【ソニー・熱狂なき復活】(08) エレキより革新的! 『ソニー不動産』が挑む“破壊”

「夢は格好いいけど現実的じゃないね」――。ある不動産業者は冷たく言い放った。彼が矛先を向けるのは『ソニー不動産』。2014年4月に『ソニー』が新規事業創出の第1弾として立ち上げた会社だ。そのビジネスモデルは、不動産業界独特の慣習とは一線を画す。日本では不動産業者が売り主と買い主、双方の代理人となり、其々から仲介手数料を取る“両手取引”が多数を占めている。だが両手取引では、高く売りたい売り主と安く買いたい買い主とで利益が相反する。双方の代理人となった業者はどちらの利益を優先するのか、矛盾を内包する仕組みでもある。そこに新風を吹き込んでいるのがソニー不動産だ。同社は売却仲介と購入仲介とを組織的に分け、両部門の間にはファイアウォールを設置。例えば売却仲介を受けたら、その物件の購入仲介を原則、受けないという“片手取引”を徹底している。集客や売り出しにはITを活用。効率化も進めており、手数料体系も既存の不動産業者に比べて割安だ。消費者にとってのメリットは大きい。ただ、既存の不動産業者にとって、ソニー不動産が成長すればするほどビジネスモデルが大きく崩れていく。冒頭の不動産業者が冷たい反応をしたのは、その為だ。

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ソニー不動産は更に一歩踏み込んだ。昨年11月から『ヤフー』と組んで『おうちダイレクト』のサービスを開始。その詳細は右図の通りだ。売り主は不動産業者を介さずに、ヤフーを通じてインターネット上に物件を掲載し、買い主を探せる。実際の売買の場面ではソニー不動産が仲介するが、売却に伴う手数料はかからない。営業活動は売り主個人がインターネットを使って行い、ソニー不動産が行うのは物件の引き渡しだけ。販売活動を行わないので仲介手数料は取れないという理屈だ。一方、買い主側にとっては、ソニー不動産が内見の申し込みから購入までを買い主側に立って交渉する代理人となる為、手数料が発生する。但し、売り主にネックとなるのが売り出し価格。今までは不動産業者にしか査定価格が割り出せず、素人にはブラックボックスだった。そこで、ソニー本体とソニー不動産が共同で開発した『不動産価格推定エンジン』をヤフーに提供。周辺の路線価等の公表データを基に、人工知能と粗同じアルゴリズムで特定不動産の推定価格を算出する。これにより、個人でも凡その査定価格を割り出せるようになった。ソニー不動産が目指すのは、リアルな売買仲介とITを駆使したインターネット上での情報提供の機能を併せ持つ“リアルエステック(リアルエステートとテクノロジーの造語)企業”だ。課題は顧客の積み上げだ。設立から日が浅く、昨年3月期の純損失は3億円。業界の透明化を促す為のシステムツールの開発を積極的に行っており、当面は投資負担が重い。消費者を味方につけて事業を拡大しなければ、革新的なビジネスモデルが画に描いた餅となりかねない。


キャプチャ  2016年1月30日号掲載


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