【インタビュー・明日を語る2016】(15) 政治は僕たちの身近に、若者は無関心ではない――NPO法人『YouthCreate』代表 原田謙介氏

20160130 06
選挙権の年齢が70年ぶりに引き下げられ、今年夏の参院選から18歳以上の未成年者も投票できる見通しとなった。新たに加わる18~19歳の有権者は約240万人。全有権者の2%程に過ぎず、数の上で政治に与える影響も少ないかもしれないが、若者の政治への関心を呼び起こすきっかけにはなる筈だ。他の先進国も、若い世代ほど投票率が低い。若者は結婚・出産・子供の進学・親の介護等を経験して、政治的な課題を学ぶようになる。年齢を重ねれば投票率は上がるだろう。ただ、20歳代の投票率が低落傾向にあることは気がかりだ。自分の活動を通じて感じることだが、日本の若者が投票に行かないのは、「政治は本当に問題を解決できるのか?」との懐疑や、「きっと、若者の意見は後回しにされる」といった諦めがあるからだ。だから、若者に「投票に行け」と押し付けるだけでは投票率は伸びない。「若い人の声がもっと必要だ」と訴え、若者に協力を呼びかけるべきだ。政治家には、政策を若者に知ってもらう為の工夫が求められる。勿論、若者の政治参加への意識を高めることも必要だ。政治参加というと、国会前でプラカード等を持ってデモ行進することだけを想像しがちだが、そうではない。自分が暮らす街の日常的な問題を考えることも、立派な政治参加だ。私が視察したドイツのある町では、選挙権を持たない子供たちが“議会”を作っていた。「交通量の多い学校の校門前に横断歩道を作ってほしい」と行政に提案したところ、実現したという。地域にスポーツ・音楽・ボランティア等を通じてコミュニティーがあり、様々な世代が参加している。子供たちはそこで地域の課題を知り、“政治”に関与する素地を養うのだ。しかし、日本の学校では、選挙制度や民主主義の仕組みは教えるものの、地域の課題を生徒自らに調べさせ、生徒同士で議論させること等は長らくしてこなかった。その結果、子供たちは「日常生活も政治に繋がっている」ということを教わらなかった。世界に例の無い少子高齢化社会を迎え、若者世代の負担は確実に増していく。次世代を担う若年層には、社会の一員として力を発揮してもらうことが不可欠だ。社会のことをきちんと考える人を育てる。18歳選挙権をそのきっかけとしたい。

子供の頃から、特に政治に関心があった訳ではない。「大学進学で東京に出てきたのだから」と、勢いで国会議員の事務所のインターンとなった。選挙の手伝いをした時、候補者が学生や若いサラリーマンと接触する機会が無いことに驚いた。「若者の政治意識を論じる以前の問題だ」と感じた。これが活動の出発点だった。若者と地方議員が酒を飲み、気軽に語り合う交流会『Voters Bar』を開いている。最初は、「議員と話ができる」と呼びかけても反応に乏しかった。でも、同じ地域に住む者同士。「市営バスの運賃は下げられないのか?」等と共通の話題で直ぐに盛り上がることがわかった。2014年の東京都知事選では、ツイッターを使って候補者に若者の質問に回答してもらった。就職面接では選ぶ側が質問するのに、選挙では候補者が一方的に主張を述べるだけ。質問を募ると、「演説で気を付けていることは?」「政治に年齢は関係あると思うか?」等と多く寄せられた。若者が決して無関心な訳ではないことを実感した。教師向けの主権者教育指導資料でも、「首長や議員を授業に招き、生徒に現実の政治への具体的なイメージを育ませる」ことができるようにした。「学校の政治的中立性を損なわないか?」と心配する向きもあるが、複数の会派から議員を招く等すれば問題はない。安全保障法制等をきっかけに、民主主義の在り方も議論されるようになった。若者には、多数決だけが民主主義ではないことを知ってもらいたい。出前授業で赴く中学校や高校では、『家庭で外食する際に、どの店を選ぶか?』を題材に議論してもらっている。意見が分かれた場合、養ってくれる父親の意見を優先するか、それとも幼い弟の希望を叶えるか、将又、高齢の祖父母を尊重するのか――意見は様々だ。その意見集約の過程は、実際の政治の場における合意形成の手段と同じだ。政治とは、多くの意見を取り纏め、共に地域や国を作ること。議論の中で「自分の主張が反映された」との実感が積み重なれば、若者の政治参加の意識も高まる筈だ。 (聞き手/社会部 近藤幹夫)


≡読売新聞 2016年1月13日付掲載≡


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テーマ : 選挙
ジャンル : 政治・経済

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