政府の“民泊”規制案にアメリカ勢が猛反発――「総スカンを食らっている」と関係者、TPP違反の可能性も

“民泊”等の仲介サイトを対象とする“シェアリング規制”の検討が政府内で進む。これに、アメリカのインターネット業界が猛反発していることがわかった。規制案はTPP条約にも違反しかねない内容で、「外交問題に発展する」という指摘もある。 (井上理)

20160126 01
「世界的にはあり得ない話で、総スカンを食らっている。特に、強大な発言力を持つ“インターネットアソシエーション”が日本の政策に意見書を出すのは、極めて異例なこと」――日米のインターネット業界に精通する関係者は、こう憂う。事の発端は、政府のIT(情報技術)総合戦略本部が先月公表した中間整理案(規制案)。一般人が自宅や別荘を貸す“民泊”の仲介事業者に、貸し手の営業許可確認や宿泊者の本人確認等を義務付ける内容だ。トラブルが生じた場合は、事業者が損害賠償の責任を負うことも検討されている。海外の事業者も規制の対象とし、国内事業所の設置を義務付ける方針だ。来年春までの法案化を目指している。これに異を唱えたのが『インターネットアソシエーション』。海外では、個人の遊休資産や時間を活用するシェアリングエコノミーが急成長しているが、こうした新経済の発展を阻害するものだとして今月11日、日本政府に是正を求める意見書を提出した。インターネットアソシエーションは、『アマゾンドットコム』『グーグル』『フェイスブック』等が加盟するアメリカ最大のインターネット業界団体。本誌が独自に入手した意見書(右写真)に依ると、ポイントは2つある。

1つは、国際的な視点が不可欠なインターネット関連法にも拘らず、日本独自のルールを規定し、それを海外の事業者にも適用する“域外適用”であること。もう1つは、消費者や一般ユーザー同士の取引を仲介するプラットフォーム事業者に対して、各種確認義務や責任を求めていること。未知の違法コンテンツ等があった場合、削除すれば責任を問われない『プロバイダ責任制限法』等と矛盾し、混乱を生じさせるものだとしている。これに呼応するように、グーグルやヤフーが加盟する『アジアインターネット日本連盟(AICJ)』も今月12日に意見書(同写真)を提出。規制案は民泊のみならず、今後は行政の裁量に依って規制対象のサービスを拡大できるようにする方針だが、「民主的なプロセスを経た上で規制対象を検討すべきだ」としている。更に、規制案は新たな火種も孕む。日本が批准を目指す『環太平洋経済連携協定(TPP)』との矛盾だ。TPPに詳しい『西村あさひ法律事務所』の藤井康次郎弁護士は、「規制案で示唆されている海外事業者への参入規制や国内事業所設置義務は、“サービスの越境取引”を制限するもので、TPPにおける市場アクセス等に関する自由化への約束に反するのではないか。今後、国際問題に発展する可能性もある」と懸念を示す。抑々、規制案を検討するIT総合戦略本部は、ITの利活用を推進すべき立場の組織。その存在意義に逆行する政策立案という認識はあるのだろうか。


キャプチャ  2016年1月25日号掲載


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