「税収減なら増税延期の方向」――菅義偉官房長官インタビュー

菅義偉官房長官は読売新聞のインタビューに応じ、来年4月からの消費税率10%への引き上げについて、「消費税を引き上げて、減収になるような場合にやる訳ではない」と述べ、増税しても税収が増えないような場合には先送りする可能性を示唆した。菅氏へのインタビューは今月20日に行った。菅氏は消費税率引き上げについて、「基本的にはリーマンショックや大震災のようなものが無ければ、予定通り引き上げる」として、従来の考えを強調。更に、世界経済の減速に依り景気回復が遅れる等で、消費増税後に税収が下がることが予想されるような場合には、延期する考えを示したと見られる。一問一答は以下の通り。 (聞き手/編集委員 望月公一)

20160325 08

――沖縄県のアメリカ軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設は、移設に反対する翁長雄志知事になってから厳しい状況が続いている。移設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部の和解勧告を受け入れたが?
「原点は先ず、普天間飛行場が市街地にあり、極めて危険な位置にあるということ。その除去と固定化を避けようと日米で合意したのが20年前。3年後に地元の市長と知事が辺野古移設に合意をして、閣議決定して始まってきている。この辺野古移設は、日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険除去を考え合わせた時、唯一の解決策だ。安倍政権になって漸く、漁協の皆さんからご理解を頂き、埋め立て申請を提出して、仲井真弘多知事から承認を頂いた。行政判断はもう下っている。そういう中で知事が代わって、訴訟合戦のようになっていた。裁判官から和解勧告が出てくるとは思っていなかった」
「今回、その和解案を政府としては呑んだ。現在、3つある裁判を、翁長知事に依る埋め立て承認の取り消しの是非を問う訴訟1つに集約する。『政府と沖縄県は裁判と並行して話し合いを進めなさい。判決が出たら、その後も判決の趣旨に従って協力しなさい』ということであった。政府は、仲井真前知事が埋め立てを承認したことに瑕疵は無いと思っており、今回、そこを明快に判断して頂けるので、そのほうがいいのではないかと思った」
「私から安倍総理に状況を説明し、総理は『全体を考えた時、訴訟合戦が続き、現状が更に何年も固定化されることは双方にとって望ましくない。“急がば回れ”だ』と決断されて、その判断に委ねようという形で呑んだ。県との協議を近くスタートさせる」




――北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出の脅威がある。辺野古移設は唯一の選択肢だと思うが?
「特に北朝鮮の核・ミサイル開発問題。昨今も日本海にミサイルを発射している。まさに、そういう地域の安全保障が不透明な状況の中にあって、昨年成立した安全保障法制と同時に、普天間飛行場の辺野古移設は日米同盟の抑止力の維持に不可欠だ。和解条項に基づいて、しっかり進めていきたい」

――和解協議中、工事は中止で移設が遅れ、普天間飛行場の危険な状態は続く。基地負担を軽減しながら、県との協議を急ぐべきだ。
「総理の指示に基づいて、政府としてできることは全力を挙げて取り組んでいる。(辺野古に移設する)輸送機“MV22オスプレイ”は、負担をできる限り少なくする為、沖縄県外で訓練できるように全国知事会や地方議会の議長会を始め、各方面にお願いしている。整備工場が木更津市(千葉県)になったことは大きかった。森田健作知事や渡辺芳邦市長を始め、木更津市民の皆様が本当によく受け入れてくれました」

――1月の宜野湾市長選で、翁長知事が推す反対派の新人が、移設を容認する現職に敗れた。政府の沖縄振興等の取り組みが理解され始めているのでは?
「沖縄の皆さんは、今まで、20年も経っているので、口だけでは信用してもらえないようになっていた。だから、形を作らなければ駄目だということで、私は非常に拘っている。前倒しで(アメリカ軍)西普天間住宅の返還が実現した。その後、そこに琉球大学を中心とする医療拠点の形成を計画している。そういうことが目に見える形で動き始めると、『本腰を入れてやっている』と政府の姿勢を理解してもらえるようになってくる」
「『那覇空港は満杯の状況で、第2滑走路を1日も早く完成させてほしい』という要請を受けたので、各省庁を集めて、7年の予定を5年10ヵ月にした。これで、仲井真前知事は政府を信用してくれた」

――安倍内閣が最重要課題とする経済について聞きたい。中国経済の失速等に依って、日本でも株価が乱高下する等、経済の先行き不安が強まっている。
「中国経済・原油安等で株価は乱高下したが、漸く落ち着いてきている。色んな経済指標が出ているが、皆、それほど悪くない。有効求人倍率等、地方を含めて高くなっている。実感していないという方は多いが、現状として、総理も言っているように『働く場所は確保されている』ということはわかってもらえるのかなと思っている」

――「世界経済の情勢を踏まえて、来年4月予定の消費税引き上げを延期するのでは?」という見方が出ている。
「基本的には、リーマンショックや大震災のようなものが無ければ、予定通り引き上げる。そこに変わりはない。後はよく言っているが、消費税を引き上げて減収になるような場合にやる訳ではないという、当たり前のことを私は言っている」

――民主党と維新の党が合流して『民進党』になることが決まった。野党結集の動きについてどう見るか?
「国民的にも議論してほしいのは、民主党や日本共産党等の野党5党が平和安全法制(安保法制)廃止で結集することだ。現実的に、これだけ北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射をしている。地域の安全保障が不透明になっている状況で、法制を整備してよかったと思っている。最早、どの国も一国のみで平和を守ることができず、安保法制が無くては政府として国民の生命・平和な暮らしに責任を持てない。どういう形で現実的に北朝鮮の脅威等に対応して国民を守るのか、野党5党は示す必要がある」

               ◇

安倍内閣発足時から参画していた菅義偉氏・麻生太郎氏・甘利明氏の3人は、内閣を支える“3本柱”と言われていた。甘利氏が政治資金問題で辞任し、内閣の構造変化も囁かれる。沖縄問題・経済政策・政局等の重要課題を巡り、政権内で更に重みを増した菅氏の動向に注目すべきだろう。 (編集委員 望月公一)


≡読売新聞 2016年3月22日付掲載≡


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