【丸分かり・激震中国】(07) 環境と過剰生産に不安…自動車販売台数の伸びは鈍化

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2009年にアメリカを抜いて世界最大の自動車販売国となった中国。中国国内の景気後退が鮮明になる中でも、同国の自動車業界関係者の多くが「市場のアップダウンは多少あるが、中国市場は更なる成長が見込める」と強気の姿勢を崩さない。しかし、環境問題や過剰生産等、3つの不安材料を抱えている。1点目は、都市部で大きな社会問題となっている排ガスによる環境問題だ。その対応策として、北京・天津・深圳等ではナンバープレートの発給枚数を制限し、新車の販売台数を抑制している。これと並行して、中国政府は2009年から始めた公用車やバス等を対象にした電気自動車やプラグインハイブリッド車の購入補助金制度を、2014年から一般乗用車向けに拡大した。一部の都市では、ナンバープレート取得も優先される。但し、こうした次世代車は普通ガソリン車と比べて価格が高く、販売の中心にはなり難い。2点目は、内陸部の需要が不確実である点だ。自動車メーカー各社は、2000年代後半から、沿岸部から内陸部へ販売網を広げてきた。だが、内陸部は沿岸部と比べて富裕層が少なく、短期での買い替え需要や複数所有が見込めない。更に3点目は、販売店への過剰供給が挙げられる。多数の地場メーカーに加え、外資と地場メーカーの合弁事業も増えて多ブランド化が進んでおり、中国は世界で最も販売モデルが多い国となった。その為、ブランド間の競争が激しくなり、販売実績を無理に上げようとして生産過剰となった車を販売店に押し付けている。この為、販売店は在庫を抱え、安売りして利益を確保できない悪循環に陥りつつある。

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『中国汽車工業協会』によると、2015年の新車販売台数は前年比4.7%増の2459万台だった。上海株式市場の暴落等で消費者の購買意欲が下がり、中国の2015年の新車販売は8月まで5ヵ月連続で前年割れとなったものの、景気刺激策として、10月から実施したエンジン排気量1600㏄以下の新車の販売税を50%引き下げたことが奏功。ただ、伸び率は2014年の6.9%増から鈍化し、2年連続で1桁台に留まった。『国際自動車工業連合会』によると、直近データとなる2013年実績の自動車普及率は、世界平均で1000世帯当たり174台。最も普及率が高いアメリカが同790台、日本は同604台だが、中国は同91台に留まる。数字上、中国市場にとって3000万台の大台超えの現実味は十分にあるが、既に供給過剰となっており、今後も需要が増えるかは不透明だ。中国では、外資系の自動車メーカーは単独資本で生産拠点及び販売拠点を持つことができず、中国地場企業との合弁が必須だ。2015年上半期は、ブランド別シェア1位の『上海汽車』と合弁事業の『フォルクスワーゲン』が大きく伸び悩んだ一方、『第一汽車』『広州汽車』と合弁を組む『トヨタ自動車』は、2014年に市場投入した新型『カローラ』の販売台数が前年比で倍増。また、『東風汽車』『広州汽車』と合弁する『ホンダ』は、スポーツタイプ多目的車(SUV)部門で『XR-V』が販売台数を大きく伸ばした。自動車メーカー各社は、世界最大需要国の中国に対して期待と不安を織り交ぜながら、付き合い続ける必要がありそうだ。 (自動車評論家 桃田健史)


キャプチャ  2016年2月2日号掲載


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テーマ : 中国経済
ジャンル : 政治・経済

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