【政治の現場・参院選の焦点】(05) 野党、試金石の“新潟”

20160312 02
今月中の合流を決めた民主・維新両党が頭を悩ませる選挙区がある。全国で32ある改選定数1の“1人区”で唯一、両党の候補予定者が競合する参院選新潟選挙区だ。民主党は新潟を地盤とする菊田真紀子(46・比例北陸信越)、維新は新人の米山隆一(48)が其々出馬を表明している。今月1日、事態の打開を図ろうと、両党の選対委員長を務める民主党の玄葉光一郎と維新の松木謙公が国会内で向き合った。「本当に菊田さんは出たいのか? 現職が出て、若し負けたら行き場が無くなるぞ」。松木は、衆議院議員を辞職して党本部の出馬要請に応えようとする菊田を思いやり、「一旦、白紙に戻して候補者を調整すべきだ」と訴えた。しかし、玄葉「菊田じゃなきゃ勝てない」と譲らず、協議は平行線を辿った。新潟選挙区は、夏の参院選から改選定数が2から1に減る。過去3回、自民・民主両党が議席を分け合ってきたが、今回は与野党が1議席を争う構図となる。野党候補の乱立は自民党を利するだけだが、菊田・米山両陣営は「既に選挙に向けて走り始めている。簡単には矛を収められない」と声を揃える。民主・維新の合流決定から一夜明けた先月27日、新潟県長岡市で開かれた『えちごかわぐち雪洞火ぼたる祭』会場に、長靴姿で歩き回る菊田がいた。雪合戦に興じる子供の声が響く中、「参院選に出馬することになりました。宜しくお願いします」と保護者らと握手を重ねた。翌28目、米山は新潟県加茂市内で精力的に街頭演説を行った。民主党との合流が決まり、「これで、菊田さんとの間で候補1本化に向けた協議がし易くなった」と歓迎するが、街頭では飽く迄も「自分が野党統一候補に相応しい」と売り込んだ。

混迷に拍車をかけているのが、生活の党から新潟選挙区に名乗りを上げた前参議院議員・森裕子(59)の存在だ。森は小沢共同代表の側近で、政権の座にあった民主党から小沢と共に飛び出した。小沢は森を野党統一候補とするよう訴えるが、民主党内には「党分裂を招いた小沢一派の森を担ぐことはできない」(幹部)との忌避感が強い。岡田代表や枝野幹事長が乗り出して菊田を説得し、衆議院から鞍替えさせてまで擁立を決めたのも、“森潰し”との見方が専らだ。一方、野党勢力の結集を目指す民主党は、維新に加え、生活の党との同時合流も模索している。小沢に近い関係者の中には、3党合流の“接着剤”として森を統一候補に推す向きもある。そんな思惑とは裏腹に、最前線で凌ぎを削る候補予定者の対立は先鋭化している。先月19日夜、新潟市で開かれた候補予定者に依る討論会は批判合戦の場となった。森が、民主党政権が公約に無い消費増税を決定したことを引き合いに、「政党の言葉の軽さに皆さんも呆れていると思う」と指摘すると、米山も「衆議院の議席を無くして参院選に出ることに納得していない」と菊田への攻撃で足並みを揃えた。対する菊田は「野党共闘は必ず実現できる。野党第1党として責任を果たしていきたい」と力を込め、森・米山に出馬断念を暗に迫った。新潟選挙区では、日本共産党も新人の西沢博(35)の擁立を決めており、妥結の兆しは見えない。不安と期待が入り交じった表情で、民主党幹部はこう呟いた。「野党がバラバラだと思われるのは良くない。でも、逆に新潟で纏まれば共闘の象徴区になる」 《敬称略》


≡読売新聞 2016年3月9日付掲載≡
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