【丸分かり・激震中国】(08) 業績悪化する海運や商社…設備投資・雇用も慎重に

20160411 05
中国経済を下支えしてきたサービス業の先行き不透明感が強まっている。中国メディアの『財新』とイギリスの金融情報会社『マークイット』によると、中国の民間サービス業の業況を反映する財新サービス業PMI(購買担当者指数)は、昨年12月に50.2と、ここ10年で2番目の低水準となった。この背景には、製造業での需要悪化が、量・価格両面においてサービス業に悪影響を及ぼしていることが指摘できる。既に鉄鋼需要が悪化する中、メーカーの粗鋼生産が頭打ちとなるばかりでなく、原材料となる石炭の輸送を担う鉄道業や、鉄鉱石を運ぶ海運業の輸送量も落ち込んでいる。更に、石炭や鉄鉱石等の資源価格の大幅な下落は商社の重しとなり、需給ギャップの拡大による運賃の下落が鉄道業や海運業の収益を大きく損ねている。こうした中、昨年2月にはアメリカでの株式上場を準備していた『大連威蘭徳航運』が経営破綻した。また、『中国中鋼』が昨年10月20日の社債利払いを延期したように、国有鉄鋼商社でさえも債務不履行に直面している点を踏まえれば、民間の中小商社では企業倒産が発生していると考えられる。需要の悪化が生産財から消費財に拡大しつつある点を踏まえれば、先行きは一段と広範囲でサービス需要が落ち込む恐れがある。例えば、衣料品製造業の実質付加価値額は、国内市場の鈍化や輸出の減少等を受けて、昨年1~11月には前年同期比4.5%増と、2014年通年の前年比7.2%増から伸び率が減速。同12月の工業生産者出荷個格指数(PPI)を見ると、生産財の出荷価格は47ヵ月連続、消費財は14ヵ月連続で前年同月比で下落し、価格下落の動きが生産財から消費財に広がっていることが窺える。消費財の生産抑制や価格下落は、倉庫や企業向けサービス等、関連するサービス業の新規受注量とサービス提供価格の両面において、重しとなるだろう。更に、後述のように雇用情勢が悪化している中、通信教育等の教育セクターや、旅行等の娯楽セクターの先行き不透明感も強まっている。

こうした状況を受け、中国のサービス企業は業況の先行きに対して慎重なスタンスを強めている。第1に、企業は設備投資を一段と抑制している。昨年1~11月の第3次産業の固定資産投資は前年同期比11.0%増と、2014年通年の16.8%増から一段と鈍化。業種別に見ると、海運業は同4.3%減(2014年通年は同12.6%増)とマイナスに転じた他、リース&企業向けサービス・教育・娯楽・不動産・金融も其々10ポイント近く下がっている。第2に、サービス企業は新規雇用の抑制に踏み切っており、悪化する製造業の雇用の受け皿となるには厳しい状況だ。昨年7~9月期の全産業の求人数は前年同期比9.3%減少。業種別では、不動産業(前年同期比16.3%減)やリース&企業向けサービス(同8.8%減)の減少幅が大きい。中国の電子商取引大手『アリババ(阿里巴巴)集団』は昨年、業況の先行き見通しの悪化から大学新卒者の募集枠を8割超削減すると発表。中国検索最大手の『百度』は、昨年10月から中途採用を凍結している。サービス産業の悪化が進めば、更なる景気減速を招くだろう。 (日本総合研究所副主任研究員 関辰一)


キャプチャ  2016年2月2日号掲載


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テーマ : 中国経済
ジャンル : 政治・経済

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