【カオスを飲み干せ!挑発的ニッポン革命計画】(58) ドナルド・トランプの“ネタ元”はムスリム大量虐殺のイデオローグだった?

アメリカ大統領選で共和党候補者争いのトップに立つドナルド・トランプが、外交政策のアドバイザーの名前を公表し始めました。「何れも無名」等と報じるメディアも多いですが、実は、その内の1人はかなりヤバそうな人物です。名前はウォーリッド・ファレス。レバノン出身のキリスト教徒で、テロ対策専門家として『FOXニュース』等の右派メディアに出演し、“イスラムの脅威”を煽る人物です。2012年の大統領選でミット・ロムニー候補(共和党)の陣営の特別アドバイザーを務めた“華々しい経歴”もあり、アラブ系の顔つきで反イスラムを雄弁に語る――。右派メディアにとって見れば、実に都合のいい中東専門家。トランプの反イスラム発言も、彼が“ネタ元”となっている可能性は十分にあります。しかし、彼の過去には暗い影が見え隠れします。1975年から15年続いたレバノン内戦の中でも、特に凄惨だったと言われる大量虐殺事件に深く関わった疑いが持たれているのです。

レバノン内戦は、パレスチナ戦争やヨルダン内戦等で土地を追われたパレスチナ難民(イスラム教徒)が、キリスト教徒の多いレバノンに押し寄せた際の宗教間・民族間の衝突がきっかけで始まりました。レバノンに信者の多いキリスト教の一派『マロン典礼カトリック教会』は、巨大化する『パレスチナ解放機構(PLO)』に抗戦すべく、次々と武装民兵組織を結成していきます。その最大組織である『レバノン軍団(Lebanese Forces)』は1982年9月、パレスチナ難民キャンプで大量虐殺事件(サブラー・シャティーラ事件)を引き起こしました。実は、このレバノン軍団にキリスト教神学を教え込んたとされるのが、当時は未だ祖国にいたファレス。彼は、虐殺事件で現場を指揮したリーダーにも“反ムスリム”のイデオロギーを叩き込んだといいます。1990年に内戦が終結すると、ファレスはアメリカに渡ります(恐らく祖国にいられなくなったのでしょう)。行き場を失ったレバノン民兵組織のイデオローグは、反イスラムという“陰謀論”を駆使し、中東専門家としてアメリカ政治の保守強硬派(ネオコン)に急接近。より強いボス(アメリカ)を誑かして、自分を脅かす敵(中東のムスリム)を攻撃させる…。これが彼の生き残り戦略だったようです。




「このままでは、イスラム教が欧米のキリスト教世界を侵食する」――。恐怖を煽って支持を得たいネオコンと、「自分たちだけが正しい」と思い込むキリスト教右派、そして中東利権を確保したい石油業界や、戦争が利益に直結する軍需産業…。其々の思惑が絡まり、“反イスラム”というパラノイアな世界観は巨大化。そして、2000年代のジョージ・W・ブッシュ政権時代には、「皆で危機をでっち上げていく」という方向に舵を切っていくのです(これがイラク戦争にも繋がります)。超大国アメリカでムスリムへの憎悪が拡大し、軍事行動に至る。その反動としてテロが起こり、更にムスリムへの憎悪が加速する。そんな最悪の連鎖の中心にいる“専門家”をネタ元とするトランプが、若し大統領になったら…。残念ですが、明るい未来は想像できません。


Morley Robertson 1963年、ニューヨーク生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学理科一類に日本語受験で現役合格するも3ヵ月で中退し、ハーバード大学で電子音楽を学ぶ。卒業後はミュージシャン・国際ジャーナリスト・ラジオDJとして活動。現在、『NEWSザップ!』(BSスカパー!)・『モーリー・ロバートソンチャンネル』(ニコニコ生放送)・『Morley Robertson Show』(Block.FM)・『所さん!大変ですよ』(NHK総合テレビ)等に出演中。4月4日から『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)にニュースコンシェルジュとして出演!


キャプチャ  2016年4月18日号掲載


スポンサーサイト

テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

Categories
Profile

KNDIC

Author:KNDIC
Welcome to my blog.

Latest articles
Archives
Counter
I'm participating in the ranking.

FC2Blog Ranking

information
Search
RSS Links
Link
QR Code
QR