【どの面さげて】(03) 育休は浮気の為か、宮崎謙介の“議員活動”

20160328 11
「“育児休暇宣言”は売名行為だ」とばかり思っていたが、どうやら違ったようである。こうなってみれば、「愛人との逢瀬の為の時間を確保する為だった」と考える他はない。2月10日発売の週刊文春で、34歳の女性タレント・宮沢磨由との密会が報じられた自民党衆議院議員の宮崎謙介(35・京都3区当選2回)。自宅に招き入れたという逢瀬は1月30~31日のことで、妻である自民党衆議院議員・金子恵美(37・新潟4区当選2回)が出産する6日前だった。2人は予てから不倫関係にあったという。妻の妊娠中に不倫はよくある話だが、彼がやっては洒落にならない。宮崎は昨年12月、「休暇を取ることに依って職場で冷遇されるのではないかということが障壁になっている中、国会議員が先例となって率先して育児に参加したい」と、国会会期中に1ヵ月程度の育児休暇を取ることを宣言した。この発言は、自民党内で「国会議員はサラリーマンとは違う」「育休を利用した売名行為」等と集中砲火を浴びたものの、宮崎は意に介さず、「男性議員の育児休暇について、衆議院規則の改正を求めていく」として勉強会すら発足させたのだった。そして、勉強会の内容を直接、衆議院議長の大島理森に申し入れようとして国対委員長の佐藤勉から注意されると、同僚議員らにFAXを送って、「本勉強会は国会議員の育児休業制度に向けての勉強ではなく、勉強会の名前の通り“男性の育児参加”を推進させるための勉強会です。(マスコミでは、国会議員の育休取得に向けた勉強会との報道も見られますが、この点については主旨を十分御理解いただけるよう説明・訂正して参ります)」と看板を付け替え、「女性の社会進出を応援し、出生率の向上を目指すことを主眼に置き、様々な角度から議論を深めていき“男性の育児参加の意義”を確認したいと思います」とのご高説。随分と立派な意気込みだが、今となってみれば笑止千万である。

国会議員として民間の男性の育児参加を支援することは、大いに結構なことだろう。しかし、民間と国会議員は根本的に違っている。民間の場合は、出産休暇・育児休暇は雇用者と被雇用者の間で取り決められる。一方、議員は“出産の為”等の理由で、党国会対策委員会の了承を得て、議員連営委員会を通じ、欠席届を提出すればいい。尤も、国会議員が国会に出なくていいのなら、そんな国会議員はいなくて済むということでもある。宮崎は自身の存在意義を否定している。いや、宮崎は国会のことなどどうでもいいのかもしれない。思えば、最初の妻は加藤紘一氏の三女で、今は自民党衆議院議員の加藤鮎子(36・山形3区当選1回)、次が金子である。2度も国会で相手を見つけ、今回の不倫も議員になってからの付き合いだから、彼にとって国会議員とは、女を口説く際の肩書きほどの意味しかないのでないか――。「政治家が小粒になった」と言われて久しい。政治家としての自覚に乏しく、見識も胆力も無く、人間関係すらも巧く築けない。そんな人間たちが政治家になっている。勿論、若手に多い。閣僚経験者の自民党議員は、こう嘆息する。「『選挙で選ばれた』という重みがわかっていない。先ず、彼らは選挙区を回っていない。また、礼儀を弁えておらず、当然のように先輩議員に委員会の差し替えを頼んでくる。宮崎のように、党内手続き・党内政策決定システム・国会手続きを知らない者もいる。風が吹いて当選したような連中は、地元選挙区の有権者との関係が希薄で、後援会も弱い」。何故、政治家はこうも劣化したのか? その最大の要因は、選挙制度が変わったことだろう。衆議院議員の場合、小選挙区比例代表並立制の導入(平成8年)が大きく影響していると思われる。中選挙区の時代に比べ、どの政党に所属しているかが選挙を左右する。つまり、政治家個人の資質よりも政党の比重が高くなったのだ。単純小選挙区制のイギリスでは、国会議員のことを“エージェント”と呼んでいる。政党のエージェントであるから、“志”など無い訳だ。中選挙区時代の議員はオーナー事業主か個人商店主で、目玉商品(高い志と政策理念)と確固たる顧客(後援会を軸とした地盤)を持っていた。しかし、小選挙区比例代表並立制の下では、政党というメーカー本社の代理店でしかない。当然、地元との関係は薄くなり、後援会等の運営や維持に手間がかかる組織も等閑になる。これでは、市民の声を聞き、理想を掲げる政治家は育たないだろう。更に、そうした小選挙区比例代表並立制の弊害に拍車をかけているのが、公募制と落下傘候補だ。どちらも党本部との関係は密だが、地元を軽視する。




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先の宮崎も公募・落下傘議員だが、こんな人物もいる。自民党衆議院議員の山本朋広(40・南関東比例当選3回だが神奈川4区は落選)は、地元で比例救済狙いの“さすらいの政治家”と揶揄されている議員だ。公募で公認を得た最初の選挙は、小泉純一郎時代の“郵政選挙”だった。この時は京都2区で民主党の前原誠司に敗れたが、自民党大勝の恩恵に与り、近畿比例で救済され、初当選した。だが、民主党が圧勝した平成21(2009)年の衆院選では落選。その後、京都2区から神奈川4区に移り、平成24(2012)年と平成26(2014)年の衆院選では小選挙区で敗れたものの、自民党の圧勝に依って比例区で救済された。この山本は平然と「後援会はいらない」と公言し、党員集めもしていない。流石に党員集めをしないことが問題視され、神奈川県連の役職を事実上、外されたという。次の公認は難しいだろう。「どうして、こんな人物が公募に通ったのか?」と思わずにはいられない議員は未だいる。今は無所屬の衆議院議員・武藤貴也(36・滋賀4区当選2回)である。昨年8月、知人に「値上がり確実な新規公開株を国会議員枠で買える」等と持ちかけて金銭トラブルを起こし、更には若い“男”を買春する等の破廉恥行為も発覚して、自民党を離党した。彼は離党前の8月7日から約5ヵ月間、衆議院本会議を欠席している。だが、この間の歳費とボーナスは受給した。今は本会議には出るが、それ以外は殆ど姿を見せていない。国会議員の資質以前にその人間性にも問題がありそうだが、公募採用の際にはそれが見抜けなかった訳だ。小選挙区比例代表並立制の悪影響は、こうした泡沫議員だけではない。ポジションでは大物と呼んでも差し支えのない政治家にも及んでいる。その代表格が、民主党政調会長の細野豪志(44・静岡5区当選6回)だろう。フリーアナウンサー・山本モナとのキス写真で知られる彼は京都生まれの滋賀育ちだが、静岡県三島市に移った落下傘政治家である。落下傘に多いのは、高学歴で若々しく、スマートでクリーンなイメージ等の特徴を備えた人材だが、その典型例だろう。細野は役員室長を皮切りに、政権獲得時は閣僚3回に政調会長、下野してからは党幹事長・政調会長の要職を歴任し、現在は3度目の政調会長に就いている。堂々たるキャリアだが、民主党内の細野評は芳しくない。野田政権末期、自民党の攻勢に解散・総選挙に追い込まれた野田は、目玉の公約としてTPP推進を考え、政調会長の細野に党内の意見集約を指示した。だがそれに失敗し、目玉となる選挙公約を失った民主党は惨敗した。民主党のベテラン議員が語る。「彼は政治家としての志が無く、戦略も無いから、調整能力も無い。皆にいい顔をするから、その場の流れに身を任せる。だから意見集約できなかった」。衆参両院議員の約8割は真っ当な政治家である。残り2割、与野党の其々1割が国会議員として首を傾げたくなる面々だ。その存在が政治不信を生み、有権者と政治の距離を広げている。彼らで議席を確保しようとすることが、逆に政党政治の衰退を招く要因になっていることに、そろそろ気付くべきだ。 《敬称略》


伊藤達美(いとう・たつみ) 政治ジャーナリスト。1952年、秋田県生まれ。雑誌記者を経て、1984年からフリーに。『共同通信』『文藝春秋』『中央公論』『諸君!』等各種メディアで執筆。


キャプチャ  2016年3月号掲載


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テーマ : 政治家
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