【中国とどう付き合うか】(05) 中国との友好なくして日本の未来はない

20160319 06
2012年の尖閣諸島国有化以降、日本と中国の関係は長期に亘って冷え込んでいます。尖閣周辺海域では中国公船の日本領海への侵入が続いており、両国政府の緊張も未だ続いています。しかし、こうした状態が長期化することは、日中双方にとって望ましいことではありません。GDP世界第2位・3位の大国が、しかも隣国同士が一触即発の関係を続けていることは、アジア全体の安定を損ねます。かと言って、政府は中々歩み寄ることができません。メディアを通じてお互いが憎悪を募らせ、益々相手国を嫌いになっていく…。こうした時こそ、民間を中心とした両国民の交流を活発化させることが重要と私は考えます。両国の国民がお互いに相手国の本当の姿を先ず知ることが、何よりも緊張緩和に繋がるからです。私は2015年5月、観光業者と一般人で約3000名の『観光文化交流団』を組織し、中国を訪問しました。それに先立つ3月、海南島で開催された国際会議『ボアオ・アジアフォーラム』で、私は習近平国家主席に今回の訪中計画を説明し、民間交流への協力を依頼していました。習主席も、「民間交流は大変な意義がある。これは政治と切り離して考えるべき。自分も何かできることがあればぜひ協力します」と仰いました。ただ、日中関係が冷え込んでいる折も折、どの程度の協力なのかは未知数でした。従って、訪中団のメンバーには一切、習主席のことは話していませんでした。ところが、北京の人民大会堂で行われた夕食会の席に、習主席が突如として現れたのです。これは中国側も全く予期していなかったことで、会場全体に怒濤のような拍手と歓声が沸き起こりました。日中双方とも興奮して総立ちです。「私の故郷・西安には、日本から来た使節・留学生らが学び、阿倍仲麻呂は中国の偉大な詩人の李白・王維と深い友情を育んだ」「中日友好事業は両国や両国民、アジアや世界にとってメリットがあり、我々はこれを大事にし、引き続き努力を払う必要がある」。習主席はそう演説し、日中の関係改善に意欲を示しました。

実は、私は習主席に宛てた安倍総理からの親書を預かっていましたが、いつ、誰に託せばよいものか、思い悩んでいました。しかし、夕食会に習主席自ら来られた。これは絶好のチャンスと、私は安倍総理の親書を壇上で直接手渡すことをその場で決断しました。参加者全員の前で手渡せば、誰もがその事実を知ることになります。結果的に、非常に効果的な形で親書を手渡すことができました。習主席も、「戦略的互恵関係を進めていけば、日中関係はいい結果になると期待している。安倍総理に宜しく伝えて下さい」と仰った。久しぶりに、両国の関係者に温かいものが流れた瞬間ではなかったかと思います。東日本大震災の時は、温家宝首相(当時)が被災者のお見舞いに来られました。温首相は「被災地の約500人の子供たちを中国に招きたい」と提案され、海南島に招待してくれました。その時に、日本から子供らを引率したのが私だったのです。そんな経緯もあり、私は当時のお礼を申し上げ、「今度は500人の中国の子供たちを日本に招待したい」とスピーチしました。2015年10月に『NHK交響楽団』の北京公演が開催されるのに合わせて、帰りの便に中国の子供たちを乗せ、日本に招待する計画です。これには、安倍総理からも歓迎のお言葉を頂いています。中国の子供たちが一般家庭にホームステイし、日本人の真の姿を知れば、決して戦前の軍国主義を美化などしていないとわかるでしょう。そして、日本への親近感を抱いた子供たちが成長し、新たな日中間の架け橋となってくれる筈です。勿論、こうした民間交流は一朝一夕に日中関係を改善するものではありません。しかし、民間交流を通じて両国首脳が温かいメッセージを伝え合うことができるほど、日中関係が解れてきたとも言えます。政府高官同士が長時間対峙しても開けない交渉の隘路を、民間交流が切り開いたとも言えるのです。




中には、「いつまでも日本の過去を責め続ける中国に何故擦り寄るのか?」と民間交流そのものを非難する人もいます。しかし、実は中国側の人々も日本に対しては相当な辛抱をしているのです。彼らも日本を敵視したい訳ではない。ただ、先の大戦の記憶は、中国では今尚消したくても消せないものなのです。殴ったほうは忘れても、殴られたほうは忘れられない。和解の為、戦争責任についてよく認識し、再び悲劇を繰り返さないように反省する。そうした姿勢を日本側が示し続けることが大切だと私は思います。その意味で、安倍総理の『戦後70年談話』はよく練られたものであり、国際社会における評価も上々でした。これは、日本にとっての財産となったと思います。一方の中国政府側も、9月3日の抗日記念式典は抑制していたように思われます。式典に出席しなかった日本側への配慮も随所に窺えました。外交関係を破壊するのは簡単なことです。だが、一旦拗れてしまった信頼関係を修復する為には、本当に気の遠くなるような地道な努力を、また一から積み重ねていくしかないのです。日中友好の為に両国の先人たちが営々と積み重ねてきた努力に水を差さない為にも、影響力のある人々はくれぐれも軽率な言動を慎んで頂きたい。また、本来なら外交関係を拗れさせた人こそ、率先して修復の為の努力をすべきです。日中は、今後もデリケートな関係性が続くでしょうが、ともあれ戦後70年の夏を乗り越えることができたのは大きい。この成果を更に新しい関係性の構築へ繋げて行くことが重要です。その為にも、日本国民皆が中国との民間交流をもっと重視してほしいものです。 =おわり


二階俊博(にかい・としひろ) 自由民主党総務会長。1939年、和歌山県生まれ。中央大学法学部政治学科卒(法学士)。代議士秘書・和歌山県議会議員を経て、1983年に自民党から初当選。新進党等を経て、1999年に運輸大臣。保守新党を経て、2005年に経済産業大臣。以後、経産大臣を2度務める。2014年より現職。


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