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欠陥マンションを平気で売る、隠蔽する、チラシは嘘だらけ――実録! ヤバすぎ不動産~悪徳業者は今日も高笑い~

2016年01月19日20:04  カテゴリ:生活・事件・事故
新築物件数を競い合う大手デベロッパー。「今、買わないともっと高くなる」「大手だから安心」…。そんな心理につけこみ、危ない物件を売りつけているのだ――。

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「空調や水道、下水等を通すスリープという設備配管用の孔が設置されていないという信じられない施工ミスが、完成目前になって発覚しました。スリープはマンションの血管のようなもの。これが無いと排水できないから、風呂も使えなければ、台所もトイレも使えない。要は、人の住める物件ではないということです」(元契約者)。3ヵ月後には引き渡しという完成直前の段階で致命的な欠陥が発覚したのは、大手不動産会社『三菱地所レジデンス』(東京都千代田区)の物件。同社の主力商品『グランシリーズ』の第1弾として鳴り物入りで売り出した『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』が、箸にも棒にもかからない大欠陥マンションと判明したのだ。広尾や麻布も徒歩圏内という最高の立地。最多価格帯が1億4000万円台で、最高価格は3億5000万円。絵に描いたような億ションだ。全86戸中83戸が契約済みだったが、“血管”無しという前代未聞の“欠陥”物件では流石に売れない。「最早、回復の目途すら立たない」(三菱地所広報部)と諦め、平身低頭で購入者全員に“契約解除”を申し入れた。「不具合を調査する為には、壁を外したりコンクリを掘って調査しなければなりません。その期間だけでも1年以上かかるので、『今回は契約を全うできない』と判断しました。お客様には、手付け金の返却と売買代金の20%を迷惑料としてお支払いします」(前出・広報部)。工事を請けたのは大手ゼネコンの『鹿島建設』(東京都港区)で、設備の施工は『関電工』(同)。共に押しも押されもしない一流企業の筈が、隠蔽工作疑惑まで浮上した。「鹿島も関電工も、スリープが無いことは工事の初期段階で気付いている。それなのに抜本的な対策を取らず、後から壁に穴を開けて配管を通す“コア抜き”という作業を現場判断でやっていた。『コア抜きでいけばバレないだろう』と考えたのでしょう。三菱地所も含めて、隠蔽を疑われても仕方ありません」(『日本建築検査研究所』代表の岩山健一氏)。三菱地所は、通常は“倍返し”が慣例の迷惑料を“3倍返し”にした。「バレたからゴメン」した訳だが、バレなければそのまま引き渡すという恐怖の事例もある。それが次のケースだ。

「入居したところ、床に置いたビー玉が転がるほど建物が傾いていたんです。一部の棟は、棟ごと傾いている。にも拘らず、販売側は当初、『大丈夫、問題ありません』と説明していました」。こう憤るのは、『住友不動産』(東京都新宿区)が手がけ、大手ゼネコン『熊谷組』(同)が施工した11階建てマンション『パークスクエア三ッ沢公園』の住民だ。不安を感じた住民が第三者の建築士に調査を依頼。結果、マンションを支える抗が固い支持層まで届いていない可能性が浮上し、住友側がボーリング調査を行って漸く欠陥が露見した。住友側は住民に建物の補修の間の引っ越しを提案。「引っ越し代及び40万円までの家賃を負担するから」と泣きついた。訴訟に発展している住友系の物件もある。北海道札幌市豊平区に建つ地下1階・地上7階のマンション『グランアビテ福住』だ。販売は住友グループの『スミセキ・コンテック』(北海道札幌市)と住友不動産、施工も『三井住友建設』(東京都中央区)という“丸ごと住友系”マンションだ。2001年に55戸を売り出し、直ぐに完売したが、抑々この物件は設計段階から出鱈目だった。設計士は、耐震強度偽装事件で摘発を受けた二級建築士の浅沼良一氏。“一級建築士”と偽って請け負っていた。施工も酷い。ベランダの内壁は罅だらけ。マンション吹き抜けの梁にも大きな亀裂が走っている。フローリングを剥がして調べたところ、床のコンクリートは撓み、大きな罅割れができていた。住民が提訴して今も係争中だが、「前例の無いことで、調査中としか申し上げられない」と住友不動産広報部は答えを濁していた。



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目を関西に転じても、やはり欠陥マンション問題が彼方此方で起きている。関西の私鉄大手『南海電鉄』の子会社『南海辰村建設』(大阪市浪速区・東証2部)が施工したマンションも、その1つだ。「上から下まで滅茶苦茶です。基礎部分の罅割れで、地下の立体駐車場は水没状態。車が置けないばかりか、夏はボウフラが大量発生して、衛生などあったものではない。大手だと思って信用していましたが、巨大な落下物で周囲に被害も出ており、杜撰を通り越して殺人的です」。京都駅から電車で約20分。JR大津京駅前に聳える14階建てマンション『大津京ステーションプレイス』(全108戸)を“買ってしまった”住民の怒りの告発だ。この物件は、宛ら“欠陥のデパート”。屋上のアスファルト防水が杜撰で、14階の天井から雨漏りし、室内は床一面が水浸し状態で、大量の黴が発生する。設計図には描かれている側溝が無い為、大雨が降ると敷地が水浸しになる。排水管が高圧の電気室内を通っており、万が一漏水した場合はショートする危険がある――等々、数え上げたら限が無い。欠陥満載の施工に対し、発注者側の『大覚』(滋賀県大津市)が改修を求めたところ、南海辰村は逆に工事の残代金15億8145万円の支払いを要求して大覚を提訴。大阪地裁は一部の欠陥こそ認めたものの、「補修費用を除く15億445万円と遅延損害金を支払え」という判決を下し、大覚が控訴して係争中だ。この1件では、業界に蔓延する悪弊も浮上している。南海側の現場所長・K氏が、出入り業者の生コン会社に400万円の架空請求をさせ、約半額を自分の個人口座に入金させた疑惑が濃厚なのだ。「生コン会社の社長が罪を認め、振り込み金受領書を提供してくれたから明るみに出たんです」(『大覚』の山下覚史会長)。南海辰村は、南海電鉄や大阪市営地下鉄等の鉄道工事も幅広く行っている。人命を預かる資格はあるのだろうか?

日本全国に約7000棟を展開する『ライオンズマンション』。不動産大手『大京』(東京都渋谷区)の看板ブランドにも、深刻なトラブルが持ち上がっていた。「地震の揺れが収まってから玄関の外に出ると、渡り廊下の壁がゴッソリ崩れ落ちて1階まで落下していた。大型トラックが突っ込んできたような衝撃でした。人がいたらひとたまりもなかったでしょう。大京の営業マンが豪語していた『巨大地震が来てもタイル1枚剥がれない』は何だったのか。不信感しかありません」(住民)。問題のマンションは、阪神・淡路大震災の2年後に3000万~5000万円台で東京で売り出された13階建ての『ライオンズステーションプラザ西大島』(東京都江東区)。“耐震性”が売りだったが、3.11の東日本大震災で11階の壁がごっそり崩落した。約500kgのコンクリートの塊が30m下の1階まで崩落したのだから、住民が「殺人的」と激怒したのも当然だ。因みに、3.11の揺れで周囲で被害が出たマンションは西大島だけだった。「現場を見て我が目を疑いました。廊下の床と手すり壁を繋ぐ鉄筋が入っていないし、地震の際にA棟とB棟の揺れが共振することを防ぐ為の設備にも重大な不備があった。崩落の可能性があることなど誰でもわかる。犯罪的とも言える欠陥マンションです」(前出・岩山氏)。欠陥を認めた大京は住民に謝罪し、一律70万円の“迷惑料”を支払って耐震工事をやり直した。ただ、この時の対応に対しても住民は激しく憤っている。「改修期間の仮住まいを大京側が手配してくれる筈だったのに、途中から『皆さんで探してきて下さい』に変わった。また、こんなに危険なマンションを売りつけておきながら、慰謝料や資産価値下落の損害賠償も拒否。カネが惜しい思惑ばかりが透けて見えてウンザリでした」(住民)。名の売れたブランドだからといって、安心するのは早計だ。手抜き工事や賄賂等、業界が抱える構造的な悪弊が改められない限り、これからも同様の欠陥マンションは造られ続ける。

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「客と業者の間には、1対99ぐらいの圧倒的な情報格差があります。しかも、住宅の売買や賃貸に纏わるカネ絡みの情報はブラックボックスに隠されている為、客は常に圧倒的な情報弱者の位置に置かれたまま、業者にいいように操られています」。こう語るのは、『不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?』(幻冬舎)の著者で『アルティメット総研』の大友健右社長(43)だ。大手建設や不動産会社の営業マン時代に不動産流通の表と裏を知り尽くし、不動産マッチングサイト運営者に転身した業界の革命児である。大友氏は、「客に見えないところで日々、売買や賃貸に関する悪徳商法が様々な手口で行われている」と言う。その1つが、業界用語で“手”と呼ばれる、仲介手数料をより多くブン取る為の不正――所謂“囲い込み”である。中古物件の不動産仲介業者は、業務内容に依って2種に大別できる。売り主から依頼を受け、売り主が所有する物件の販売を仲介するのが“元付業者”(以下“元付”)で、「こんな条件の物件があれば買いたい」という買い主の依頼を受けて、物件を全国の同業者や不動産流通機構を通して探し出すのが“客付業者”(以下“客付”)だ。中古物件の売買が成立すると、売り主は元付に、買い主は客付に仲介手数料を支払う。手数料は宅建法で“売買価格の3%+6万円+消費税”が上限と規定されているから、例えば5000万円で成約した場合は150万円+6万円+消費税の約168万円が、元付と客付の其々に支払われる。こうした取引形態を、業界では“片手取引”と呼んでいる。元付・客付が手にする仲介手数料は、売り主から、若しくは買い主からの片方だけだからだ。しかし、元付・客付両方の顔を持つ大手不動産会社は、売り主と買い主双方の仲介手数料を懐に入れようとする場合がある。“囲い込み”という禁じ手を使って…。

「よく、家の郵便受けに『あなたの家を売って下さい」『このマンションをお求めの方がいます』等と書かれた大手不動産業者のチラシが入っていますよね? これを見て『ウチも売れるのか』と浮き足立ってしまい、売却の媒介契約を結んだとしましょう。すると元付――つまり、その大手業者は、不動産仲介業者が物件の閲覧に使う“REINS”という情報サイトに貴方の家を登録します。しかし、以後は宣伝活動をせずに放置プレイ。預かった物件を一切他の業者(客付)に紹介せずに、塩漬けにするんです」。前出の大友氏は続ける。「若し、客付から売り主の家に問い合わせがあっても、『その物件は今、商談が入っています』『丁度、ご成約頂いたところです』等と口から出任せの嘘を言って、情報をシャットアウトします。客を元付自らがハネつけているんですから、売り主の家は売れる訳がない。そんな時、その大手業者は売り主に、『この辺りでは少し高めの値段設定になっていますね。ですので、余所の物件にドンドンお客様が流れています。少し価格を下げてみませんか?』等と囁いてきます。そうして価格を下げさせ、その頃になってやっとアリバイ作り程度の宣伝活動をした上で、自社グループの客付と契約する。これが“囲い込み”です。これをやれば、売り主と買い主双方からの仲介手数料(両手)が取れる。しかし、これは歴とした利益相反行為であり、違法行為です」。売り主は、適正な価格での販売の機会を潰される。買い主も本来得るベき情報から疎外され、自由な選択を阻まれた上、仲介業者が儲かるだけの物件を掴まされている。「私の感覚では、大手の住友不動産グループの囲い込み率は90%を超えます。しかも、同グループの元付はリノベーション業者への販売を優先しており、売り主のことなど二の次です。エンドユーザーに売ることでも両手を得られますが、業者に売り、リノベした物件を再度販売することで、両手+両手を得るという負のスパイラルが形成されるのです」(大友氏)

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囲い込み以外にも、アコギなやり方は枚挙に暇が無い。“担ボー”と業界用語で呼ばれるやり方も、その1つだ。「“担ボー”は“担当者ボーナス”の略で、成約を担当した営業マンが直接受け取るカネです。5000万円の物件だったら、仲介手数料と同額の約150万円が相場。売れ難い物件ほど担ボーが高くなるので、営業マンは悪い物件ほど買い主に熱心に勧めることになる。『この物件は狙い目ですよ』と言いながら、単にボーナスが欲しいだけなんです。担ボーは買い主が直接払うカネではありませんが、巡り巡って販売価格に上乗せされている。実は、担ボーの金額は、元付が客付に回す販売図面にはこっそり記されている(左写真)。それほど当たり前のことなんです」(大友氏)。他にも、ブラックボックスの中で横行しているのが、“仲介手数料ゼロ”を売り文句にして客を集める手口。よく見ると、手数料がゼロなのは極一部の売主業者・元付業者に限られている。また、賃貸でお馴染みの“礼金”もブラックボックスの1つだ。入居希望者が「礼金を交渉してほしい」とお願いしても素っ気無く不動産会社が断るのは、最終的には礼金がオーナーからの手数料として自社の儲けに還元されるからだ。「この業界はブラックボックス塗れですが、問題点を声高に主張するだけでは何も変わらない。だから、私は“ウチコミ!”(http://uchicomi.com/)という、入居希望者と賃貸オーナーを直接マッチングするサイト上のプラットフォームを提供しています。実践することでしか革命を起こすことはできない」(大友氏)。客が自衛する為には、“情報”という武器を身に纏うしかないのだ。


キャプチャ  2015年8月25日増刊号掲載


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