池田名誉会長が唱えた“八王子聖地構想”に見え隠れする“学会養成機関”という思惑――『創価大学』設立は、創価学会が日本社会を支配する天下取りの為だったのか?

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“最後の砦”――。51年前の1964年、『公明党』結党の年と重なるが、池田大作会長(当時)が『創価大学』の設立構想を発表した。土地の買収・各部教授のハンティング・学生の募集等、7年の準備期間を経て、1971年4月、東京都八王子市に創価大学(87万㎡)を開学する。同大学の建学精神は、当然、創立者の池田会長が提示した「人間教育の最高学府たれ、新しき大文化建設の揺籃たれ、人類の平和を守るフォートレスたれ」である。わけてもフォートレス――“最後の砦”は、「最後まで創価学会を死守する」という願いも込められたものだ。現在、20を超える大学が集まる“学園都市”八王子を、創価学会は自らの“総本山”に匹敵する“一大聖地”にしたかったようで、1983年11月、創価大学に隣接して『東京富士美術館』を開設。1993年3月には、同じく創価大学に隣接して同会の初代会長・牧口常三郎名を冠にした豪華な『東京牧口記念会館』も建設した。余談になるが、同会館が建設された同年暮れ、未遂に終わっているが、『オウム真理教』が会館を狙ってサリン噴霧の計画を立てた。池田大作名誉会長の行動予定を事前に把握し、“ポア”計画を図ったものである。以来、今日に続く同氏の近辺警護を、より一層厳しくするきっかけにもなった。大学・美術館・巨大な会館…。創価学会の関連施設が相次ぎ建設される八王子の聖地について、池田大作名誉会長は『人間世紀の光』と題して、次のような随筆を残している。

人間主義の都 八王子
…わが八王子は、21世紀の偉大なる“大本陣”である。…この大地から、大いなる“教育”と“文化”と“平和”の波動を、全日本へ、全世界へ、千波、万波と広げ、開いてゆくのが八王子の使命だ!…私が八王子を死守する! 師弟に背く輩は、そして、会員を尊敬できぬ輩は、断固として排除すべきだ。ここに八王子の伝統がある。尊き同志と戦える偉大な伝統がある。…

『聖教新聞』2004年5月20日付

何故、こうも気負い立った随筆になっているのか。1970年代末に創価学会は、蜜月の関係にあった『日蓮正宗』と教義解釈等を巡る対立(第1次宗門vs学会紛争)が激化。組織を混乱させた責任を取り、池田大作会長は会長職を辞任。その会長辞任を表明する総会が1979年5月3日、創価大学の中央体育館で開催されたのである。

…それは実質的に、私の会長辞任の総会であった。腹黒い謀略を抱いた坊主と退転者たちに牛耳られた、笑顔も希望もない会合であった。そこには怒りの言葉があった。苦痛の言葉があった。…

同紙

会長を辞任する記者会見で、池田会長は「隠居して、後継者を見守りたい」等、随分と反省を込めた発言を残している。だが実際は、この随筆にあるように「宗門によって会長を辞任させられた」という怒りが本音だったのだろう。

扨て、創価大学である。開学した1971年4月、学部は経済学部(昨年5月現在、学生数は1146人)・法学部(同、1270人)・文学部(同、1863人)の3学部だけであった(同大学のホームページより、以下同じ)。以後、年代を追って、経営学部(同、1097人)・教育学部(同、869人)・工学部(同、699人)・理工学部(同、211人)、2013年4月には看護学部(同、256人)、2014年には国際教養学部(同、171人)と学部を新設し、昨年4月に工学部を理工学部と名称変更している。大学院生を含む学生総数は7973人(同)を数える8学部の総合大学になり、1985年4月に『創価女子短期大学』を開設。更に、1987年には『創価大学ロサンゼルス分校』(現在の『アメリカ創価大学』)とアメリカにも進出した。大学を開校するに当たって、創価大学のOBがこんなエピソードを語る。「大学塔の8階には、大学の創立者である池田大作会長の専用室がありました。でも、普段はエレベーターは7階止まり。しかし、池田会長が来る日だけ、エレベーターは8階にまで行くように操作されておりました」。創価大学らしいエピソードをもう1つ。1970年代、東京大学・日本大学等を始め、大学紛争が吹き荒れ、全国の主要な大学キャンパスは、学生デモや大学を批判する立て看板や無数の旗が乱立した。ところが当時、創価大学のキャンパスには、こうした旗がただの1本も見当たらなかった。静かな学園風景が広がっていたのだ。寧ろ、日大等で学費値下げの闘争が紛糾している時、逆に“学費値上げ”が決定する。当時、学生の先頭に立っていた3期生(法学部)の創価大学学生自治会中央執行委員長が、昨年11月まで創価学会の理事長職という組織のナンバー2を務めていた正木正明氏(現在は参議会副議長)である。先の大学OB氏が、こう補足する。「創価大学の学費が安いから、『池田(大作)先生、学費を値上げして下さい』と学生たちがお願いしたのです」。学生たちが学費の値上げ(現在の初年度学費は約110万円=文系)を懇願する等、実に平穏な大学である。




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創価大学に勤め、軈て去っていった何人かの教授にインタビューをしたことがある。その1人がこう回想していた。「今はどうかわかりませんが、創立当初、『ここは大学か?』と思うことがありましたね。池田大作会長が大学に来ると、授業中でも教室から学生が外に飛び出していく。選挙になると、公明党支援活動の為に教室はガラガラ。朝夕は、学生の寮からお経(題目)を唱える大きな声が外に漏れてきておりました」。全学生のうち、創価学会員若しくは会員が家族という割合が凡そ8割~9割と推定されている。では、肝心の偏差値はどうだろうか。『河合塾』等のデータを参考にすると、偏差値は40台前半から50台前半で、“日東駒専”と粗同クラス。だが、特筆すべきは難関と言われる国家試験の合格者が、中堅大学の私立大学に比較してかなり多いということだ。昨年度までの実績(開校からの累計)は、司法試験が284人、公認会計士が214人、国家公務員総合職(上級職)が45人、外務省專門職員が53人、地方公務員が1500人。特に教員採用試験は、毎年、200人を超える合格者が14年間も続き、延べ6700人を数えている(『聖教新聞』昨年11月10日付)。このように、同大学は国家試験の合格に力を入れており、司法試験を目指す学生の支援は、『国研(国家試験研究室)』や法科大学院の『法律教育センター』がサポートしている。その源流は、大学に設けられていた“法学委員会”で、初代委員長が学生部幹部や学会幹部を歴任し、その後、創価学会初の顧問弁護士に就任した故・山崎正友氏であった。同氏を頭にして、創価学会の会員である現職の弁護士や検事が委員を務め、司法試験の合格を目指す学生たちを特訓したのである。同法学委員会の内部機密文書を入手したことがあったが、2000年度まで弁護士○○人・検事○○人・裁判官○○人と目標を立てていた。池田大作氏が夢に描いていた“天下取り構想”の一助にしたかったのだろう。また、創価大学出身の現役国会議員は18人(全員が公明党)を数え、公明党国会議員の半数以上が創価大学出身者だ。これは、東京・慶應義塾・早稲田・日本・中央・京都大学に続く第7位。創価学会本部の職員もまた多いことから、同大学は学会本部の養成機関という声も高い。

ところで、前述した池田大作名誉会長の随筆に、こんな文言も出て来る。

…今までは、八王子からは、裏切り者、不知恩の者は出なかった。戸田(城聖・2代会長)先生は、「不知恩の者は畜生である。絶対に許すな! 臆病者、卑劣な者、裏切り者は去っていけ!」と叫ばれた。この遺言通りの八王子の伝統を、私は一段と厳守していく決心である。戦う1人を徹して守れ!…

「裏切り者・不知恩は出なかった」と断言していた。ところが昨年9月、『安全保障関連法に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者 有志の会』と名乗るグループが、インターネット上で賛同署名を集める運動を展開。忽ち国内外に拡散したのである。周知の通り、同法案に自民党と連立政権を組む公明党(創価学会)は賛成しており、こうした反対運動は“裏切り者”に他ならない。因みに、どのような“声明文”であったか。

