フジ系不倫ドラマ、三竿プロデューサーに聞く――昼顔、奥底の本音「私にも」…思い出すかつての恋

フジテレビ系のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』が話題だ。18日放送の第10話の視聴率は16.7%と最高を記録した。夫を会社に送り出した後、家事をきちんとこなし、昼間にほかの男性と恋に落ちる主婦“平日昼顔妻”が主人公。はまっているのは既婚未婚問わず20~40代の女性たちだ。不倫ドラマはこれまでもあるが、心引かれるのはなぜか。あすの最終回を前に、プロデューサーの三竿玲子さんに聞いた。「候補はいろいろあったんです。女2人のバディものとか。でも、女性が主人公のラブストーリーを作りたいという思いがあった」。三竿プロデューサーは振り返る。きっかけは、脚本家の井上由美子さん、監督の西谷弘さんと企画会議をしていたときのこと。情報番組で“平日昼顔妻”の特集を見たとぽろっとこぼしたことから始まった。「話は盛り上がり、主婦の恋愛でいこうと」






ドラマでは2つの“主婦の恋愛”が進行する。上戸彩さんが演じる、マイホーム購入に向けパートにいそしむごく普通の主婦・笹本紗和(31)と、近くに越してきた吉瀬美智子さん演じる、夫が女性誌編集長のセレブ妻・滝川利佳子(39)。常に夫以外の相手がいる利佳子に導かれるように、紗和は高校教師(斎藤工さん)と一線を越えてしまう。ドライに不倫を重ねていた利佳子も不倫相手の画家(北村一輝さん)にのめり込んでいく。「女性が主人公のラブストーリーって実はなかなかない」。男性が主人公の場合は女性は対象を憧れや理想で見られる。それが女性の主人公になると「憧れではなく、リアルさが求められる」。刑事や医療もののように、未知の部分が多い世界であれば「視聴者は入りやすい。恋愛観は皆がそれぞれで、しかも女性目線となると『そんなふうに思わない』と思われたとたん離れてしまう」だからこそこだわるのは“あした、あなたにも起こりうる物語”であることの演出だ。子どもはいないが妻のことを“ママ”と呼ぶ夫、連絡もせずに突然家にやってくるシュートメ――。「不倫はあってはならないもの。だけど、日常の感覚や旦那さんへの不満、女の業の部分に『この女心は分かる』と思わせる要素を忍ばせる」

脚本家の井上さんが書く紗和や利佳子のセリフは、ネットで名言集として話題になるほどだ。
【名言その1】結婚は平穏と引き換えに情熱を失うものだから。3年も経てば夫は妻を冷蔵庫同然にしか見なくなる。ドアを開けたら、いつでも食べ物が入っていると思ってる。壊れれば不便なのに、メンテナンスなんかしたことない。――利佳子は紗和に言う。台本を渡したとき「吉瀬さんも『冷蔵庫なんてなんかすごい悔しいよね』と心を乗せてくれた」。撮影する西谷監督は男性だが「ことあるたびに『女としてどう思うか』と聞いてくれる。自分も含め女性の心の中の引き出しをいっぱい開けて、奥底から出してきた気持ちをちりばめている」
【名言その2】一瞬でいい、この胸に抱きしめられたい、それだけでいい、それ以上のことは何も望まない……ずっとそう思っていました。なのに……抱き寄せられた瞬間、私は彼の腕にしがみついていました。もっと彼を深く知りたいと思いました。私の中には私の知らない私がいます。――ほどけた靴ひもを結んでくれたことが思い出になり、ほかの人との相合い傘を見て傷つく。中学生のような紗和と北野だが、どんどん気持ちが膨らんでいく。「期待されがちなドロドロではなく、不倫なのに胸キュンしてしまう、多くの女性がかつて経験した昔の恋愛を思い出させる」
【名言その3】男の人はいつもずるい……ドアを叩くくせに自分では開けようとしません。女が鍵を開けて、ここだよとやさしく声をかけてあげなければ、何事もなかったふりをして通りすぎてしまうのです。

9月に入り視聴率が15%を超えた。「家族や子どもとは見づらいドラマ。子どもが寝た後、奥さんが1人で見ている」とみる。理由は「女性同士の話のネタになりやすいから」。放送の翌日になると『昼顔を語る会』を開く女性たちもいる。「そもそも背徳行為。だからこそ、批判も含めて何でも言えるドラマになっている。それは、不倫は自分とは関係のない“異次元の話”と思っているからこそでもあると思う。心の底では“これは私の物語”という人もいるかもしれないけれど、女性ってそれは友達にも絶対言わないですし」。2人の不倫は夫にばれ、修羅場が始まった。最終話は25日午後10時から。「何がハッピーエンドで何がバッドエンドなのか。不倫の恋の答えは人それぞれ。ただ、そこにいきつくまでの展開は『そう来たか』が待っています」 (井土聡子)


キャプチャ  2014年9月24日付掲載
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