激論!模擬国連、高校生が“大使”に――英語で交渉、国際感覚磨く

生徒が世界各国の国連大使になりきり、国際問題などについて討論する『模擬国連』が注目を集めている。全日本高校模擬国連大会へ参加する高校は年々増加。立場の異なる様々な国の“大使”と英語を交えて交渉する機会を通じて、生徒らは語学力や国際感覚を磨く。

11月15・16日、今年で8回目となる全日本高校模擬国連大会が国連大学(東京・渋谷)で開かれた。今回のテーマは食糧問題。各国の大使役を務める高校生同士が交渉する“自由討議”の時間になると、議場は一気に白熱した。「穀物を使うバイオ燃料は食料価格の高騰を招く。廃止してほしい」と先進国の説得を試みるのは、リビアの大使役。「農業技術の向上のためにアフリカに投資しよう」とヨーロッパ各国に熱っぽく呼びかけたのは、ドイツの大使役だ。大会は協賛企業や大学生のボランティアで組織する団体が主催し、2007年に始まった。同じ高校の生徒が2人1組で申し込む。応募校は第1回の28校から増え続け、今回は133校と過去最多になった。書類選考を通過した67校の82チームが2グループに分かれ、41ヵ国・地域が参加した国際会議を模した。参加校には大使役を務める国が開催前に伝えられるため、生徒たちは皆、本番に備えて準備を進めた。




今回初めて参加したという東京都立三鷹中等教育学校が割り振られたのは中国。出場した中等5年生の寺尾昌人君(16)と速水陸君(17)は約2ヵ月前から、放課後に自宅に集まり、中国の食料政策に関する書籍を読み込んだり、インターネットを使って情報収集したりした。寺尾君は「人口が多いだけに政策や課題が複雑。自分たちでは読めない中国語のサイトに行き着くことも多く、一筋縄ではいかなかった」と振り返る。2人が用意した資料はA4サイズの用紙で数百枚に上った。会議は実際の国際会議に沿った形で進む。生徒たちは、英語でのスピーチや日本語の自由討議で課題や政策を話し合い、最終的に数件の“宣言”を取りまとめる。各国と交渉しながら、宣言の内容に自国の主張がどれだけ反映させたかといった点が評価のポイントになる。

イタリア大使役を務めた桐蔭学園中等教育学校(横浜市)中等科5年の岡野源君(17)は「交渉相手の意見を最後まで聞き、お互いの主張と相違点を理解し合うことを心がけた」と話す。途上国での灌漑設備の整備や、栄養が豊富な食物の開発など36項目の政策を進めることで計21ヵ国が合意し、宣言に盛り込まれた結果、最優秀賞(2校)に選ばれた。同校には2007年から週2回活動する模擬国連部があり、過去の国連決議を題材に対立軸や妥協点のあり方を調べたり、英語で議論したりしている。顧問の橋本雄介教諭(38)は「物事を順序立てて考える論理的思考力だけでなく、意見を主張したり聞いたりする過程で、コミュニケーション能力も身につくようだ」と話す。聖心女子学院高等科(東京都港区)在籍時に出場した慶応大2年の光本愛理さん(19)は「模擬国連を通じて海外の問題についての見識が深まり、語学力も上達した。他校の生徒と交流できたのも貴重な経験だった」と話す。将来は「国際社会に貢献できる仕事」が夢だ。高城光枝教諭(54)は「模擬国連に参加した生徒は自ら学ぶ姿勢が積極的になるだけでなく、視野の広がりも感じる」という。同校は今回、優秀賞4校のうちの1校に選ばれた。

最優秀と優秀各賞の6校は、来年5月ごろ、ニューヨークの国連本部で開かれる模擬国連国際大会に派遣される。今年5月の同大会では、渋谷教育学園幕張高校(千葉市)が日本として初めての最優秀賞を受賞した。来年も本当の国連を舞台にした生徒らの活躍に期待が集まりそうだ。

■減る留学生、続く内向き…文科省など支援策
高校生全体をみると、海外への留学者数が減少するなど“内向き”志向が続いており、文部科学省や自治体が留学に向けた支援策を打ち出している。同省によると、留学期間が3ヵ月未満の留学生は、2004年度に3万4885人だったが、2011年度には2万9953人と約15%減少した。同年度の調査では高校生の58%が「将来留学したいと思わない」と回答。理由として「言葉の壁」(56%)、「経済的に厳しい」(38%)などを挙げた。同省は「高校時代から国際経験を積んでほしい」との狙いから、高校生の留学者数を2020年までに6万人に倍増させる目標を設定。企業の寄付を財源に新設した奨学金制度『トビタテ!留学JAPAN』では、来年1月以降に募集する2期生から、従来、大学生のみだった支援対象を高校生にまで広げた。各自治体も高校生を海外に送り出す取り組みを始めており、佐賀県は今年度、海外留学する中学・高校生に50万円を助成する制度を導入した。


キャプチャ  2014年12月12日付夕刊掲載


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