【私のルールブック】(47) 加減を知らぬ中年でいる!

私は加減がわかっているようで、実は全然わかっていない中年なのである。ギャンブルに投じる金額然り、それは仕事面において顕著に表れる。30代前半の頃、時代劇の舞台に出演させて頂いた。役柄は堀部安兵衛である。正直、自分には向いていないと思った。なので、先ずは声を潰してみた。私の声では通りが良過ぎると考えたからだ。次に、堀部安兵衛ということから殺陣の場面が多かったので、本気で斬りにいくことに決めた。勿論、実際に斬ってしまったら、それこそ警察に御用となってしまうのだが、舞台の場合は映像よりも余裕を持たせての立ち回りが常識とされており、その暗黙の了解を破ってしまったのである。嘸かし、斬られ役の方々は腹を立てていたと察しますが、私が踊りのような殺陣をしたところで何が生まれるというのか。よって、連日本気でいかせて頂きました。おかげで、肋骨2本に罅が入ってしまいました。

そう言えば、稽古初日に勝手に頭も刺っちゃいました。舞台を終えた翌日から、テレビドラマでフランス料理のシェフ役だったんですが、「坊主頭じゃどうにもならない」と言われ、バンダナを頭に巻かれる始末。私、加減を知らない中年なんです。30代半ばの頃、役作りの為、短期間で体重をドッと落とそうと思い、粗絶食に近い生活を送ってみた。1週間ほどで5kg程度減量できたのだが、おかげで台詞は出てこない、段取りは頭に入らない、無駄に苛々すると散々で、「多少は食べないと駄目だわ」と考え直し、弁当を一口食べてみたところ、食うわ食うわ。食欲が止まらなくなり、あっという間に5kg戻り、プラス2kg太ってしまう始末。恐る恐るオンエアを観たが、ゲッソリ顔と浮腫み顔で、全然繋がっていなかった。私、加減を知らな過ぎる中年なんです。40代に入って、子役養成のスクールを起ち上げた。ノウハウなんて知る由もなく、見切り発車もいいところ。しかし、何より大切なことは人任せにしないで、子供たちを自分の眼で見て直接指導し、向き合うこと。そう思ってレッスンが行われる週末を1年間、無償でスケジュールを空けたところ、ドラマの仕事を入れることが困難となり、私の個人事務所が潰れかけてしまった。




私、加減を知らないどころか、無謀なおっさんなんです。ただ、今振り返れば、何やかんやで肥しにはなっているのかな。それは、様々な方の力を借り、ちょこちょこ失敗はしているんだけれど、役者の仕事もスクールも何とか継続できているから、結果論として“肥し”と言える訳で…。これで会社を潰そうものなら、振り返りたくもないし、笑い話にできる筈もなく…。そう考えると、加減って難しいな~ってね。でも、動いてみないと加減も知り様がありませんからね。石橋を叩いて慎重を期して進む時もあれば、玉砕覚悟で突き進む時があってもいいのかも。どちらにせよ、進んでいれば頭と身体で加減=塩梅を感じることができますからね。とは言え、私も50手前の身。中年ド真ん中ですから、玉砕している場合じゃないんだけどな~。でも、行っちゃうんでしょうね。だって、加減に正解なんて無いですから。人様にご迷惑をかけない範囲で、加減を知らない中年でいようと思います。


坂上忍(さかがみ・しのぶ) 俳優・タレント。1967年、東京都生まれ。テレビ出演多数。子役養成に舞台の脚本・演出等、多方面で活躍中。


キャプチャ  2016年4月14日号掲載

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テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

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