【政治の現場・参院選の焦点】(01) 合区候補、「隣県では新人」

今年夏の参院選は、過半数確保を目指す与党と、“安倍1強”に待ったをかけたい野党との一大決戦となる。参院選にかける各党・候補者・団体の動きを追う。

20160226 09
「鳥取県選出の国会議員に、私も加えてもらいたい」。今月7日午前、朝方までの雪で白く染まった鳥取県米子市の街頭に、自民党参議院議員・青木一彦(54)の声が響いた。島根県選挙区の現職である青木は、合区に依り新設される“鳥取・島根”選挙区から出馬する。この日は、同党鳥取県連に依る街頭演説会に駆け付けた。青木は、“参議院のドン”と呼ばれた元官房長官・青木幹雄の長男だ。父から強固な地盤を受け継ぎ、初陣の2010年選挙では圧勝したが、今回は勝手が違う。会場に到着した青木は、演説までの待ち時間を惜しむように聴衆に名刺を配り、握手を繰り返した。鳥取と島根は隣県とは言え、東西の長さは東京-名古屋に匹敵する約260km。距離だけではない。鳥取県連が擁立を決めながら、今回は選挙区の無い竹内功(64)が「明治政府は嘗て両県を合併したが、その間に鳥取は寂れていった」と語るように、両県民には今も蟠りが残る。同様に合区となる“徳島・高知”も事情は同じで、「多くの人が(合区に)合理性を感じていないのでは。近畿に目が向く徳島と、一気に東京に向く高知。県民性も異なる」(徳島県知事の飯泉嘉門)等の声が出ている。“青木ブランド”が通用しない鳥取で名前を売り込む為、青木は年明け以降、地元活動の約8割を鳥取県内に割いて、街頭演説や集会へと走り回った。青木は「自分は鳥取では新人。兎に角、顔を覚えてもらわないと」と焦りを募らせるが、今度は地元の島根から「どうして集会に顔を見せないのか?」との不満の声が上がり始めた。合区での新たな戦いは手探りが続いている。

2013年参院選での自民党は、改選定数121の下で最多となる65議席を獲得した。今回も同様に大勝すれば、1989年以来となる参議院での単独過半数に達する。安倍首相が悲願とする憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席も見えてくる。2~6人区では主要政党が議席を分け合うケースが多いだけに、鍵は鳥取・島根を含め、史上最多の32に増えた1人区が握る。2013年は自民が1人区で29勝(2敗)と圧勝したが、野党候補の乱立に助けられた面もあった。今回は、複数の1人区で野党が候補統一の動きを見せる。鳥取・島根では、無所属で出馬する元消費者庁長官の福島浩彦(59)を民主・社民両党が推薦。新人の遠藤秀和(38)の擁立を決めた日本共産党は、取り下げを検討している。経済面でも成長率や株価に陰りが見え、首相の経済政策“アベノミクス”への風当たりは強まっている。福島は今月6日、松江市で開かれた民主党島根県連大会で、「株価を中心に回る経済ではなく、地域の生活を向上させる経済を作らないといけない」等とアベノミクスを批判した。1人区での不安要素が重なる毎に、自民党内では参院選と次期衆院選を同時に行う同日選(ダブル選)を予測する声が強まる。衆院選との相乗効果が見込める上に、衆院選では野党各党も議席を争う為、1人区で野党を分断できる為だ。自民党鳥取県連が今月7日に開いた幹部会合でも、幹事長の安田優子が「ダブル選の可能性も視野に入れるべきだ」と対応を求めた。首相は“ダブル”に踏み切るのか――。夏に向けて走り出した地方に、期待と不安が交錯している。 《敬称略》


≡読売新聞 2016年2月21日付掲載≡
初恋ダブルエッジ(1) [ 小田原みづえ ]

初恋ダブルエッジ(1) [ 小田原みづえ ]
価格:648円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : 選挙
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR