新聞 2016年1月9日付掲載≡
薬害エイズと闘う [ 家西悟 ]

薬害エイズと闘う [ 家西悟 ]
価格:1,620円(税込、送料込)

薬害エイズ再考 [ 加沼戒三 ]

薬害エイズ再考 [ 加沼戒三 ]
価格:2,160円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR