【どの面さげて】(02) それで結局、安倍政権は何をやったのか

20160323 03
民主党の3年間も大概だったが、安倍政権の3年間はそれに輪をかけて出鱈目でしたね。メディアコントロールに長けていた政権なので、一部の情弱は騙されていたようですが、完全にメッキが剥がれてきた。経済に疎い人は「安倍政権は経済がいい」と言い、外交に疎い人は「安倍政権は外交がいい」と言い、内政に疎い人は「安倍政権は内政がいい」と擁護してきたものの、褒めるところが見当たらなくなった現在、自称保守の安倍支持者は「民主党よりマシ」「他に誰がいるのか?」「対案を示せ」くらいしか言えなくなっているようである。では、本当に民主党よりマシなのか? 安倍政権がやってきたことは、民主党の売国路線と何も変わらない。憲法の恣意的な解釈・デフレ下の増税・TPP・移民政策・農協や家族制度の解体といった愚策中の愚策…。民主党の一番駄目な部分・薄汚い部分を引き継ぎ、それを急進的に進めているだけ。そういう意味では、政策実行能力の無い民主党のほうが未だマシだった。ゲーテも言うように、活動的なバカほどタチの悪いものはない。拉致問題や慰安婦問題を拗らせ、やったのは出鱈目な安保法制くらい。「改憲が難しいから96条を弄る」と言い出し、安保法制懇という私的諮問機関の判断を元に閣議決定を行い、法制局長官の首を挿げ替え、仕舞いにはアメリカで勝手に約束してきて強行採決した。これは、国を運営する手続きの破壊です。本来なら保守や改憲派がきちんと批判しなければならない筈ですが、例に依ってバカばかり。自称“保守メディア”に依る世論操作に依り、ネトウヨや安倍支持者はコロッと騙されたようですが、「日韓合意で10億円の税金を韓国に流すことになる」と一部の連中がギャーギャー騒ぎ始めた。でも、その前に安倍の本性を見抜けなかった己の不明を恥じるべきだ。反省しない猿だから、同じようなパチモンに何度も騙される。気付くのが遅いというか、過去20年この繰り返し。「壊国に加担した」という自覚も無いのでしょう。

念の為に言っておきますが、私は「軍に依る強制連行は無かった」等と見てきたようなことを言いたい訳ではない。「慰安婦として働かざるを得なかった」という意味では広義の強制性はあったし、記録に残っていないだけで実際に強制連行はあったかもしれない。しかし、後世の人間の政治的判断に依り“不可逆的”な決定を行うのは政治の越権であり、歴史に対する冒涜以外の何物でもない。それだけの話。結局、安倍政権がやったことは、戦後レジームの固定化です。河野談話・村山談話を踏襲し、決着済の日韓合意を蒸し返し、アメリカの要望通りに国の形を変えていく。イラク戦争については「大量破壊兵器が無いことを証明しなければならなかったのはイラク側」等と頭の悪さを世間に晒し、挙げ句の果てには、イラク侵略を強硬に進めたラムズフェルドや、我が国に内政干渉を続けるアーミテージに旭日大綬章を叙勲した。これは安倍の意向と言われているが、絵に描いたような国賊・売国奴ですね。歴代総理の中でも圧倒的に出来が悪い。国家観も歴史観も憲法観も全てが変。我が国には“保守系論壇誌”でモノを書いている“保守系論壇人”という連中がいるそうですが、普段は「愛国」とか言っておきながら、この国難に際して何か真面なことを言ったのでしょうか? 安倍に功績があるとしたら、こうした如何わしい連中の正体を明らかにしたことくらいかもしれません。安倍はテレビ番組に出て来て、「私はお国のために死ねる。○か×か?」という質問に対し、△の札を挙げていた。部下を戦地に送り込む自衛隊のトップがこれなのですから、ふざけんなという話です。ウォール街の証券取引所では、「最早、国境や国籍に拘る時代は過ぎ去りました」と発言。要するに、日本人を小馬鹿にしているんですよ。こんなすっとこどっこい、精神の幼児を自称保守が支持するというグロテスクな状況下において、夏の参院選以降、憲法改正が「粘り強く」(安倍)進められる危険がある。




20160323 04
私は改憲派ですが、安倍に依る改憲だけは絶対に阻止しなければならない。国が崩壊するからです。安倍は憲法を改正して、一院制や道州制の導入を目指すという。また、首相公選制を唱える『おおさか維新の会』とも繋がっている。政治の腐敗も、ここまで来ると言葉を失いますね。一院制を唱える人間を支持する“保守”って、“健康な病人”レベルの語義矛盾でしょう。昨年11月の大阪ダブル選で『大阪維新の会』が2勝した時、首相官邸からは歓迎の声が上がったそうです。仲間・同志の背中に矢を放つ外道。卑怯・卑劣・人間のクズですね。「党内から反発の声は出ないのか」と思っていたら、こんな記事を見かけた。粗同時期に朝日新聞が自民党の党員・党友を対象に意識調査を行ったところ、歴代総裁の中で最も評価されたのは安倍だったと。保守的な側面もあった嘗ての自民党と、急進的改革を唱える今の自民党は全く別物です。自浄作用も期待できない。安倍自民に幻想を持つのは愚鈍という犯罪行為です。安倍の憲法観は素人以下である。立憲主義も理解していないし、自民党が2012年に出した『憲法改正草案』の内容さえ把握していなかった。有名な憲法学者を知らなかったことについては、「自分は(成蹊大学の)憲法学の学生でなかったから」と弁解。ポツダム宣言については、「私は未だ、詳らかに読んでいない」…。完全にルーピーでしょう。改憲にしても、どこをどう変えるかが重要であり、「改憲すれば全て良し」というのは、「改憲すれば戦争が始まる」という左翼の思考停止と同じです。安倍が改憲するくらいなら、未来永劫、今の憲法のままでいい。改憲派も護憲派も右翼も左翼も保守も革新も、日本人なら今は護憲に回るべきです。改憲は、きちんとした政府ができてからでいい。

野党や左翼にも問題があります。安倍に対して本質的な批判ができないまま、粛々とおかしな法案が通っている。既成左翼に依る安倍批判が効力を持たない理由は簡単で、左翼は元々近代主義者ですが、この20年、急進的な近代主義革命が政権中枢において発生しているからです。要するに同類。よって、安倍の暴走を阻止する為には、野党や左翼は本質的な部分で自分の立ち位置・世界観を見つめ直す必要がある。それができなければ、表層的なところで政治的対立が偽装され、国は破壊される一方だ。安倍政権を本気で駆逐するつもりがあるなら、自民党に愛想をつかした保守層・日本共産党支持層も含めて、暫定的にでも選挙協力を行う必要がある。『国境なき記者団』に依り発表された『世界報道の自由度インデックス』に依れば、日本は世界180カヵ国中61位だった。戦争も無く、殺害されたジャーナリストもいないのに、毎年ランクが下がっている。官邸はメディアのトップと蜜月の関係を築き、都合の悪い報道には目くじらを立てる。そして、翼賛報道を続ける全国紙…。北朝鮮みたいな国になってきましたね。政治から最も遠ざけなければならないものが、政権中枢に潜り込んでしまった。我が国に残された時間はそれほどありません。夏の参院選では野党連合の拡大に依り勢力を拮抗させ、世界情勢が不安定で喫緊の問題が山積する中、“何も決まらない政治”を10年くらい続けていくのがベターな選択かもしれません。安倍は、昨年の施政方針演説で“改革”と計36回、今年の施政方針演説で“挑戦”と計21回連呼しました。今、必要なのは、改革でも挑戦でも“新しい国”を造ることでもない。真っ当な保守政治・成熟した議会政治を取り戻すことです。愛する祖国をアホから守ることです。


適菜収(てきな・おさむ) 作家・哲学者。1975年、山梨県生まれ。早稲田大学哲学コース卒。出版社勤務を経て現職。著書に『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)・『バカを治す』(フォレスト出版)・『現代日本バカ図鑑』(文藝春秋)等。共著として『愚民文明の暴走』(講談社)・『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(文春新書)等。


キャプチャ  2016年3月号掲載


スポンサーサイト

テーマ : 安倍政権
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR