【丸分かり・激震中国】(02) 香港ドル、8年半ぶり安値…ドルペッグは限界近い

20160228 13
香港ドルが試練に立たされている。中国人民元急落の煽りを受けて、香港ドルも急落。先月20日までの5営業日の対ドル相場の下落幅は0.7%強に達した。一見すると小さな数字だが、実質的な“ドルペッグ制”(香港ドルの対ドル相場を7.75~7.85ドルに制限)を取る香港ドルにとっては、1983年にペッグ制移行後最大という歴史的な急落だ。同月20日には1ドル=7.82香港ドルと、2007年8月以来の安値をつけた。香港ドル急落の背景には、人民元安とドルペッグ制の見直し論の浮上がある。中央銀行に相当する『香港金融管理局(HKMA)』は「そうした意向はない」と火消しに躍起だが、市場は疑心暗鬼になっている。香港はドルペッグ制を維持する限り、アメリカに連動した金融政策を取らざるを得ない。『アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)』が昨年12月17日、約10年ぶりの利上げに踏み切ると、HKMAは間髪入れず、政策金利を0.25ポイント引き上げた。FRBが今年も利上げを続ければ、HKMAも追随利上げを迫られる。一方、香港の実体経済は中国との一体性が強い。中国本土向け輸出の割合は5割を超える。この為、足元では中国経済減速の直撃を受けており、輸出・輸入、国内での生産や小売り等、経済指標は押し並べて前年比マイナスで推移している。このように香港は、経済は中国、金融はアメリカに連動するという矛盾を抱える為、現状のドルペッグ制の持続は難しいと考えるのが自然だ。

中国が緩やかな人民元安を容認し、人民元の先安観が強まれば、香港は中国からの資本逃避の一時的な受け皿となり、香港ドルに上昇圧力がかかり易くなる。その状況でドルペッグ制を維持することは、対人民元で香港ドル高となってデフレ不況を齎し、香港経済にとって重大な危機に繋がりかねない。一方で、ドルペッグを見直すことにもリスクがある。人民元の自由化は未だ道半ばであり、人民元へのペッグは非現実的である。より可能性が高いのは、対ドルでの基準値を引き下げた上でドルペッグ制を維持するシナリオだろう。しかし、その際にも、基準値の水準次第では更なる切り下げ懸念から、香港からの資本逃避が進みかねない。香港にとっては、“前門の虎(通貨高)、後門の狼(通貨安)”とも言える状況だ。国際的な金融センターでもある香港は、中国も含めたアジア向け投資の拠点となっている。これまでは事実上の固定相場制の下で、国際金融資本が香港に流入し、その一部が中国の高成長に魅せられて激しく動く“ホットマネー”として、中国に向かっていた。これが逆流することになれば、国際的な影響は大きい。他の例を見れば、昨年1月には、対ユーロの為替相場に上限を設けていた『スイス中央銀行』が、無制限の介入を放棄して“スイスフランショック”が起きた。古くは、『イングランド銀行』がポンド防衛に失敗した1992年の“ポンド危機”もある。経済合理性に次ける人為的な相場防衛に限界があることを示す例は、枚挙に暇が無いことを忘れてはいけない。 (みずほ総合研究所市場調査部長 長谷川克之)




20160228 14
■2016年中国株予測①…年間通して上昇トレンド  『TSチャイナリサーチ』代表・田代尚機氏
年初から大きく下落した上海総合指数だが、昨年の最安値(2927ポイント)付近で下げ止まるだろう。企業の業績不安から、中間決算発表前後の夏場には調整があるかもしれないが、年間を通して上昇トレンドが出ると予想する。中国共産党が徹底して構造改革を進める方針を示しており、今年の実質経済成長率は6.5%程度まで鈍化するだろう。企業業績については、昨年は全体で微増益、今年は微減益と予想。戦略的新興産業の育成・発展は国家戦略の1つの柱であり、新規株式公開は欠かせない。当局は、株価の安定的上昇を政策目標とするだろう。需給面では景気に配慮し、金融緩和が続くと見られる。但し、昨年夏の相場安定化策に依り、上場企業の大株主らに購入された株式の売却が懸念される。4000ポイントの壁は厚い。

20160228 15
■2016年中国株予測②…不安と落ち着きを繰り返す  『楽天証券』経済研究所シニアマーケットアナリスト・土信田雅之氏
中国経済に対する国内外の警戒は根強く、今年の上海総合指数は年間を通して3000ポイントの水準が節目として強く意識され、“不安と落ち着き”を繰り返す展開が見込まれる。来月に開かれる『全国人民代表大会』(日本の国会に相当)後に金融緩和策が実施され、一時的に上昇した後は再び不安が高まって下落。7月に底を打った後、緩やかに上昇していくと予想する。相場の浮沈は中国当局の対応次第。その当局は、生産過剰の改善や金融システムの安定化等、中国が抱える課題に積極的に取り組む姿勢を示しているが、いざ実行に移すとなるとハードルが高い。また、昨夏以降の金融市場に対する付け焼き刃的な対応の拙さも意識されている。改革の進展が遅々として進まなければ相場暴落が再燃しかねず、火種が燻る中での推移となりそうだ。

20160228 16
■2016年人民元予測①…相場は年央まで元安に  『SMBC日興証券』シニアエコノミスト・平山広太氏
年前半は弱含みで推移するものの、年後半には若干の元高が予想される。当面は軟調な世界経済を背景に輸出が伸び悩む一方、中国国内では不動産投資や公共投資が盛り上がりを欠く状態にある為、元安となるだろう。しかし、基調としてはアメリカ経済が安定し、新興国景気も緩やかに復調すると想定される為、輸出は回復に向かい、経常収支は好転する公算が大きい。また、中国政府は産業や金融等の構造調整を加速しつつも、景気悪化を食い止める刺激策を打ち出すと予想される。年央にかけて中国経済の底堅さが確認されれば、投機的な元売りや資金流出は鎮静化し、元相場は安定に向かうと見込まれる。尚、中国当局は引き続き為替介入を実施するものの、市場で形成されるトレンドを覆すような誘導はしないと見ている。

20160228 17
■2016年人民元予測②…2010年の水準に戻る  『岡三証券』グローバル金融調査部・嶋野徹氏
対ドル・人民元相場は軟調な動きとなろう。昨年8月以降の人民元安をきっかけとした世界的な金融市場の混乱は、中国当局の想定を超える動きだったと推測される。ただ、中国は経常黒字国であり、外貨準備高も減少したとは言え3兆ドルを上回っており、為替介入を実施する力は依然強いと言える。一方で、人民元国際化の流れの中で介入を緩めれば、実体経済の鈍さや資金流出懸念が元安要因となるだろう。2010年以降の人民元の対ドル相場は、中長期的に見れば、中国とアメリカの金利差に沿った動きとなっている。今年、中国で2~3回の利下げ、アメリカで2~3回の利上げが実施されれば、米中の金利差は2010年辺りの水準に近付き、波乱を繰り返しながら、今年末には2010年の年初の水準である1ドル=6.83元程度に向かうだろう。


キャプチャ  2016年2月2日号掲載
中国バブル崩壊 [ 日本経済新聞社 ]

中国バブル崩壊 [ 日本経済新聞社 ]
価格:918円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : 中国経済
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR