【私のルールブック】(39) “清原逮捕”に受けたショック

元プロ野球選手の清原和博氏が、覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されました。驚いた方もいれば、「やっぱりな」と思われた方もいたんじゃないでしょうか。私ね、同じ歳なんですよ。しかも、子供の頃に真剣にプロ野球選手を目指して白球を追い駆けていた時期があり、道半ばで断念して芸能界に進むことを決意した経緯から、彼には特別な想いがあると言いますか、私の中では本物のスターな訳です。それが、どこで歯車が狂ってしまったのか、道を誤ってしまったのか、残念という言葉では片付けられないぐらいショックでした。私が彼と初めて顔を合わせたのは、去年の夏頃に『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)という番組に彼がゲスト出演した時でした。既に疑惑の渦中の人でしたから、期待と不安が入り混じる中、言葉を交わしたのです。

第一印象は…「かなり緊張しているな」でした。そりゃあ、ダウンタウンさんが相手ですからね。しかも、とことん本音で語り合う趣旨の番組ですから尚更です。でも、彼は緊張しながらも答え辛い質問にも真摯に応じてくれ、覚醒剤に関してもキッパリと「やっていません」と否定したのです。まあ、その言葉を鵜呑みにしたかどうかは扨て置き、疑惑がある中での勇気ある出演であり、受け答えでしたから、心情的に「信じてあげたい」と思ったのは私だけではなかった筈です。でも、結果的には…残念ながら本音ではなかったということなんでしよう。今回の件で私が強く感じたのは、“特別な人”でした。彼は間違いなくスーパースターです。ということは、限られた特別な人な訳です。私は彼の足元にも及びませんが、恐らく俳優やタレント業もある意味、特別な、特殊な仕事なのかもしれません。若い頃は、「俺は特別なんだ!」と調子に乗っていた時期もありました。ですが年齢を重ね、先輩たちの姿を見ていくうちに考えが変わっていったんです。偶々、ちょっとだけ特別臭のする仕事に就かせて頂いているだけで、私自身が特別な訳ではない…と。いや、考えが変わったというよりも、そう思わないといつか道を踏み外すんじゃないかと、怖かったんだと思います。どこかで歯止めを利かせなければ、ズルズルと間違った方向に進んで行きそうで…。気が付いた時には後戻りできなくなりそうで…。




結局のところ、実際の私は特別でも何でもなかったから、気付くことが、踏み止まることができたのかもしれません。一方、清原和博は誰もが認める国民的スーパースター。彼に唯一の不幸があったとするならば、“本当に特別な人”になってしまったから、特別から逃れることができなかったのかも…。“特別だった俺”と、過去形で冷静に自分を見つめ直す眼を持てなかったのかも…。特別な記録と記憶を残してしまったからこそ、「特別な自分で居続けなければならない」と思い込んでしまったのかも…。でもね、だからといって薬物に溺れる行為は、同情の余地の無い愚行であることに変わりはないんです。特別な人にしか知り得ない苦しみがあったのかもしれませんが、それ以上に、特別な人しか手にすることのできないものと瞬間を味わった訳ですから。厳しいようですが、彼の為にも安易に同情などしたくない…。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年2月18日号掲載
ババアゾーン(他) [ 根岸季衣/矢部太郎/他 ]

ババアゾーン(他) [ 根岸季衣/矢部太郎/他 ]
価格:3,694円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR