【私のルールブック】(46) 子供は面倒だから面白い

私は生意気ながら、子役スクールのプロデュースをさせて頂いている。設立して彼此7年の月日が経つのだが、当然、その間に数え切れぬほどのお子さん・親御さんたちと接してきた。で、先日のレッスンでのこと。体験レッスンに参加した1人の女の子がいた。お芝居は初めてで、かなり緊張の様子。自己紹介を促すも、中々喋ることができない。無理強いしてもなんなので、取り敢えず芝居作りに放り込むことにした。私のやり方は、頭ごなしに手取り足取り教えることはせず、先ずは子供たちだけで考えてもらうことから始める。今時のお子さんは、私の時代とは比べ物にならないほど、与えられたことを熟す能力には長けている。一方で、与えないと動けない・動かない子も想像以上に多いのだ。要するに、自発的に考えて創作する能力に欠けていると言っても言い過ぎではないだろう。

爺臭い言い方をすると、子供の頃はお金が無くて当たり前。遊びにかけるお金など限られていた。だから、自分たちでオリジナルな遊びを考えるしかない。廃材を拾ってきては基地を作った。近所の堀伝いに、どこまで進めるか試してみた。金持ちの家の庭に忍び込んで、枇杷を盗んで腹を満たした。今の子たちはどうだろう。私のスクールの子供たちも、控室でゲーム機と睨めっこしている子が殆どである。芝居は台詞を覚えればいいというものではない。指示された段取り通りに動けば100点ということでもない。芝居作りは、役者も含めた物作りの共同作業なのである。で、先の女の子。戸惑っておりました。芝居もしたことがなければ、挨拶だって真面にできなかったんですから、当然です。私も正直、「“お客さん”で終わってしまうかな」と諦めかけたその時、一筋の光明が差します。他の子たちが能動的に動き、素直に疑問を口にする様を見て、ヤキモチの表情を覗かせたんです。私の口元が緩みます。だって、こうなればしめたものですから。ヤキモチは即ち、負けん気の現れです。もっと言えば、「やろうと思えば私にだってできる」「私のほうができる」といった、根拠の無い自信の現れ。




私は彼女に近付き、「今、何かを感じたよね? だったら、それを口に出してみな。言葉で表現するのが難しかったら、芝居中の台詞の中に今の気持ちを入れてみな」と言いました。すると彼女は、漸く自発的に芝居を始めたのです。私ね、面倒臭いのが大好きなんです。子供が好きな訳じゃない。子供って、面倒だから付き合ってて面白いだけ。だって、中々話が通じないんだから。直ぐにビビるし、拗ねるし、時にゴネるし、面倒極まりない。しかも、どこに変化のツボがあるかわからないから時間がかかるし…。でも、気持ちいいんですよね。だって、嘘が無いから。いや、違うな。子供はた~くさん嘘を吐きたがるけど、バレ易い嘘だから、そこさえわかってしまえば大人よりも数段気持ちよく付き合える…って感じ。ですから、子供たちに教える立場にありながら、逆に教えてもらうことのほうが多いって言ったら月並みになってしまいますが、忘れかけていたものを思い出させてくれるんですよね。染み付いた垢を落とすキッカケをくれる訳です。面倒だけど、面白いのよね~。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年4月7日号掲載
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