大学正門に掲げられた“創價大學”の文字は、教育と人権の勝利を信じつつ対話を貫き通し、軍部権力の弾圧により獄死した“創価教育の父”牧口常三郎先生の筆によるものです。いかなる圧迫にも屈せず、民衆のために声をあげること。これこそが創価教育の魂だと私たちは信じます。

更に“声明文”は、

現在、9割の憲法学者が“違憲”と判断している安全保障関連法案が、安倍政権により採決されようとしています。私たちはガンジー、キングの人権闘争の流れに連なる創立者・池田大作先生の人間主義思想を社会に実現すべく学び続けてきました。そこで培った人権意識を持つ者なら、声を上げるべき時は、今です。

と宣言し、賛同署名を集める運動を開始したのだ。

面白かったのは、創価学会が運営する『戸田記念国際平和研究所』の元総合所長で、現在はニュージーランドのオタゴ大学国立平和紛争研究所所長兼教授のケビン・クレメンツ氏からも、賛同のメッセージが届いたことである。同氏は世界的に知られる平和研究の第一人者で、戸田記念国際平和研究所の所長を務め、1996年7月には池田大作名誉会長と対談。2013年10月から学会系列の月刊誌『潮』で、双方の対談『平和の世紀へ 民衆の挑戦』をスタートさせた。そのクレメンツ氏があろうことか、次のようなメッセージを届けたのである。

現在審議中の安保法案は日本の、そしてSGI(創価学会インタナショナル)の平和主義の主張を覆すものです。SGIと創価大学の平和促進の立場をこれまで支持してきた者として、すべてのリーダーとメンバーに強く申しあげます。…現在のリーダーたちにその原点に戻ることを呼びかける皆さんすべてを支持します…私になにかお手伝いできることがありましたら、どうぞご遠慮なく私が何をすればよいか仰って下さい。…

同メッセージに再三登場してくる“リーダー”とは勿論、池田大作名誉会長のことであろう。しかし同氏は、公明党が推進した安全保障関連法案の成立について、ただの一言も無い。沈黙したままである。せめて“平和論”をテーマに対談したクレメンツ氏に、公明党が何故同法案に賛成したのか、説明をしたのだろうか? 沈黙と言えばもう1点。昨年9月5日に創価大学で開催された『日本宗教学会74回学術大会』の席上、創価大学の文学部教授で創価学会教学部顧問の宮田幸一氏が、実に興味深い講演を行っている。前号に紹介したが、敢えて再録しよう。

…過去において創価学会は、「学会の信心だけで功徳がある。他の日蓮宗には無いよ」と言ってきましたが、そんなことを言っても「じゃあ、日蓮宗の信仰をしている人は皆が不幸になるのか?」というと、これはそう中々言い切れないですね。…それを信仰している人たちが「功徳がある」と言えば「ある」だろうし、「無い」と言えば多分「無い」だろう。…それで「功徳が無いよ」「罰が当たるよ」と言うことは、もう言ったりできないということです。

“現世利益”を説く新宗教の門外漢には、実に理解できる学説ではある。他方、“罰・功徳論”で入会した創価学会員にとっては、極めて複雑な心境だろう。昨年秋、同会は教団根本の“本尊”を改正した。だが、同会の“永遠の師匠”で、創価大学の創立者・池田大作名誉会長は、この本尊の改正問題についても未だ一言も触れていない。


段勲(だん・いさお) フリージャーナリスト。1947年、宮城県生まれ。東洋大学文学部卒。『週刊ポスト』記者を経てフリーに。宗教・社会問題・人物・健康等について幅広く執筆。著書に『千昌夫の教訓』(小学館文庫)・『創価学会インタナショナルの実像 池田会長が顕彰を求める理由』『反人間革命 創価学会へ入信した男の一生』(共にリム出版新社)・『定ときみ江 “差別の病”を生きる』(九天社)等。


キャプチャ  2016年1月号掲載
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