「日本の消費税増税は間違った方向だ」――ジョセフ・スティグリッツ氏(経済学者)インタビュー

20160319 17
ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は17日、読売新聞のインタビューに応じた。安倍内閣の経済政策『アべノミクス』でデフレ脱却に向けて進んでいたが、2014年4月に消費税率を8%に引き上げたことに依り、「間違った方向に進んだ」と指摘した。来年4月に予定されている10%への消費増税については、「更に間違った方向に進むことになる」と警鐘を鳴らし、増税の見送りを求めた。スティグリッツ氏は、2012年末に発足した第2次安倍内閣が始めたアベノミクスについて、「金融政策は非常に強力で、期待された通りの成果を出した。財政も当初は(景気を)刺激した。日本経済は3年前より強くなった」と評価した。日本銀行が掲げる“2%の物価安定目標(インフレ目標)”を未だに達成できない理由として、2014年4月の消費増税の影響を挙げた。世界経済の状況については「力強い成長ではない」と分析し、「(日本が)消費増税をする正しい時機ではない。強調したい」と述べ、消費増税を延期するよう繰り返し求めた。「日本政府は、景気対策を打つ財政の余地がある」との見方も示した。日本が経済成長を加速させる為に財政出動をすれば、5月の先進7ヵ国(G7)首脳会議(『伊勢志摩サミット』)で「模範例になる」と述べた。スティグリッツ氏は、16日に開かれた政府の国際金融経済分析会合でも、「今は増税のタイミングではない」と安倍首相に述べていた。一問一答は以下の通り。

――世界経済の現状は?
「景気後退ではないが、強い成長でもない。今年の世界経済は去年より悪化するだろう」

――アベノミクスの評価は?
「金融緩和策は想定通り、極めて強力だった。財政政策でも当初、景気を刺激した。デフレがインフレに反転したが、(2014年4月に)消費税率を(8%へ)引き上げ、間違った方向に進んだ。今、消費税率を(10%へ)引き上げると、更に間違った方向に進むことになるだろう」

――消費増税はいつまで延期すべきか?
「(政府が抱える)債務への懸念は理解できるが、私が懸念しているのは(増税の)タイミングだ。世界経済は弱く、消費増税するには正しい時機ではない。消費税よりも良い増税がある。例えば、投資や賃金に収益を回さない企業には増税し、投資や賃上げをする企業は減税するといった方法だ。税の構造を変えること等が先だ」

――近著の『スティグリッツ教授のこれから始まる“新しい世界経済”の教科書』で、望ましい政策ルールを提示した。日本への提言は?
「女性や高齢者を労働力として十分に活用する環境を作ることができていない。柔軟な労働時間・十分な育児休業・保育(の整備)が欠けている。関連するルールを書き換え、(多様さを)包括する経済にしなければならない」


ジョセフ・ユ-ジン・スティグリッツ(Joseph Eugene Stiglitz) 経済学者・コロンビア大学教授。1943年、アメリカ合衆国インディアナ州生まれ。アマースト大学卒。マサチューセッツ工科大学助教授・スタンフォード大学教授等を経て現職。博士(経済学)。1990年代にビル・クリントン政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、世界銀行の上級副総裁等を歴任。著書に『スティグリッツ教授の経済教室 グローバル経済のトピックスを読み解く』(ダイヤモンド社)・『スティグリッツ教授のこれから始まる“新しい世界経済”の教科書』(徳間書店)等。


≡読売新聞 2016年3月18日付掲載≡


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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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