【経済の現場2016・マネー迷走】(08) 株・円・金利不安定に

7回に亘り『経済の現場 マネー迷走』を連載した。年明け以降の株安・円高の動きは、中国の景気減速・原油安・アメリカ経済の変調・ヨーロッパの金融不安といった海外要因が大きい。景気下支えの為、日本銀行は2月16日からマイナス金利政策を導入したが、金融市場は不安定なままだ。番外編として、複雑なマネーの構図を整理した。

昨年末に1万9000円台だった日経平均株価(225種)は、2月12日に終値で1万5000円を割り込んだ。26日時点で、今年の下落率は15%に達する。中国・上海総合指数の下落率は22%に及ぶ。原因の1つは原油安だ。世界的な供給過剰から、原油価格はピーク時の5分の1まで落ち込んだ。中東産油国は収入減で財政が悪化し、政府系ファンドを通じて持っていた株式を手放している。景気回復が遅れるヨーロッパでは2月上旬、世界有数の金融機関『ドイツ銀行』の経営不安が浮上し、株安に拍車をかけた。円高・ドル安も進む。通常、投資家は円のような金利が低い国の通貨を売り、より高金利の国の通貨を買いたがる。不安が高まると投資家は、これとは逆の動きを強める。日本は国や企業が海外に多くの資産を持ち、“対外純資産”は世界最大。裕福と見られていることもあり、円は安全資産として買われている。2月初めに1ドル=120円前後だった円相場は、11日の海外市場で1年3ヵ月ぶりに110円台に上昇した。アメリカの早期の追加利上げ観測が後退し、ドルは売られ易くなっている。近いうちに110円を突破する可能性がある。2012年12月の第2次安倍内閣の発足時(85円前後)と比べれば円安だが、最近の急な値動きに政府は神経を尖らせている。日銀は1月29日、市場の混乱が景気に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、マイナス金利導入を決めた。銀行が余ったお金を日銀に預け過ぎると、“手数料”を取られる仕組みだ。銀行に企業への融資を促し、設備投資を増やすことで景気を梃子入れする狙いがある。日銀の決定直後から、手数料を取られたくない銀行は国債を大量に買い、国債価格は急騰した。国債の金融商品としての魅力(利回り)は下がり、世の中の金利が低下。年0.2%超だった長期金利は、2月9日に初めてマイナスになった。住宅ローン金利も下がった一方、預金金利は低下し、大手行では年0.001%と、100万円預けても利息は10円のみとなった。 =おわり

               ◇

畠山朋子・滝沢孝祐・小野卓哉・木瀬武・水野翔太・下里雅臣・ワシントン 安江邦彦・ニューヨーク 有光裕・北京 鎌田秀男・ロンドン 五十棲忠史・ローマ 青木佐知子が担当しました。


≡読売新聞 2016年2月27日付掲載≡


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テーマ : 経済・社会
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