極悪不動産会社『レオパレス21』の超ブラックアパート経営――大家・不動産投資家たちの阿鼻叫喚が聞こえる!

東京でも、郊外であれば月2万円台で賃貸アパートを借りられる時代がやって来た。家賃崩壊で、これまでは左団扇でウハウハだったワンルーム大家・不動産投資家たちが大赤字経営になりつつある。更に賃貸物件が大量に供給される今年、大家たちは絶滅の危機に瀕するかもしれない――。 (取材・文/フリージャーナリスト 小石川シンイチ)

20160326 07
「月2.3万円 管理費2000円 敷金・礼金ゼロ」「月2.38万円 管理費6000円 敷金4万円」「月2.4万円 管理費6000円 敷金・礼金ゼロ」――。こんな激安物件が並んでいるのが、新宿まで1時間で、住環境にも問題の無い優良住宅地であるJR横浜線の相模原駅周辺だ。何れもワンルーム(16.08~17.62平米)で、管理費と合わせれば約3万円になるが、それでも相場と比べて格安だ。ワンルームマンションの平均賃料は、神奈川県全体で6万3000円台、埼玉県は5万5000円台。東京都心から1時間程度のJR横浜線・相模原駅周辺であっても、管理費込みで4万円が下限と言われているからだ。不動産仲介業者は、こう説明する。「勿論、新築で駅近物件であれば5~6万円台でも埋まりますが、築10年で、駅から徒歩10分を超えると家賃崩壊して、相模原駅の周辺は10年前の半値になってしまった。その理由は、大学の移転です。相模原駅から近い淵野辺駅は、複数の大学(麻布大学・桜美林大学・國學院大学)の相模原キャンパスの最寄り駅。そして、2003年に青山学院大学が工場跡地にキャンパス移転をしたことで、周辺にマンション建設が急増しました。しかし、青山学院大学は2013年に一転して都心回帰。相模原キャンパスの文系学部の1~2年生を渋谷のキャンパスに集約。理系学部は残ったものの、学生数は大幅に減少してしまった」。供給過剰になってしまったワンルームが値崩れして、家賃の相場も崩壊してしまったというのだ。

「少子化で、郊外にあるキャンパスはどこも不人気になっていますし、郊外のキャンパスに通うのは自宅通学者が中心です。2006年に共立女子大学が千代田区に、昨年に拓殖大学が2学部を文京キャンパスに移転した東京都八王子市、2014年に実践女子大学が渋谷区に移転した東京都日野市等も同様の家賃崩壊が見られます。今後も、中央大学が2022年までに八王子市にある名門法学部を後楽園キャンパスに移転することが決まっていますが、大打撃です」(不動産仲介業者)。確かに、八王子市や日野市も月2万円物件が目立つようになっている。これでは、ワンルーム大家にしてみればたまったものではないだろう。「ワンルームの賃料は、税金や修繕積立金等の家主の負担を考えれば2万円台が限界。そこまで下げても学生の抜けた穴は大きく、空室が埋まらなくなっている。2003年の青山学院大学移転に合わせてワンルーム大家を始めていれば、築12年で家賃崩壊。資金繰りが完全にショートの大赤字です」(あるワンルーム大家)。この為、最近では外国人に貸す物件も急増している。2014年の住民基本台帳を見ると、相模原市緑区は、外国人の転入数が前年比10%増を記録しているほどだ。「賃料が安くなると、エリアに依ってはアジア系外国人が入居するようになります。彼らは仲間を呼び寄せるし、グループで住む為に、それまで住んでいた良心的な日本人居住者はどんどん出て行ってしまう。1棟全てがアジアの別の国のようになってしまうのです。ゴミ捨てルールの違守から近所のコミュニティーとのトラブル調整役まで大家が行わざるを得なくなり、殆ど旨みが無くなりますね」(不動産ジャーナリスト)。




20160326 08
「営業マンの話と違う。こんな筈じゃなかった」と嘆くのは、『レオパレス21』の賃貸アパート経営に乗り出したとある大家・X氏だ。1995年に、郊外の大学周辺に持っていた遊休地で賃貸アパート経営を始めたのだ。レオパレス21と言えば、『大東建託』に次ぐ業界2位の大手アパート建設会社。有名タレントを起用したテレビCMに依って知名度は抜群に高く、30年間に亘ってアパート1棟を丸ごと借り上げる“一括借り上げ契約”を謳い文句に、全国の地主に自社ブランドのアパートを建築させていった。更に、政策も大手アパート建設会社を後押しした。1992年~1994年の税制改正で、それまで優遇されていた農地の宅地並み課税(固定資産税)と、その土地に貸家を建築した場合の軽減措置が導入され、郊外を中心に遊休地のアパート経営が加速していった。X氏もその1人で、レオパレス21担当者の「我々が建築を請け負ったアパートを30年に亘り一括して借り上げるので、自らアパートを管理・運営する必要はありません。土地の一部を有効活用できます」という甘い文句に惑わされてしまった。「しかも、見せられる収支計画書の収入は30年右肩上がり。その収支計画書は、当初10年間の固定賃料保証に加え、4年目以降は賃料を2年毎に原則3%ずつ値上げする前提を基にしたものでした。バブル崩壊後で融資先に困っていた金融機関の融資額も高く、低金利で表面上は確かに魅力的なものでした」(不動産ジャーナリスト)。X氏も、1995年のアパート経営(1棟目)のスタート当初は、入居者の学生たちから人気も高く好調で、2棟目の経営に乗り出すほどだった。しかし、1997年のアジア金融危機から雲行きはおかしくなり始める。「先ずは『4年目以降は賃料を2年毎に原則3%ずつ値上げする』という前提が見直しされ、“30年右肩上がり”という話ではなくなってきた。そして、10年過ぎると空室率も高くなって、思ったような収益が出なくなってきた。更に、エアコン等の更新の営業等も盛んに行われるようになって、支出も増えてきた」(X氏)。

大手アパート建設会社にとって、「投資物件は1軒で2度美味しい」と言われている。1度目は賃貸アパートを建設する際の“建築請負事業”。そして、2度目が賃貸借の管理、入居者から徴収する家賃から管理手数料を差し引いた残額が月々の賃料としてオーナーに支払われる、サブリース契約に依る“物件の賃貸事業”だ。「大手建築会社の利益率が数%前後の一方で、レオパレス21は20%前後の利益を上げてきた。その為に、先ずはアパート建設のコストを徹底的に安くした。安普請過ぎて『チャイムが鳴ったと思って玄関を開けたら4軒隣の部屋だった』というエピソードが流布したが、頷ける話だ。建築材は中国産の格安のもの。この建築材は、『木が腐って床が抜けるトラブルを起こしかねない』と欠陥トラブルになったほど。また、実際の建築は下請けの工務店に丸投げしており、手抜き工事・建築基準法違反の工事と問題視されたこともある。その上、建築請負代金も割高なのだが、薔薇色前提の30年右肩上がりの収支計画書を見せられれば、疑問を抱くオーナーは少ない」(不動産ジャーナリスト)。こうした急成長を続けたレオパレス21等のアパート建設会社のビジネスモデルは、2008年のリーマンショックをきっかけとした世界金融危機で転換点を迎える。法人契約の家賃収入の落ち込みに依って、経営が悪化したのだ。「レオパレス21は、製造業者や派遣会社といった法人に転貸している法人契約が全体の半数を占めていた。工場の従業員以外は誰も住まないような大家の土地にアパートを建てさせ、6ヵ月~1年程度の期間限定で雇う派遣労働者の寮として、製造業者や派遣会社に提供していたのです。しかし、世界金融危機で工場の稼働率低下や閉鎖が相次ぐと“派遣(社員)切り”が起きて、レオパレス21も法人契約を打ち切られたのです」(不動産ジャーナリスト)。法人契約を打ち切られたレオパレス21は、30年間に亘ってアパート1棟を丸ごと借り上げる“一括借り上げ契約”の見直しを図る。一定の契約書にあった解約条項を利用して、固定賃料保証が終わる10年超の物件に関して、空室率の高い物件には解約を前提とした交渉を行い、空室率の低い物件には40~50%の賃料減額を迫ったのだ。案の定、X氏も10年超物件だった為に、解約を通告されたのだ。「しかも、解約時には入居者を他のレオパレス21物件に転居させて、入居者をゼロにした。一方で、転居させた物件は入居率が改善するという阿漕な手法を取ったのです」(X氏)。

20160326 09
X氏は自ら賃貸アパート経営を行うことになったが、今度は不動産仲介業界の暗黙のルールが待ち受けていた。「賃貸契約の際には、仲介手数料として合計1ヵ月分の家賃を貸主・借主で負担するのですが、それ以外にかかるお金として、成約の際には、大家側から不動産仲介業者に広告宣伝費(AD)を支払うことが暗黙のルールなのです。この広告宣伝費は少なくても1ヵ月分、東京郊外でも多摩地域は2ヵ月分のところも増えてきた」(X氏)。例えば、月2万円の物件だとすると、不動産仲介業者は1件契約しても仲介手数料は2万円に過ぎない。これではインセンティブにならないと、2万円(1ヵ月分)・4万円(2ヵ月分)の上乗せを要求するのだ。しかし、これは仲介手数料を規制する宅建業法を逸脱している為に、“広告宣伝費”という名前にして処理しようとするのだ。「この広告宣伝費を払うことにしておかないと、不動産仲介業者は借りようとする側に、この物件を紹介すらしません。況してや、広告料金のかかる“Yahoo!不動産”等にも掲載しようとしないのです」(X氏)。つまり、現在の月2万円の物件を成約した際には、宅建業法で定められた仲介手数料1ヵ月分の他に(大家の側で全部を負担する場合)、広告宣伝費として家賃2ヵ月分、つまり6万円を不動産仲介業者に支払わなければならないのだ。「最初の3ヵ月分は事実上のフリータレント、タダで貸しているのと同じです。その間に借り主が『壁が薄い』と言って契約を解除したり、実は不良借り主で滞納し始めたら、完全に赤字なのです」(X氏)。X氏は未だ借金が残っており、頭が痛い日々が続く。更に悩ましいのは、今年は賃貸物件がこれまで以上に市場に出回るとされているからだ。「2016年は、相続増税の節税対策で建設された賃貸物件が、次々と市場に供給される年なのです。新しい物件が次々に供給される為に、賃料相場は再暴落しかねないですし、借り手を探すのが益々難しくなってきます」(不動産ジャーナリスト)。30年右肩上がりの筈が、20年で大赤字になるとは誰が予想しただろうか…。“美味しい”話は常に、大企業にとっての“美味しい”話に過ぎないのかもしれない。


キャプチャ  第11号掲載


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