【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(51) アメリカ政治に巣食う“パラノイア”の終着点はクリスチャンテロ?

アメリカ政治の根底には、ある種の“パラノイア”が存在しています。パラノイアとは、「他者が自分を攻撃してくる」といった不安や恐怖を伴う妄想を抱き続ける精神病のこと。共和党大統領候補のドナルド・トランプやテッド・クルーズ(トランプの陰に隠れていますが、彼の主張も相当に無茶苦茶です)らの極端な排外主義や差別的発言がそれなりに支持を得てしまうのは、まさにアメリカ社会にパラノイアが巣食っていることの証でしょう。嘗て、政治学者のリチャード・ホフスタッターは、「アメリカ政治にはずっと、『外敵に侵略される』というパラノイアが息衝いている」と指摘しました。その源流は建国期にまで遡り、18世紀後半の独立戦争直後には、「バイエルン王国(現在のドイツ連邦バイエルン州)からやって来た秘密結社“イルミナティ”がアメリカ政府を乗っ取ろうとしている」という陰謀論が政治の場で語られています。

尚、この話の“元ネタ”は、1789年のフランス革命時に反革命派が流したネガティブキャンペーン。それが伝言ゲーム的にドーバー海峡を越えてイギリスに渡り、更に大西洋経由でアメリカに来た頃には、雪だるま式に“大きな話”になっていた。政治が未だ不安定な革命直後のアメリカで、このネタが政争の具として使われてしまったのです。こうしたパラノイアはその後、同じパターンで“ネタ”だけを変えて次々と、しかも繰り返し流行します。フリーメイソンやユダヤ金融資本辺りは、誰でも一度は聞いたことがあるでしょうし、過去には飢饉が起きたアイルランドからアメリカへ大量の移民(カトリック教徒)が渡ってきた際、「バチカンがプロテスタントの国であるアメリカを植民地にする為の工作だ」なんていう話も実しやかに語られました(トランプの「ムスリムがアメリカを大混乱させる」も同パターンです)。また、パラノイアの“侵食”は大衆のみならず、エリート層にも及びます。例えば1950年代には、「ソビエト連邦のスパイがアメリカで暗躍している」という疑心暗鬼(これは全部嘘ではなく、一部は事実であったことがミソでしょう)が、エリート層による“赤狩り”を暴走させました。




逆から見れば、時の権力者たちは大衆の恐怖心・勘繰り・憎しみを巧みに煽り、投票を促してきたとも言えます。とりわけ共和党は、「敵が味方か」の二元論的な世界観を持つ“キリスト教右派”や、白人優位主義の“極右派”(ラディカルライト、或いはライトウィングフリンジ)を取り込んでいる。彼らにとっては、黒人もムスリムもユダヤも全てが潜在的な“外敵”。だから、“我々のアメリカ”を守る為に市民の武装権(=銃保有)が重要な訳です。気になるのは、大統領選後のアメリカ社会の混乱です。トランプやクルーズらがパラノイアを焚き付けて支持を得たことで、『KKK』やネオナチ系の“極右派”は「俺たちの時代が来る」と盛り上がっています。若し、11月の大統領選で民主党が勝ったら(というか、その可能性が高いと思いますが)…。「ヒラリー・クリントンは敵のエージェントだ」等と妄言を吐くだけならいいですが、絶望と怒りに包まれた彼らが“クリスチャンテロ”を起こさないことを祈るばかりです。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)・『チャージ730!』(テレビ東京系・不定期)等に出演中。


キャプチャ  2016年2月29日号掲載
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