【ソニー・熱狂なき復活】(05) 切り離されて1年半…『VAIO』はどこへ行く?

20160321 01
業績不振に苦しんでいた『ソニー』のパソコン(PC)事業を、投資ファンドの『日本産業パートナーズ(JIP)』が買収し、新会社として発足した『VAIO』。2014年7月の発足から1年半で再び転機を迎えている。『東芝』『富士通』のPC事業と統合するという観測が浮上しているのだ。東芝・富士通は「他社との事業再編は選択肢の1つ」としており、それに合わせてJIPが売却に動いても不思議ではない。但し、低価格品から高付加価値品まで様々なラインナップを揃え、シェアも高い東芝・富士通とVAIOでは、事業の規模や構造が大きく異なる。ソニー時代のVAIOは約1100人の社員を擁する事業体だったが、現在はソニー及び同社の製造子会社から移籍した240人体制の小さなPCメーカーだ。今期の出荷台数は30万台規模と、最盛期の30分の1。拡大路線に失敗して事業売却に至った反省から、シェアは追わず、薄型・軽量のモデル等、ラインナップを高付加価値品に集中。クリエイター向けに特化した製品を投入する等、特定の市場で存在感を発揮している。とは言え、元は不採算事業であり、再生は道半ば。昨年5月期の業績は、売上高が73億円、営業損益は19億円の赤字。『Windows XP』のサポート終了や、消費増税前の駆け込み需要等の追い風があったにも拘らず、だ。同年6月には、ソニー出身の関取高行氏が社長を退任。通信機器の『サンテレホン』やケミカル中堅の『ミヤコ化学』で社長を務め、企業を再生してきた手腕を持つ『双日』の大田義実元常務が後任となった。「1年目はソニーから分離・軟着陸することが最優先。その為には、ソニー出身者が社長になり、文化を継承するのが早道だった。だが、2年目以降は会社の中身を作り、自立させる必要がある。私が外から入ることで、VAIOの保守的な企業体質を変えられる」(大田社長)。実際、社内には「『製品を開発すれば、後は営業が売ってくれる』という大企業のような雰囲気が残っている」という声もある。大田社長は、「技術者に営業をやらせたくない」というソニー出身幹部の反対を押し切って、営業部を設置。設計・生産部門から社員を異動させ、技術営業ができる体制を作った。

PC以外の分野へ進出も図っている。昨年3月には、『日本通信』へブランドを貸与する形でスマートフォン市場に参入。今後は『Windows 10 Mobile』を搭載した自社製のスマホを投入する予定だ。ロボット技術の活用も視野に入れる。VAIOの本社がある長野県安曇野市の工場は、嘗てソニーが発売した犬型ロボット『AIBO』の生産拠点だった。1999年に発売したAIBOは2006年に生産終了し、2014年にはサポートが終了している。現在はそのノウハウを生かし、他者からロボット生産を受託する。その一例が、『富士ソフト』のコミュニケーションロボット『Palmi』だ。ロボットの受託事業に関する商談が玩具系・業務系を問わずかなり持ち込まれており、新たな収入源になる可能性がある。他にも、IoT(モノのインターネット)関連事業・ゲーム関連事業・ファクトリーオートメーション(FA)関連事業にも取り組む。これらの新規事業を、PC事業と同等の規模にまで引き上げたい考えだ。「2017年度には、PC事業の収益をブレイクイーブンにする一方、新規事業を収益領域に位置付ける」(大田社長)という方針を掲げる。こうした中で浮上した東芝・富士通との再編話。仮に実現した場合、VAIOの付加価値路線に変化が出る可能性がある。ブランドが残るのかどうかもあり、現時点では先行きは見通し難い。VAIOが設立以来目指している株式の新規公開にも、影響を及ぼすことになるだろう。何より、VAIOの社員にとって心許無い日々が続きそうだ。


大河原克行(おおかわら・かつゆき) フリージャーナリスト。1965年、東京都生まれ。IT業界の専門紙『週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)』編集長を務め、2001年からフリーに。著書に『ソニースピリットはよみがえるか “愉快なる理想工場”の新たな挑戦」(日経BP社)・『松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略』(アスキー新書)等。


キャプチャ  2016年1月30日号掲載
VAIO Fit 15E SVF15317DJB [ブラック]

VAIO Fit 15E SVF15317DJB [ブラック]
価格:95,700円(税込、送料込)



スポンサーサイト

テーマ : 家電・AV・カメラ
ジャンル : ニュース

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR