【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(57) 学歴ガチ! モーリー・ロバートソンのハーバード回想録

最近、思わぬことから自分の経歴が世間で話題になりました。現役で東京大学に日本語で合格し、ハーバード大学に英語で合格。本当です(東大にはあまり長く通いませんでしたが)。自分にとっては今更どうでもいいことですが、今回はその経験に基づいて、東大とハーバードは実際にどう違うのか考えてみましよう。先ず、入試問題は東大のほうが遥かに難しい。仮に、ハーバードの学生にネイティブ並みの日本語能力を植えつけたとしても、東大の入試問題を解けない人が大半でしょう。ポイントは、求められるスキルセットが全く違うことです。東大生は、用意されたルールの中で“正解”のある問題を解くことに極めて長けている。しかも、入試という“狭き門”を通過した後は、普通にやっていれば卒業できる。その結果、凄く要領のいい人間を大量に生み出す一方、イノベーティブな思考を持つ人を続々と輩出…ということにはなりません。逆に、(少なくとも僕がいた時代の)ハーバードではゼロから思考することが求められ、“要領がいい”ことは評価の対象ではない。従来のテンプレートを応用するのではなく、カオスに放り込まれます。

在学中に一番辛かったのは、色々な授業で電話帳のような分厚い資料を「明日までに読んでこい」と渡されること。翌日には、実際にそれを読んだという前提で、学生同士でまるで泥の中でレスリングをするような正解の無いディベートが行われ、議論の素材を用意してこなかった者は公開処刑。勿論、ドロップアウトする人も多かったですし、僕も凄く苦痛でしたが、相当鍛えられたと思います。もう少し具体的に例えてみます。数学定数の1つに、自然対数の底である『e(ネイピア数)』があります。eの具体的な数値はわかっていませんが、“一定の値に収束する”ことだけはわかっています。これを東大生はどう考えるか(eを研究材料にしている学生ではなく、一般論としての話です)。eは理論上、“一定の値に収束することがわかっている”のだから、疑問を持たずに受け入れる。それを前提に色々な問題を解く。しかしハーバードでは、収東するといわれるeという“未知の値”を、 実際に電卓を叩いたりして見に行こうとする。或いは、「収束しない可能性はないのか?」と一見、不毛な思考実験を繰り返す。4年経っても相変わらず解けないけれど、「何故解けないか?」は知っている。




解ける問題ばかり解くことの最大のリスクは、自分に対して万能感を持ってしまうことです。実際の社会には正解の無い問題が山ほどあるのに。一方、もがき苦しんだ末に「自分には解けない問題がある。自分はバカだ」と悟って社会に出る人は、知性に対して謙虚になれます。“わからない”ことに直面してもパニックにはならないし、無理して正解を導くこともしません。日本の学歴信仰は異常です。僕自身も「ハーバードだからどうだ」という意識は無く、寧ろ「で、今は何をやっているの?」と聞いてくる人のほうが健全でしょう。ただ、当時の経験が僕にとって大事だったことも間違いない。トラウマでもあるけれど、感謝しているというところです。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。4月4日から『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)にニュースコンシェルジュとして出演!


キャプチャ  2016年4月11日号掲載


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