【タブー全開!政界斬鉄剣】(20) 台湾の“親日政権”誕生は、日本にとってありがたくない!

――1月16日、台湾で総統選挙が行われた。結果は、親日的な『民進党(民主進歩党)』の蔡英文氏が、親中国の『国民党』候補者を退けて圧勝。この結果を受け、日本の政府も新聞報道も歓迎ムード一色だが…。
池田「私も個人的には嬉しい気持ちですが、日本の外交や安全保障の観点から見ると、何一つ有難くない事態です」

――どういうこと?
池田「今後、台湾の独立機運が急激に高まれば、東シナ海の情勢は一気に緊迫する。その流れの中、日本の要人が台湾を後押しするような発言をすると、一触即発の緊張状態に巻き込まれる危険性が高まるのです」

――でも、「台湾経済は中国への依存度が高いので、中国とやり合うシナリオは現実的じゃない」との分析が一般的だけど?
池田「それは、何もわかっていない政治家・新聞記者・評論家の戯言でしかありません。例えば、経済が完全にアメリカ依存のカナダだって独立を維持していますよね? 政治と経済は密接な関係ですが、絶対に連動する訳ではない」

――じゃあ、日本は余計な口出しをしなければいいの?
池田「そうなんですが、既に外務省の岸田大臣が間違ったメッセージを発信してしまいました」

――台湾総統選挙の結果を受けて発表した岸田大臣の公式コメントは、以下のとおりだ。「【前略】選挙が円滑に実施されたことは、台湾で民主主義が深く根付いていることを示すものとして評価する。台湾は日本にとって基本的な価値観を共有し…【後略】」。無難なコメントに見えるが、問題だらけのようだ。
池田「先ず、『選挙が民主主義の根付きを示すもの』という部分。これ、中国側が聞いたらどう思うか? 裏を返せば、『選挙を行わず、民主主義が根付いていない中国を評価しない』と、日本の外務大臣が公式に非難してきたと捉えられてしまうんです」

――なるほど!
池田「更に、『台湾と日本は基本的な価値観を共有している』という部分も拙い。基本的な価値観とは、自由と民主主義人権に対する考え方のことです。つまり、自由も人権も制限された全体主義の中国を暗に批判していると解釈されてしまう」

――岸田発言は、台湾側に対しても間違ったメッセージとなってしまう恐れがあるの?
池田「台湾のマスコミは、常に日本の動向を報道している。岸田発言は、台湾世論を『日本が応援してくれそうだから、中国にもっと強気に出るべし!』という空気にさせかねない。世論は政治決断に大きな影響を与えますから、深刻な問題ですよ」




――岸田発言は、飽く迄も個人的な見解だとは理解されないの?
池田「公式コメントなので、それはあり得ない。外務省が下書きした原稿を、内閣、つまり安倍首相も菅官房長官も確認した上で、外務大臣が発表する。従って、岸田さんの発言は日本政府の公式見解となります。日本の不用意なコメントが、台湾の独立機運に火を付け、中国との緊張状態を促すかもしれない。そうなったら、日本はどう立ち回るのか? 残念ながら、台湾の人たちが期待するような行動はできないでしょう。今の日本に、中国と戦う実力も無ければ気概もありません」

――そうなの!?
池田「北朝鮮の拉致問題を見て下さい。自国民を100人以上も拉致されたら、普通は戦争ですよ。国家の使命は国民の生命と財産を守ることなのに、日本政府は拉致の存在にさえ長年気付かず、拉致が表面化した後も責任回避の為に認めず、渋々認めた後も救出できない始末。北朝鮮相手でもこの有り様なのに、今の中国に真っ向から立ち向かえる訳がない」

――東日本大震災の時、最も支援してくれたのは台湾だった。それなのに公式な味方をしてあげられないなんて、外交と安全保障のリアルは残酷だね…。


池田和隆(いけだ・かずたか) 元農林水産大臣秘書官。1967年、熊本県生まれ。“農水族議員のドン”と呼ばれた松岡利勝農林水産大臣(故人)の秘書を16年間務め、国家権力や利権・国の意思決定の実態を内側から目撃してきた重要人物。


キャプチャ  2016年2月8日号掲載


スポンサーサイト

テーマ : 台湾
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR