【変見自在】 日本を呑む

支那の史跡をよく歩いた。支那人はどうも、歴史とかを粘土細工みたいに考えている節がある。好きに捏ねて、気に入らなければ潰して捨てても構わない。武漢の一角、長江を望む丘に『黄鶴楼』が建つ。三国時代、呉の孫権が建てた三層の楼閣は、度々の戦火で焼かれ、それでもその度に再建されてきた悠久の史跡の1つだ。楼の名は、壁に描かれた鶴が酔客の手拍子で踊りだすという伝説に依る。、唐代には帰郷する孟浩然を李白がここから見送った。その時に詠った「故人、西の方、黄鶴楼を辞す」もまた、よく知られる。現在の楼閣は、日本人が撮った明治期の写真を基に再建されたが、三層は貧相だから六層にし、破風も付けて、昔の姿を一切留めない“復元”をした。旅順には、乃木大将が苦戦した二百三高地がある。日本人観光客を誘致できる。「では、商品価値をもっと高めるアルヨ」とコンクリート製の怪しげな断崖絶壁を彼方此方に拵えた。身一つ隠せない丸坊主の丘陵だから日本軍は攻めあぐね、屍を積んだ。何の為の史跡改竄か。

満州南部、支那に接するのが熱河だ。満州王朝はそこに承徳宮を建てて、モンゴル、ウイグル、チベットの王侯たちとの外交の場にしてきた。 チベットの為に、ラサのポタラ宮をそっくり真似た小ポタラ宮を造営し、モンゴル王の為に興安嶺の麓に広大な木蘭囲場を用意し、狩りを共に楽しんだ。支那人は、ここには出入りできなかった。支那人の身分は家奴、つまり国ごと奴隷の扱いだった。それが恥ずかしくて、支那人はこの史跡を“満州王朝の夏の避暑地”ということにして、北京の家奴取締本部だった紫禁城を本当の宮殿に仕立てた。史跡の機能を偽ることくらい、支那人には朝飯前の知恵だ。また、熱河は1931年の満州事変以降、日本軍と、アメリカに後押しされた蒋介石軍との鬩ぎ合いの仕上げの場ともなった。所謂“熱河作戦”は満州国建国、日本の国際連盟脱退という激動の時期に展開され、蒋の軍勢はリットン調査団の言う“支那の国境線、万里の長城”まで押し戻されて敗退した。その停戦交渉は天津の近く、塘沽の煉瓦建ての洋館で行われたが、2009年に行ってみたら建物はボロボロながら奇跡的に残っていた。しかし、ガイドの張宇は、近く鬼城団地を作るので「取り壊す」と言った。「支那敗戦の史跡は処分していいのか?」と問うと、張宇は「日本人は支那と言うな」と言い返した。“シナ”は、支那の石油会社もウェブサイトも使っている。でも日本人が使うと、「駄目な頃の支那を思い出させるから」駄目という。




でも、ずっと支那は駄目のままではないのか。「失礼な」と張宇。確かに、支那は歴史上、何度も外国に蹂躙された。殷も周も外国王朝だ。宋を脅かした金も、絢爛の文化を生んだ隋も唐も鮮卑の王朝だ。モンゴルも満州も王朝を建て、支那人を支配した。「しかし、我々はこの地を侵し、我々を支配した民族を今や我々の中に溶かし込み、彼らの文化も我々支那人のものとした」。早い話、チャイナドレスは満州族の民族衣装で、支那人はそれを強制された。でも、今は満州族を吸収・同化した。「チャイナ服で何の問題も無い」。ただ、侵略民族全てを溶かし込んではいない。日本が残っている。彼らの歴史では8年間、日本が支配したことになっている。おまけに漢字文化もある。外来の思想文化の漢字訳は、彼らの能力を超える。“徳莫克拉西(デモクラシー)”も結局、日本が創った“民主主義”に換えた。“民”の元字は、目を潰された愚昧の人を意味する。“民”主主義なんて彼らには思いつけない。だから、今は黙って日本製漢字を入れる。毛沢東憲法は75%が日本語だ。「日本を早く侵略して溶かし込まないと、いつまでも日本に頭が上がらない」――。習近平以下支那人は、尖閣・琉球どころか、実は日本支配を狙っている。


高山正之(たかやま・まさゆき) ジャーナリスト・コラムニスト・元産経新聞記者・元帝京大学教授。1942年、東京都生まれ。東京都立大学法経学部法学科卒業後、産経新聞社に入社。警視庁クラブ・羽田クラブ詰・夕刊フジ記者を経て、産経新聞社会部次長(デスク)。1985~1987年までテヘラン支局長。1992~1996年までロサンゼルス支局長。産経新聞社を定年退職後、2001~2007年3月まで帝京大学教授を務める。『高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬る 日本人をますます元気にする本』(テーミス)・『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった!』(ワック)等著書多数。


キャプチャ  2016年3月31日号掲載


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